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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第3章・織田家襲来
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第28話・織田家襲来

【天正5年・小早川隆景】


「歩を早めよ。

 このまま攻め入るぞ」

「兄上、この調子だと我らが負けることはなさそうですね」

「ああ、この大軍相手では、やはり戦いを挑むものはいないか」

「「おーー」」

「なんだ。この声は」

「まさか小寺の奇襲では」

「そうなるとまずいな。兵の士気が下がってしまう。

 今すぐ全軍撤退だ。

「はい」


この大軍相手に奇襲を仕掛けてくるとは。

このたびの播磨攻めは一筋縄では行かないようだな。


【天正5年・小寺官兵衛】


「官兵衛よ。よくやってくれた。

 やはり官兵衛は信頼できる」

「いえ、毛利がだまされてくれたおかげで追い払うことができたのです。

 礼は毛利に言ってください」

「そうかそうか。ともあれ官兵衛、これからも期待しておるぞ」

「はー」


【天正5年・毛利元広】


「隆景よ、たかが千にも及ばない小寺の奇襲部隊を前に

 のこのこ逃げてきたそうな」

「これは兵の士気が下がってきたための苦渋の策です」

「但馬から急いで降りてきてみれば見方の負けを聞かされるとは。

 これから播磨攻略がやりにくくなるわ」

「兄上こそ、但馬で城のひとつも落とせず。

 何をやっていたのですか」


壮絶な兄弟喧嘩。

ここにいるだけで苦しくなる。


「もうやめよう。これでは軍議が進まぬ」

「そうですね兄上」

「それで隆景、山陰勢を呼び出してどうするつもりだ」

「もうすぐ播磨に織田の大軍が入ってきます。

 織田は播磨の数多くの豪族を味方に引き入れているので、

 この状況では我々が明らかに不利です。

 ですので一旦輝元のいる備前に引き下がります」

「播磨を出るということか?

 ならばなぜ山陰勢を呼び出した。

 わざわざ播磨に下りてくることはなかったではないか」

「いえ、このようなことになれば一度兵を集めまた編成しなおさなければならない。

 そのために兄上らには播磨に来てもらいました」

「ふん、そうか」

「では、軍議はここまでにして、

 一同撤退の準備をしてください」


撤退か。まあ織田の軍勢が入ってきたら毛利が不利になるのは確かなこと。

この判断はいいけれど、この先毛利の播磨攻略はどうなるんだ?


【天正5年・姫路城】


「官兵衛、此度の戦い見事だったな」

「いえいえ、毛利の慎重さが裏目に出ただけにございます」

「謙遜するな。それはそうとこの城、本当に貰い受けて良いのか?」

「はい、これから毛利を攻撃するに当たって秀吉様にも拠点が必要でありましょう。

ならばこの姫路城をと思いまして。

 少々手狭ですが御容赦ください」

「なになに、これだけあれば十分じゃ。

 官兵衛、これからも期待しておるぞ」

「はー」


【天正5年・毛利元広】

我々毛利軍は備中松山まで撤退した。

織田の軍勢が播磨に入ってきたせいだ。


「なに、織田が西播磨をほぼ支配下に入れただと」

「それはまずいですね。

 兄上、こうなると我ら毛利の勢力は播磨では微々たるものとなってしまいます」

「ああ、こうなると播磨で毛利方に唯一ついている上月城が重要なものとなるな」

「はい、ですが播磨がほぼ織田の支配下になっている以上、

 今の毛利の士気の低下具合から見て、今すぐ播磨に戻るのは容易なことではないかと」

「上月に耐えてもらうしかないか」

「はい」


上月城、耐えてくれ。



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