第26話・播磨入国
【天正4年・毛利元広】
毛利軍が進軍を始めた折、
俺もその軍勢の中にいた。
俺がいたのは三つのルートのうち、元春叔父上が指揮する山陰ルートに従軍した。
「よいか、これから因幡国に入る。
ここは山名家の領内だ。
山名家は我々についているが十分気を付けるように」
「叔父上、この次はどうするのですか?」
「因幡国を通り過ぎれば但馬国だ。
そこから攻め落としていくだけよ」
「はぁ」
・・・、叔父上らしい戦略だ。
【天正4年・足利義昭】
「隆景殿、このたびの東進の決断、真にあっぱれである。
水軍の時のように、織田の軍勢を負かしてくれ。
儂も上杉や武田に書状を送っている。その者達と協力すれば織田など一捻りじゃ
あっはっはっはっは」
「御褒めに預かり光栄です。
御期待にお応えできるようにいたします」
これで儂の再上洛も目の前だ。
【天正4年・小早川隆景】
上様は誠に単純であるな。
それより、この東進作戦、まだどう転ぶかわからぬ・・・。
「兄上、播磨に入るのあたってどのような策を行うのですか?」
「元清。播磨の大半の豪族は織田方についている。
だが備前寄りの城は我々毛利についている。
だからまずは播磨で毛利方についている上月城に入りしばらく状況を見る」
「ほー、そうしますか」
「元清、東進の速さについては山陰の軍勢と合わせたい。
元清は兄上と連絡を取っておいてくれ」
「はい」
【天正5年・羽柴秀吉】
「秀吉よ、おぬしの謹慎を解き、中国方面指揮官に任命する」
「ははー、この秀吉、信長様の御期待に応えるべく。
身を粉にして働く次第です」
「そうか。
毛利を潰してまいれ」
「はっ。
失礼します」
これで、念願の、方面指揮官じゃー。
これで柴田殿、丹羽殿に並んだぞー。
早く長浜に帰って出陣の準備をせねば。
【天正5年・小早川隆景】
「兄上、上月城に入りましたが、
これからどういたしましょうか?」
「これから織田の本隊が来るであろう。
それに向け、態勢を整える必要がある。
恵瓊に播磨の各武将を口説き落させ、毛利方につかせる。
まずはそれで行くことにします」
「調略ですか、急ぎ恵瓊に命じます」
「特に播磨の中の別所、小寺には気を配れ」
「はいっ」
【天正5年・毛利元広】
「元広、播磨に織田の羽柴秀吉が来るそうだ。
とうとう織田との決戦だ」
羽柴秀吉、史実でも播磨に来る武将だ。
となるといろいろとややこしいことになりそうだな。
「我々毛利家は農民上がりには負けん、
これは勝ったの同然だな」
叔父上のテンションが上がりっぱなしなことの気にせずにはいられないが、
とうとう織田との決戦に挑む!




