第6話・日野山城にて
しばらく投稿できなくてすみません。
「叔父上、一体どこに行くのですか?」
「来れば分かる」
一体俺をどこに連れて行く気だ。
嫌な予感がしてきた~。
「おい、ここに乗れ」
「えっ、馬ですか?」
「なんだ」
「いえ」
馬で行くって、
一体どこに行くんだよ。
ていうか叔父上と二人馬に乗るって・・・
結構の間馬を走らせているが全くつく気配がない。
それに叔父上との会話もなく、なんか気まずい雰囲気。
早くつけー。
と、思っていると、
「着いたぞ、ここだ」
「ここって、城?」
「そうだ。ここは我が居城である日野山城だ。
しばらくの間、この城でお前を鍛えなおす」
「へっ?」
うそだろ。
まじかよ。
「何している。中に入れ」
「は、はい」
こうして、俺は吉川元春こと叔父上の居城で鍛えなおされることとなった。
そしてこれからが地獄の始まりだった。
朝は起きたらまず廊下の掃除、
それから学問と作法を徹底的に叩き込まれた。
叔父上が戦場に戻った後も、
叔父上の家臣や叔父上の嫡男の元資(俺の従兄)にしばかれ
追いかけまわされ、ついには・・・。
いや、これはあまり言わないほうがいいだろう。
だが、そのおかげで剣術の技術はどんどん向上していき、
ついには元資に勝ってしまうまでになってしまった。
さすがにこれには元資も悔しかったのか、
「お、おぼえてろよ」
という、アニメの敵キャラのお決まりの捨てゼリフを口にしていった。
まあ、そんなわけでおれは日野山城では"負けなし"になっていた。
その頃父上は宍道湖の陣から郡山城に戻ろうとしている途中だった・・・
【永禄6年・和智誠春】
「和智殿、済まぬな」
「いえいえ、御当主様がいらっしゃるのであれば、もてなすのが配下の務めで御座います」
「そうか。それでは遠慮なく」
「どうご、ごくつろぎください」
こうも簡単に我居城に来ていただけたか。
やはり御当主様はよいお人だ・・・
【永禄6年・毛利興丸】
今日も日野山城で修業をしていた中、
ある情報が中国地方全体に知れまわった。
‘毛利隆元の死”
毛利家当主である毛利隆元の死は毛利家全体に動揺を及ぼし、
俺の祖父である毛利元就もショックで倒れてしまったらしい。
事実、一度会ったくらいの俺でも相当衝撃を受けている。
史実通りといったら史実通りなのだが、
ちょっと史実と違うこの世界では長生きするのでは?と、思っていた矢先のことなので。
だがそうなると次の当主は幸鶴丸か、うまくやっていけるかなぁ。
いっそ吉川家の家臣になるとか?
いや、言っても当主の庶子の俺が吉川家の家臣なんて叔父上が認めないか。
どうしようか・・・
「葬儀に出れないとはどういうことですか?」
俺はいま父上の葬儀のため、郡山城に来ているのだが、
なぜか俺の参列が認められない。
「お前は兄上と一度しか会っていない。それに家中の風当たりが強い。
皆がお前が来ては騒動になると思っているらしい」
「でも、父の葬儀ですよ。
庶子だからと言って、家中の風当たりがつよいからといって参列できないのはおかしいです」
俺は叔父上に自分の考えをぶつける。
「お前の気持ちもわかる。だがそれが毛利家の判断だ。
お前も兄上の子ならば、毛利家の決定に従え」
俺は納得がいかなかったが、叔父上にすぐに日野山城に帰された。