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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第3章・織田家襲来
28/55

第25話・夫婦になろうよ

【天正4年・毛利元広】

尼子残党の討伐も切り上げ、

俺は郡山城にいた。


「乃美宗勝、このたびの兵糧搬送は見事であった」

「殿、ありがとうございます」

「輝元、これからどうしようと考えているのだ?」

「元春叔父上、それは隆景叔父上から」

「はい。今回の兵糧搬送で、

 織田の水軍を破ったのは知っての通りだが、

 その勢いそのままに、織田を下しにいくこととします」

「隆景、だがむやみに敵にぶつかっていくなんてことは無いだろうな」

「ちゃんと策を練ってあります。

 我々は動員できる兵が織田より多い、

 ですので我々は軍を三つに分けることとします。

 ひとつは我が小早川が中心の山陽道から進軍する軍、

 もうひとつは水軍が中心の瀬戸内海から進軍する軍、

 最後は山陰道から京の背後まで進軍する軍、

 この三つでいこうと考えています」

「ほう、三方面からの同時攻撃か。

 それは考えたな」

「山陽は先ほど言った通り私が、

 山陰は兄上が担当してください」

「叔父上、ありがとうございます。

 皆は直ちに戦さの準備をしろ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「えっ、縁談?」

「そうだ、お前ももういい年ではないか。

 そろそろ嫁でももらわんと思って探していたら、

 いい娘を見つけた」

「叔父上、誰ですか?」

「内藤隆春殿の娘だ。

 なかなかの美人らしい」

「内藤隆春・・・」


誰だっけ?

えーと、確か父上の奥さんの・・・


「どうした元広、

 内藤隆春殿は我が兄上の正室・尾崎局様の兄上、

 つまりわしの義理の兄に当たる。

 その娘は20歳だ。

 少し年齢にさがあれどこれぐらいは大丈夫であろう。

 これから織田との戦いで忙しくなる。

 その前に婚儀を挙げたいと考えておる」

「ちょ、ちょっとお待ちください」


元の世界でも結婚なんてしたこと無いのに

この世界ですぐ結婚って、

やばい。心の準備が・・・


「どうした。元広、

 明後日婚儀を上げる。準備しておけ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そして婚儀の日。

とうとうこの日がきた。

縁談を聞いてからの2日間、心の準備に追われていた。

そして今日、多治比猿掛城で婚儀を行った。


「初めまして。内藤隆春の娘・龍で御座います」

「毛利元広で御座います。よろしく」


いい娘だ。

こんないい娘、元の世界じゃ絶対に出会えない部類の娘だ。

そんなことを思いながら夜の眠りについた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


この日、毛利軍は軍勢を三つに分けて東へ進軍を始めた。

とうとう織田との戦いが始まる。

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