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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第1章・戦国に生まれて
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第5話・ついやっちゃいそうになりました

毛利家に来てはや三日、

いろいろと現状がつかめてきた。

現在、毛利軍は尼子家を攻撃するため、宍道湖に陣を張っており、

月山富田城下の奥までやってきたのは、

毛利を裏切った謀反人を追討するためだったらしい。

戦に出ていた家臣の者から聞いた。

だが、俺の知ってる歴史だと、尼子を本格的に攻撃するのは1565年、

他の城を攻略するのも1563年だったと思うが・・・。

まあ、伝えられていく間に年がちょっと違ったのだろう。

それにしても、吉田郡山城に来て三日、

なぜかみな俺を見てくる。

たしかに、父上の隠し子の俺がいきなり来て受け入れられるわけもないが、

俺に向かって水をぶちまけることはないだろ。

もう、ほんとひどい目にあった。

だが兄上とは出会って三日だがよい関係を気付けているし、

城内の内部も完全に?熟知した。


「興丸、刀の稽古に付き合え、

 叔父上からお前がなかなかの腕の持ち主だと聞いているからな。

 一回手合せしろ」

「わかりました。兄上」


俺、そんなに腕がいいのだろうか?

とにかく俺は兄上の刀を軽くあしらう?

あれ?なんでだ?俺って、こんなに腕、よかったっけ・・・。

俺はそのまま兄上を突き放した。


「痛った。やったな興丸」


そういうと兄上が腕を高く上げる。

あー、やっぱりこうなるかー。


「幸鶴丸様、おやめなさい」


その声に振り返ると、一人の男が立っていた。


「も、元武」

「元武?」

「あなたが興丸だな。

 私は幸鶴丸様の傅役・国司元武であります。宜しく」

「よ、宜しく」

「幸寿丸様、会って三日しかたっていないとはいえ、

 弟に手を挙げるとは・・・。

 反省しなさい」

「はい」


なんだ、この変わりようは。

さっきまでとはまるで別人みたいに小さくなったぞ。


「幸寿丸様、刀の稽古で負けたからと言って、あまりむきになるな」

「は、はい」


兄上は二重人格か。

俺には手厳しいくせに元武とかいう傅役には・・・。

あー。イラついてきた。襖の和紙破って回ってやろうか。

そんなことも思っていると、奥のほうから話し声がする。

兄上に断わって、その話を観察に行く。


「なあ、興丸ってやつ知ってるか?」

「ああ、隆元様が8年前、うつつを抜かしていた福の子だろ」

「福の子ってことは確かだが、本当に隆元様の子なのか?」

「まあ、隆元様にしてみれば、好きな女の子供なら、

 父親が誰でも関係ないんじゃないのか」

「福ってやつは結構悪女だったって噂だぞ。

 その父親のことももちろんだが、

 隆元様にも、金目当てで近づいたって話だぜ」


な、なんでって。

俺がこっちの世界にきて育ててくれた母上を貶すか。

コノヤロー。


「なんかいないか?あ、興丸様」


あっ、気づかれたか。

よし、気づかれたら余計腹立ってきたからてめえらをぶん殴ってやる。

ぶん殴らないと気が済まない。


「やー」

「な、なんだよ」


驚いてるな。よし、このまま


「「カンッ」」


なんだ?俺の頭に何か固いものが。

あれ、気が~。気が遠のいていく・・・


「兄上、気絶してしまったが」

「これぐらいで気絶するとは。鍛えなおさねばいかんな。

 そう、こいつが紹介したかった興丸だ」

「そうですか。できれば気絶していない時に会いたかったが」

「隆景、細かいことは気にするな。

 それに、やることはまだあるだろ」

「わかっています。兄上こそ」

「まあ、準備に行くか」



ここはどこ?私は誰?

ここは郡山城、私は興丸。

何があったんだ?


「興丸、起きたか」


この威圧感。やっぱり、叔父上か。

その隣には、普通のおじさんが。


「なんだその顔は。

 こいつは俺の弟でお前の叔父にあたる。

 小早川隆景だ」

「小早川だ。宜しく」

「宜しく、お願いします」

「それにしてもお前、何をやっている。

 お前も自分自身に風当たりが強いのは分かっているであろう。

 あそこで家臣にまで手を挙げていたら終わりだぞ」

「も、申し訳ございません」

「これは鍛え直す必要がある。

 ついてこい」


俺は言われるがままに叔父上について行った。

あー、くらくらする。

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