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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第3章・織田家襲来
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第23話・上様、鞆に入る

【天正4年・吉田郡山城】

なんだかいろいろありまして。

隣にいるのは、三村元親の遺児・勝法師丸であります。

あの戦いから少したったが、その間にいろいろありました。

勝法師丸を助命したことを隆景叔父上に叱られ、

毛利家内からは非難の嵐。

しかし、利発な勝法師丸がその才能を家中に見せつけ

今では非難の嵐が過ぎ去っている。

そして今日、晴れて兄上と勝法師丸との面談が叶うことに。


「久しいな。元広」

「はい、兄上」

「それで・・・。

 横にいるのが三村元親の遺児か」

「お初にお目にかかります。

 勝法師丸に御座います」

「聞いていた通り、

 なかなかの子供だな」

「いや、それは・・・」

「元広、勝法師丸はお前に預ける。

 好きにしろ」

「あ、ありがとうございます」


よかった~。


【天正4年・毛利輝元】

勝法師丸はなかなかの子供だ。

隆景叔父上の言う通り、殺害しておくほうが得策かもしれないが、

あいつさえいれば、元広が非難を受け続けるだろう。

そうなればわしに助けを求めてきて、

少しはおとなしくなるだろう。

元広よ。兄のためによくやった。


【天正4年・毛利元広】


「勝法師丸よ。先に屋敷に帰っていろ」

「はい」


・・・。

は~、よかった。

一時はどうなるかと。

兄上は俺に妙に対抗心を燃やしているから

今回もそれが出るかと思ったら、

まったくでない。

これで心配事は消えたよ。


「殿、殿ー」

「どうした。春継」

「上様が、上様が」

「上様?」


まさか・・・


「将軍・足利義昭公が備後鞆の浦に参りました」


やっぱり来たのね・・・。


【天正4年・小早川隆景】


「上様、このたびはわざわざ毛利領に下向していただき、まことにありがとうございます」

「なになに、この鞆はわが先祖・足利尊氏公が新田義貞追討の院宣を受けた地、

 ここから共に信長を討とうぞ」

「はっ」


これは真に困ったことになった。

これでは織田に真っ向から対立すると言ったようなものではないか。

かといって上様を追い出すわけにもいかず。

直ちに重臣らを集め、対策を練らねば。


【天正4年・毛利元広】

隆景叔父上の召集で、

各地にいる重臣が郡山城に集結した。


「上様が備後の鞆の浦に来たと、ここにいる方々を聞いておられますね。

 このまま上様に鞆にいられては、毛利家としても都合が悪い」

「隆景殿、そうは言うが、上様は征夷大将軍。

 いろいろと利用できるのでは?」

「隆家殿のおっしゃる通り、確かに利用価値がないわけでもない。

 しかし、問題は織田家です。

 詳しいことは恵瓊殿から」

「織田殿は、上様を引き渡すようおっしゃっております。

 引き渡さなければ、それなりの対応に出るとも」


その言葉を聴き、一同静まり返った。

やっぱり将軍が問題なんだな。

そんな中、一人の男が立ち上がった。

その男は、村上武吉。


「ここまできては、もう織田と戦うしかありませぬ。

 領内でも対織田を風潮が高まっております。

 ならばこの機を逃して織田を戦う時がありましょうか」

「村上殿の言い分もわかるが、今織田と正面衝突しても、

 織田の勢いに負けるのではないか?」

「そうでしょう。

 ならば直接戦わなければいい」

「なに?」

「恵瓊殿、織田が次に攻めるところはわかりますか」

「確か・・・、本願寺と再び戦うとか」

「ならば都合がいい。

 本願寺に兵糧でも運び込んで加勢すれば、

 織田と敵対し、なおかつ、

 織田との正面衝突を避けられる。

 本願寺も織田との度重なる戦いで消耗しているはず。

 きっと受けてくれるでしょう」

「各武将方は、それでよろしいのですか」


皆が頷いた。


「ならばそれで行きましょう。

 村上殿、頼みました」

「期待にこたえて見せます」


こんな感じで毛利家は織田との敵対を決定しました。

これからどうなるかな・・・

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