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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第5章・中国暗雲
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第46話・鳥取城での一件

本日2話目です。

【天正7年・小西行長】


「小西行長だと!」


「少しお話ししましょうか」


「お話とは?」


「少しだけですよ。

 そうだ。この鳥取城の一室を借りて話しましょう」


「は、はあ」


身長は5尺ほど、顔は……親父の取引相手似、

特徴といえば…右目の下にほくろと。

歳は自分と同じくらい。

これでくらいか。

あとは適当に話して相手の話し方の特徴を見て終わりか。

さっさと終わらせるとするか。


【天正7年・毛利元広】


こいつがあの小西行長!

小西隆佐の息子で岡山の商人の家にも養子に出されてたっていうからもしかしたらと思ってたけど、

まさかこのタイミングであの小西行長が出てくるか。

ここでやっと豊臣政権で活躍する武将に出会えた。

今までは現代ではあんま有名じゃなかったけど

小西行長はある程度有名だしな。

でも小西行長が俺に何の話?

確かこのころ行長は宇喜多にいたはず。

となると毛利の動きを聞きに……

切る抜けるしかないか…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「改めまして、私、宇喜多家家臣・小西行長と申します」


「毛利家家臣・毛利元広です。

 それで話とは?」


「いえいえ、たわいのない話ですよ。

 そういえば最近毛利家の動きも盛んですね。

 裏でも表でも」


「えっ……。(やばい。いきなり来たか)」


「どうされました?」


「いえ、織田との戦いが今後益々過酷なものになりそうなので、

 私はその足場固めに」


「ほう。それでこの鳥取城に」


「小西殿も、なぜ鳥取城に?」


さっさと終われこの”たわいのない”話。


「毛利家と結ぶものとして情報交換に。

 鳥取は今や対織田戦線の最前線と言えるところでしょうから。

 毛利殿もよくわかっていらっしゃいましょうが(ニヤリ)」


「え、ええ」


その笑みは何を。

何かだめなことでも言ったか?


「小西殿、私は今から山名殿に会わねばいけないのでそろそろ……」


「そうですか。では私は帰りましょう。

 またどこかで」


【天正7年・小西行長”鳥取城大廊下”】


毛利の弟君は比較的自分から話を切り出すタイプだが

たまに口を滑らせるか。

足固めなどと言っては、

毛利の足が固まっていないのがまるわかり。

これでわが殿も積極的に動けるな。

毛利の弟君も簡単だ。


「小西殿。待って」


毛利の弟君が呼び止める。


「何の用ですか」


「小西殿、あなたはいずれ大きく羽ばたく。

 大戦の和議をまとめるほどの大きな存在に。

 だから、自分に自信を持って。あなたならできる」


……何を言ってるんだ……


【天正7年・毛利元広”鳥取城の一室”】


……

何であんなこと言っちゃったんだ?

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