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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第5章・中国暗雲
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第44話・四面楚歌

お久しぶりです。

第41話修正しました。

【天正7年・羽衣石城】


「わかりました。我々も覚悟を決めましょう」


「そうですか南条殿。わが殿も安心なされます」


「それでは毛利の使者に会ってきま」


「それはお待ちください」


「はて、なぜですか小西殿?」


「このまま使者を追い返してください」


「・・・!」


【天正7年・毛利元広】


「なにっ?会えぬと」


「ここまで待たせておいて会えぬとはおぬしの主君は何を考えているのだ」


「元長殿、落ち着いてください」


「落ち着いていらるるか。

 我らを毛利の使者と知っての振舞か」


「お二人にはお引き取りいただきたい」


「おぬしらは何を考えておる」


「元長殿、今回は帰りましょう」


「二刻待たせて帰ってくれとは考えられん」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「納得いかん」


「元長殿」


「これは毛利家を侮辱しているとしか思えん」



確かに。来た時と帰る時では城内の雰囲気も変わっていたし。

本丸からは変な武士も出てきていたし。

我々が待たされていた間に何かが変わったのか。

んー。まったくわからない。わからない…


【天正7年・吉川元春】


『小早川隆景殿

 岡山では前より少し騒がしくなり、

 城内への出入りも激しくなった。

 すぐに何か起こるわけでもないしろ、何かしらのことが起こることは確実。

 それにわしの周辺も少しずつ監視が強くなってきていることを感じる。

 また何か分かり次第書状を送る      吉川元春』


「これを隆景のところへ送ってくれ」


「へい」


そろそろ厳しくなってくるか。

しかしこれからが一番重要だ。

元広と元長よ。

その間の山陰はおぬしらに任せたぞ。


【天正7年・月山富田城】


「それで結局会えなかったと」


「はい元秋殿。散々待たせた挙句ね

「最後まで茶の一杯も出さぬとは南条は怪しすぎる」


「落ち着け元長殿。

 まあしかし、ここまで来ると南条は怪しすぎる」


「となると必然的に宇喜多も怪しくなってくる」


「山名についてもそもそも播磨の魚も備後の魚も同じだろ。

 見え見えのうそをつくなど、やはり毛利を侮辱しているとしか思えん」


「山名、宇喜多、南条。

 毛利家の東はなかなか危険ですね」


「東だけではないですよ元広殿。

 西も大友が北九州で挙兵したらしい。

 それで毛利の播磨進軍も水に流れた」


「まさに四面楚歌か」


「だがやはり証拠が足りない。

 これではどの家にも積極的な対応がとりずらい」


「いやいや。これほどの証拠があれば問題ないでしょ」


「元長殿、茶の一杯も出されなかったからと言って

 興奮はしないように。

 ともかく、これはもう一度探りを入れる必要がありそうです。

 とりあえずもう一度山名と南条に行ってもらいましょうか」


「ならばこの元長が吉川家の名に懸け必ずや南条の奴をどうにかしてやろう」


「ならば元広殿は山名家へ」


「わかりました。ならば早速準備をしましょう」

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