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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第5章・中国暗雲
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第40話・月山富田城の密談

【天正6年・毛利元広】


「元長殿、御久しぶりで御座います」

「元広殿、お待ちしておりました」

「初めまして。毛利元秋で御座います。

 このたびはよろしくお願いします」


俺は叔父上に頼まれ鳥取城に行くことになった。

だがその前に、月山富田城に寄り、山名家について教えてもらうことになった。

教えてもらうのは従兄の元長殿と、祖父上の五男で叔父にあたる毛利元秋殿である。


「元長殿、元秋殿、よろしくお願いします」


ここに来たのは本当に久しぶりだ。

8年間生まれ育ったところ。

街並みこそ少し変わっているが、

雰囲気はあの時のままだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「元秋殿、山名豊国が織田と通じているというのは」

「それは裏が取れている。

 鳥取城から出てきた足軽が播磨の羽柴秀吉の陣に向かうところを

 配下の者にすでに確かめさせている」

「それに山名家はかつて毛利家に反抗していた家、

 裏切ることは十分考えられる」

「となると、私が鳥取城に行って話すのは」

「織田とのことについて、

 織田とのつながりを否定するのであれば

 鳥取城から羽柴秀吉の陣に向かった者のことについて。

 じっくり問い詰める必要があります」

「そうですか」

「本当ならば私が行くのですが、

 見ての通り、あまり体調がよくありません。

 申し訳ございません」

「いえいえ、元秋殿は心配しなくても大丈夫です。

 しっかり私が話をつけてきます」

「お願いします」


やっぱり元春・隆景叔父上の弟は二人ほど曲者では無さそうだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

翌日、月山富田城を後にし、

鳥取城に向かった。


【天正6年・鳥取城】


「羽柴殿に書状は届けられたか」

「はい。しかと届けました。

 羽柴殿は、この件、了解したと申しておりました」

「そうか。それならよいのじゃ。

 これですべて滞りやく行えるのう」

「殿、毛利家の毛利元広様がお目通りを願っています」

「元広とは、毛利の御当主の弟君か。

 すぐに通しなさい」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「豊国殿、急の訪問にも関わらず、面会していただきありがとうございます」

「元広殿も、遠いところをわざわざお越しくださり、ありがとうございます。

 して、この度鳥取城にこられたのは、何か話があるのでしょうか?」

「はい、重要な話があります。ですので・・・」

「わかっています。人払いをいたします」

「申し訳ありません」

「して、その重要な話とは?」

「はい。羽柴殿との関係についてです」

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