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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第4章・播磨動乱
33/55

第29話・播磨動く

【天正5年・羽柴秀吉】


「うむー」

「どうしたしましたか?秀吉様」

「官兵衛か。

 西播磨をほぼ支配下に収めたが上月城の赤松政範が従わん。

 どうしたものか・・・」

「そうなれば攻め滅ぼすしかございません。

 一刻も早く上月城へ向かいましょう」

「そうだな。

 今すぐ上月城へ向かうぞ」


【天正5年・毛利元広】

我々毛利軍は播磨から撤退し、備中松山城にいた。


「元広、上月城が織田に狙われている」

「叔父上、何が言いたいのですか?」

「そう慌てるな。

 隆景と相談したが、上月城に援軍を送る。

 大半が宇喜多の軍勢だが、宇喜多は何かと信用ならない。

 それでお前には宇喜多の監視という役をしてもらいたい」

「監視ですね。わかりました」

「頼んだぞ」

「はい」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それから幾日後、

俺は兵を率いて宇喜多の居城・岡山城にいた。


「元広殿、お待ちしておりました」

「忠家殿ですか。

 毛利元広で御座います」

「宇喜多忠家で御座います。

 このたびは宇喜多軍の総指揮を務めさせていただきます」

「宜しくお願いします。忠家殿」


【天正5年・小寺官兵衛】


「官兵衛、なかなか落ちんな。この城」

「官兵衛殿、このままでは毛利の援軍が来てしまう。

 そうなるとさらに攻略が難しくなりましょう」

「半兵衛殿の言い分はもっとも。

 この先毛利が来ては落とすことはまず不可能。

 兵をまとめて一気に攻めのぼりましょう」

「それでは今までと一緒ではないか」

「秀吉様、それはこの官兵衛にお任せを」


【天正5年・毛利元広】


「わしは兄を信用できぬ」

「直家殿をですか」

「ああ。あの人の考えておることがまるで分らん」

「私の兄も優柔不断なところがありなかなか難しい」

「お互い。そのような兄を持ち大変だな」

「そうですね」

「忠家殿」

「どうしました。明石殿」

「織田が上月の一斉攻撃を始めたと、手の者が知らせてきた」

「元広殿、これは急いだほうがよろしいな」

「ですね」


【天正5年・三木城】


「長治殿、今立ち上がれば播磨一国を貴殿に」

「何を申すか。我が別所家は織田に他意はない。

 このような話、受けるはずが無かろう」

「叔父殿にはもう話は通してある。

 別所家内も、それに向けて動いでいるであろう。

 長治殿さえ承認していただければ、

 我らも一気に立ち上がりますゆえ」

「何を・・・」

「今立たねば、機を逃すこととなりますぞ」

「どういう意味だ?」

「それは、いずれわかります」

「・・・」

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