第25話・夫婦になろうよ
【天正4年・毛利元広】
尼子残党の討伐も切り上げ、
俺は郡山城にいた。
「乃美宗勝、このたびの兵糧搬送は見事であった」
「殿、ありがとうございます」
「輝元、これからどうしようと考えているのだ?」
「元春叔父上、それは隆景叔父上から」
「はい。今回の兵糧搬送で、
織田の水軍を破ったのは知っての通りだが、
その勢いそのままに、織田を下しにいくこととします」
「隆景、だがむやみに敵にぶつかっていくなんてことは無いだろうな」
「ちゃんと策を練ってあります。
我々は動員できる兵が織田より多い、
ですので我々は軍を三つに分けることとします。
ひとつは我が小早川が中心の山陽道から進軍する軍、
もうひとつは水軍が中心の瀬戸内海から進軍する軍、
最後は山陰道から京の背後まで進軍する軍、
この三つでいこうと考えています」
「ほう、三方面からの同時攻撃か。
それは考えたな」
「山陽は先ほど言った通り私が、
山陰は兄上が担当してください」
「叔父上、ありがとうございます。
皆は直ちに戦さの準備をしろ」
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「えっ、縁談?」
「そうだ、お前ももういい年ではないか。
そろそろ嫁でももらわんと思って探していたら、
いい娘を見つけた」
「叔父上、誰ですか?」
「内藤隆春殿の娘だ。
なかなかの美人らしい」
「内藤隆春・・・」
誰だっけ?
えーと、確か父上の奥さんの・・・
「どうした元広、
内藤隆春殿は我が兄上の正室・尾崎局様の兄上、
つまりわしの義理の兄に当たる。
その娘は20歳だ。
少し年齢にさがあれどこれぐらいは大丈夫であろう。
これから織田との戦いで忙しくなる。
その前に婚儀を挙げたいと考えておる」
「ちょ、ちょっとお待ちください」
元の世界でも結婚なんてしたこと無いのに
この世界ですぐ結婚って、
やばい。心の準備が・・・
「どうした。元広、
明後日婚儀を上げる。準備しておけ」
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そして婚儀の日。
とうとうこの日がきた。
縁談を聞いてからの2日間、心の準備に追われていた。
そして今日、多治比猿掛城で婚儀を行った。
「初めまして。内藤隆春の娘・龍で御座います」
「毛利元広で御座います。よろしく」
いい娘だ。
こんないい娘、元の世界じゃ絶対に出会えない部類の娘だ。
そんなことを思いながら夜の眠りについた。
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この日、毛利軍は軍勢を三つに分けて東へ進軍を始めた。
とうとう織田との戦いが始まる。




