第22話・利発な子供に御用心
【天正3年・毛利元広】
三村家との戦いにあっさり勝利した我々は、
首実検やらをするため松山城に残っていた。
「元広、元広は何処じゃ」
「元春叔父上、どういたしましたか?」
「おぬしの取った兜首。三村の家老のものだ」
「えっ。本当ですか?
なんと・・・(あんなあっさり斬った武士がそんなお偉いさんだったとは)」
「これで周囲もおぬしを完全に認めてくれるであろう」
「ありがとうございます」
「わしはこれから山陰に戻らねばなるまい。
尼子の残党狩りだ。元長がよくやっているというが、あいつだけでは心もとない。
それから、隆景が呼んでおったぞ。早くいってやれ」
「はい、承知しました。叔父上、いってらっしゃいませ」
「おう」
隆景叔父上が一体何の用だ?
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「来たか、元広」
「隆景叔父上、何か御用でも?」
「用があるから呼んだのだ。
話を聞け」
「はぁ」
「今回の戦で腹を切った元親の子供の処分を頼みたい」
「子供、ですか」
「そうだ。その子が凡庸ならば放っておき、利発ならば殺害しろ」
「そ、それはいくらなんでも」
「後に遺恨を残さぬためだ。
元広、頼んだぞ」
子供殺すって・・・。
まあ、一度会ってみるか。
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「お初にお目にかかります。
三村元親が子、勝法師丸にございます」
・・・、利発だ。
利発すぎる。この子まだ8才だろ。
8歳でこれは利発だ。
体中から利発オーラが滲み出ている。
これは、これは・・・
「どうされました?」
「い、いや。なにも」
「私は、殺されるのですか」
「な、なにを・・・」
この質問はだめだろ。
「いや、それは・・・」
「私は殺されるのでしょう。
後に遺恨を残さぬようにするために。
殺されるのでしょ」
こんなこと言われたら殺せないじゃん。
子供+こんなこと言われる=殺せない
の式ができあがてしまった。
「殺さない」
「えっ?」
「お前は、俺が殺さない。
心配するな」
もうこうなったらどうでもいい。
俺はこの子を助ける。
・・・・。叔父上になんて言おう・・・。
前の話投稿してから今回の話投稿するまで早過ぎ!
って、言わないで。




