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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第5章・中国暗雲
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第47話・あとからジワジワ来る言葉

本日3話目です。

【天正7年・毛利元広”鳥取城の一室”】


……

何であんなこと言っちゃったんだろか。

いくら小西行長に会ったとはいえ、

そう舞い上がることもないし、

言ったことは事実ではあるけど

それもそもそも俺が来たことで史実がどうなるかもわからないし。

あー。俺どうかしてたよ。小西行長にあんなこと言っちゃうなんてどうしよう。

これを行長が宇喜多直家に伝えられたら宇喜多直家に笑い事にされるわ。

あー。なんで言っちゃったんだろ。


「毛利殿、お待たせして申し訳ありませんな」


...、そうだった。

ここは鳥取城だった。

それで俺は山名豊国に会いに……


「え、ああ。待っていませんよ。

 それでは早速なのですが……」


【天正7年・小西行長”天神山城”】


毛利の弟君が言ったあの言葉。

地味にうれしいものだった。

いくら敵といえども、自分のことを褒められるのは悪い気分はしない。

あんな簡単な人間だからこそ褒め言葉はうれしく感じる。

なんだろう。このあとからジワジワジワジワとわいてくるこの感情は。

この気分は。まさか!

いや。あの人間にそんな感情抱くはずもない、か。


「行長、ご苦労だったの。

 で、毛利の弟はどうであった。」


「はい殿。身長は5尺程度、顔は」


「違う行長。

 何か毛利家の重大事項を聞き出したか」


しまった。

聞いてくるのを忘れていた。


「いえ。なにも。」


「おぬしは一体なにしに行った。

 使えん奴だな」


まずい。

ここで終わってしまえば今後の仕事に影響が...

何とかせねば。


「ですが一つあります」


「なんじゃ」


「毛利は足場を固められてない」


「それで」


続きなど考えていない。


「以上です」


「行長ー。

 毛利が足場を固められていないことなど誰の目から見ても明らか。

 その奥の奥を聞き出してくるのがお前の仕事だろ。

 少しはわしの意を汲んでくれ」


「申し訳ございません」


「もう良い。下がれ」


商人の出で目の付け所がいいということで殿に召し抱えられたが、

この大失態……

このままでは終われぬ。


【天正7年・毛利元広”月山富田城”】


「二人ともどうでしたか?」


元秋殿が俺と元長殿に聞く。


「南条は全く駄目だ。

 今度は部屋にも通さずに追い返された。

 また茶の一杯も出さなかった」


元長殿は少し怒ったように言う。


「まあまあ、それで元広殿は」


元秋殿が元長殿をなだめつつ俺に聞いてきた。


「こちらも駄目です。

 茶の一杯は出されましたが

 山名殿は一方的に世間話ばかりしてまったく話をする時間がありませんでした」


「やっぱりですか。

 もう両家への工作は難しいようですね」


元秋殿が言う。


「そのようだな」


元長殿も同意する。


「となると、両家の翻意は堅いですか」


「ああ、。もうひるがえしようがないだろう。

 宇喜多の動きも活発化してきている」


「いよいよその時というわけか」


「中国で戦が始まるぞ」

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