第40話・月山富田城の密談
【天正6年・毛利元広】
「元長殿、御久しぶりで御座います」
「元広殿、お待ちしておりました」
「初めまして。毛利元秋で御座います。
このたびはよろしくお願いします」
俺は叔父上に頼まれ鳥取城に行くことになった。
だがその前に、月山富田城に寄り、山名家について教えてもらうことになった。
教えてもらうのは従兄の元長殿と、祖父上の五男で叔父にあたる毛利元秋殿である。
「元長殿、元秋殿、よろしくお願いします」
ここに来たのは本当に久しぶりだ。
8年間生まれ育ったところ。
街並みこそ少し変わっているが、
雰囲気はあの時のままだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「元秋殿、山名豊国が織田と通じているというのは」
「それは裏が取れている。
鳥取城から出てきた足軽が播磨の羽柴秀吉の陣に向かうところを
配下の者にすでに確かめさせている」
「それに山名家はかつて毛利家に反抗していた家、
裏切ることは十分考えられる」
「となると、私が鳥取城に行って話すのは」
「織田とのことについて、
織田とのつながりを否定するのであれば
鳥取城から羽柴秀吉の陣に向かった者のことについて。
じっくり問い詰める必要があります」
「そうですか」
「本当ならば私が行くのですが、
見ての通り、あまり体調がよくありません。
申し訳ございません」
「いえいえ、元秋殿は心配しなくても大丈夫です。
しっかり私が話をつけてきます」
「お願いします」
やっぱり元春・隆景叔父上の弟は二人ほど曲者では無さそうだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日、月山富田城を後にし、
鳥取城に向かった。
【天正6年・鳥取城】
「羽柴殿に書状は届けられたか」
「はい。しかと届けました。
羽柴殿は、この件、了解したと申しておりました」
「そうか。それならよいのじゃ。
これですべて滞りやく行えるのう」
「殿、毛利家の毛利元広様がお目通りを願っています」
「元広とは、毛利の御当主の弟君か。
すぐに通しなさい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「豊国殿、急の訪問にも関わらず、面会していただきありがとうございます」
「元広殿も、遠いところをわざわざお越しくださり、ありがとうございます。
して、この度鳥取城にこられたのは、何か話があるのでしょうか?」
「はい、重要な話があります。ですので・・・」
「わかっています。人払いをいたします」
「申し訳ありません」
「して、その重要な話とは?」
「はい。羽柴殿との関係についてです」




