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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第1章・戦国に生まれて
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第3話・毛利元就と一騎打ち

俺と美祢は今、宍道湖の毛利本陣にいる。

そして、俺達の目の前にいるのは、あの名将・毛利元就だ。

そう、あの毛利元就の目の前にいるのだ。


「隆元、この者たちは?」

「はい、それが・・・」


父上、いや、今は隆元のおじさんと呼んでおこう。

隆元のおじさんは、毛利元就とこそこそ話を始めた。


「あの者たちは、私の、私の子供です」

「あの童どもが?」

「いえ、あの、男のほうが、私の息子みたいで・・・」

「どういうことじゃ?」

「それが、福の・・・」

「福?ああ、お前が8年前、うつつを抜かしていたあの女か」

「その福が私の子を宿していたみたいで」

「なんと、なんということじゃ。

 隆元、お前は何をやっておる」

「申し訳ございません。父上」

「その、福はどうした」

「それが・・・」


長い、長すぎる。

こそこそ話が長すぎる。

どれだけ待たせるきだ。

俺は待てんぞ。

なんだ?まだ続けるつもりか・・・


「なんと、お前、なんてことを・・・」

「申し訳ない」

「まあ、あの童が隆元の息子で、

 母親が居らんということであれば、

 匿ってやらんことではないが。

 隆元、そのことはくれぐれもあの二人に知らせぬよう」

「わかりました」


おっ、やっとこそこそ話が終わったか。

そして、毛利元就が話し出す。


「興丸といったな」

「あ、はい」

「隆元から話は聞いた。おぬし、隆元の子らしいな」

「はい、そうらしいです」

「歳は?」

「8歳です」


すると、元就のじいさんは隆元のおじさんを呼び、

またこそこそ話を始める。


「隆元、随分可愛げのない奴じゃのう」

「我々を警戒しているのかも・・・」

「まあよい。剣の腕を見て、よければ、お前の言うとおり、

 隆元の息子として、郡山城に連れて帰さんこともないが・・・」

「ありがとうございます」

「やはり、福の子だからか」

「いえ、あの・・・」

「やはりそうか。

 まあ、優秀なものを幸鶴丸の弟とできるのはうれしいことじゃが」

「まず、剣の腕前を見てからにしてください」

「わかっとるわ」


やっとこそこそ話パート2も終わったか。

そして、またも元就の爺さんが話し出す。


「お前、尼子の奴を木刀でやっつけたそうじゃな」

「あ、はい」


すると、元就の爺さんが木刀を投げてきた。


「これで、わしと勝負してみい」


えー。嘘だろ。あの名将・毛利元就と一騎打ちなんて。

絶対負けるよ。だけど、せっかく毛利元就と勝負できるんだ。

断る理由はないよな。


「わかりました。受けて立ちます」

「よし、その意気じゃ」


やってやるよ。

俺らの一騎打ちはすぐ始まった。

しばらくしているが、やはり名将・毛利元就だけある。

俺はその攻撃を必死に退けることしかできない。

すると、元就の爺さんもしびれを切らしたのか。

一気に力を入れて、俺にかかってきた。

俺は一気に吹き飛ばされた。

子供相手にやりすぎだろ。

俺は元就の爺さんのほうを見る。

えー。また隆元のおじさんとこそこそ話してるよ。

何回したら気が済むんだよ。


「父上、どうでしたか?」

「いやー、なかなかやり居る。わしの攻撃をあれだけ防げるとは、

 あの歳ではなかなかじゃ」

「では」

「隆元、お前に言うとおり、奴をお前の息子として、

 郡山城に連れて帰るかの」

「よし、ありがとうございます。父上」

「あの興丸の妹も、一緒に連れて行ってやれ」

「承知しました」

「お前はどれだけあの福が好きなんだ・・・」


おっ、やっとこそこそ話パート3が終わったか。

またまたも隣の爺さんが話しかけてくる。


「おぬしの剣の腕は見事じゃ。

 おぬしを、正式に隆元の息子として認める」

「えっ?」

「今日からわしはおぬしの祖父、隆元はおぬしの父となる」


えー。聞いてないよ。

でも、元就の孫か。結構いいな。

いい生活もできるかも。

あっはっはっはっは。

ここはひとつ、隆元の息子になってみるか。(本当に息子だけどね)


「なんじゃ?不満か?」

「いえ、そうさせていただきます」

「そうか。それでは、元春、元春はおらんか」


元春って、あの吉川元春!

毛利両川の一人、嘘、会えるの。


「はい父上、何か御用で?」

「この二人を郡山城まで送り届けろ」

「この二人は?」

「わしの孫と、その妹じゃ」

「はっ?」


すると、隆元のおじさん。いや、ここからは父上がいいかな?

父上が吉川元春に小さな声で事情を説明。


「あー、あの兄上がうつつを抜かしていた福の息子で、

 兄上の隠し子か」

「お前まで福にうつつを抜かしていたというか」

「本当のことでしょう」


ようやく事情を理解した吉川元春は、

元就の爺さんに「御意」と、一言残し、

俺と美祢を馬に乗せ、郡山城へと向かう。

あの剛将・吉川元春と一緒の馬に乗れるなんて、

俺はなんという幸せ者なんだ・・・

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