第18話・東の火種、西の危機
今回は主人公出てきません。
【元亀3年・足利義昭】
信長めー、
このようなものを儂に送りつけて来よって。
ふんっ。まあ良い。信長の悪行もここまでよ。
近々、武田の軍勢が京にやってくる。
そうなれば信長もついに終わる。
それまでせいぜい騒いでおれ。
あっはっは
【元亀3年・三方が原″徳川家康″】
「ええい、織田の援軍はこれだけかー」
「申し訳ございません。なんせ織田家は兵が足りないもので」
「申し訳ない。汎秀殿のせいではない。だがこれでは武田との兵力差があまりにも大きい。
これでは地の利を知り尽くしている我が軍でもなかなか難しいところ・・・」
「となると、籠城戦ですか」
「ええ、そうなりましょう。忠次、今すぐ浜松城での籠城に準備をせよ」
「はっ」
今武田に負けることはできん。
これも徳川の未来のため・・・・
【元亀3年・三方が原″武田信玄″】
「織田の援軍がたった3千か。織田は大事な盟友にこれだけの援軍しか送らんとは。
徳川がかわいそうだのう」
「殿、徳川方のめぼしい城はすべて落としております。
あとは浜松城を残すのみ」
「まあそう焦るな昌景、我らと徳川との兵力の差は明らか。
このまま城を攻めてもよいがそれでは時間がかかりすぎる。
こちらが優勢ならば野戦に持ち込んだほうが得策であろう」
「ですがどのように?」
「なに、我が軍が浜松を無視して西に行くとの情報を流す。
そうなればこれ以上自領を荒らされたくないという徳川方が必ず我が軍にかかってくるだろう」
「そうなればこちらの勝ち、ですか」
「そうだ。これに勝ちさっさと上洛を果たそうではないか」
わしの命はそう長くない。
わしの死が先か、上洛が先か。
だがまずは、この戦いに勝たねば武田に未来はない。
武田の未来のために・・・・
【元亀4年・吉田郡山城】
「兄上、また来ましたぞ。京の将軍からの書状が。
武田が徳川を破り今年中にも上洛するから我らも軍を率いて上洛し、
織田の軍勢を蹴散らせと」
「また来たのか。将軍もこりんのう。隆景、握り潰しておけ。
こう何度も何度も書状を送られては迷惑以外の何物でもない」
「ですが相手はいっても将軍、無碍にはできますまい」
「そうはいってもどうする?将軍の言うとおり軍を率いて上洛するのか」
「いえ、そうではありませぬ。ただ、将軍の書状に返事の一つや二つ、書いて送るぐらいはやらねば」
「うん、そうだな。隆景、おぬしに任せよう。わしはいざという時のために兵の訓練をしておくわ」
「織田のことを気にしておられるか」
「いや、だが近々何かが起こるような気がしてな」
「まあ、織田はしばらく武田に付きっきり、我らに向かってくることはないと思いますので、
兄上の心配事は別のことであろう・・・・」




