第21話・備中兵乱終結
【天正3年・毛利元広】
いろいろと軍議と喧嘩を重ねた叔父上たちは、
最終的に隆景叔父上の言った、
「松山城を囲む城を落として外との通信を途絶えさせる。
その後、孤立した松山城を兵糧攻め」
の方針で行くということになり、
元春叔父上の、
「わしの使者を追い払ったからには直ちに松山城へ攻め寄せ、一気に落とす」
はあえなくボツ案となった。
それはともかく、
今、俺は松山城を囲む軍勢に加わり年越しをし、
今は叔父上たちが松山城周辺の城攻めから帰ってくるのを待っているという状態だ。
「殿、城攻めに出ていた武将が帰ってきております。
今から軍議とか。殿も早くご準備を」
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「元春叔父上」
「来たか。早いな」
「城攻めはどうなりましたか?」
「もう三村には何の力がないことが浮き彫りになったよ。
我らの軍勢が攻め寄せたらすぐに降伏してくる。
この調子だったらすぐにでも松山城は落ちる」
「そうですか」
「そもそも兵力の差が10倍もあるようじゃ、戦いにならないということだ」
「兄上」
「なんだ?隆景」
「天神丸をはじめ、松山城の出城が次々と内通してきています。
兄上、元広、今から
松山城へ仕掛けます。準備を」
とうとう最後か。
今回は出番なしか・・・。
【天正3年・三村元親】
「殿、もうこの城は終わりです。
勝法師丸様とともにお逃げください」
「だが、それでは皆に迷惑をかけてしまう」
「そのようなことございません。
早くお逃げください。
そろそろ毛利の軍勢が押し寄せてまいりましょう。その前に」
「皆、済まぬ」
どれもこれも宇喜多のせい。
宇喜多さえいなければ、宇喜多さえいなければ・・・・
【天正3年・毛利元広】
「開門!」
その声とともに城門に丸太が押し付けられ門が開いた。
その瞬間、松山城の兵士と毛利軍の兵士が戦いを始めた。
「元広、出遅れるなぁ」
「はー」
やっぱりいつ体験しても戦はいやだな~。
「おい、そこのお前、なかなかの身分のものと察する。
冥途の土産におぬしの首をいただく」
「なんだとぉ」
「いざっ」
あー、向かってきたよ。
本当に向かってきたよ。
おれ知らないよ。
どうなったって知らないよ。
なんて思ってたら首取れてるよ。
「大丈夫ですか」
返事するわけないか。
首取れてるし。
内容も最後もあっさりいっちゃっていいのかな。
「元広、何をしている、って、
これ、お前がやったのか」
「はい、一応・・・」
「しかも兜首ではないか。
でかした元広。その首はお前が持っておれ。
もうすぐ本丸だ」
「は、はい」
なんだかすみません。
【天正3年・三村元親】
もう終わりだ。
もう、終わりだぁー。
「もう終わりだ。終わりにしよう。
わしは腹を切る。毛利に使者を送っておいたから、
お前たちは何の心配もいらない。
達者で暮らせよ」
毛利に恨みはない、
恨みがあるのは宇喜多だけ。
宇喜多め、覚えておれ。
あの世で呪ってやるーー。
ここまでためたくせにあっさり終わらせました。
なんだかすみません。




