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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第2章・いざ戦場へ
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第16話・死の前に

【元亀2年・吉田郡山城】

話は元就公の死の前にさかのぼる・・・



「元春、た、隆景はおらんのか」

「父上、元春で御座います」

「元春、は、はいれ」

「父上、ご気分のほうは」

「わしは、もう駄目じゃ。今まで知略の限りを尽くして、

 安芸の一国人だった毛利家を、中国地方の大大名までのし上げてきた。

 まだまだ敵も多いが、わしの出番はもう終わりよ」

「何をおっしゃるか父上、才菊丸もまだ4つ、これからではないですか」

「わしを、隆元のところに行かせてくれ。

 毛利は、わしが居なくとも立ち回れる。おぬしと、隆景が居ればの」

「父上っ」

「元春、一つ、伝えねばならないことがある」

「なんでしょうか?わしが死んだら、我が毛利の家名を残すことを優先せよ。

 毛利の家名さえ残っていれば、どのような窮地も乗り越えることができよう」

「はい」

「それと、これは元広に伝えてくれ」

「なんでしょう」

「あいつの母親を殺したのは、

 隆元だ」

「兄上が・・・・」

「これは、気を見て、元広に・・、伝えて・・、くれ・・・」

「父上、父上ー」


【元亀2年・毛利元広】

祖父上死去の話を聞き、急いで吉田郡山城へ急いだ。


「来たか、元広」

「遅れて申し訳ございません。隆景叔父上」

「いや、だが、もう葬儀は始まっている、急げ」

「はい」


俺は急いで葬儀場に入った。


「遅れて申し訳ございません。元春叔父上」

「元広か。ま、まあ良い」


ん?

なんか今日の叔父上は少しおかしいような・・・

祖父上がなくなって動揺しているのだろう。

俺だって、これから毛利家はどうなっていくのか。

どう変わっていくのか。

不安でしょうがない。

だが、気を確かにもってやっていかないと、このご時世、人の死は何度も体験するだろう。

しかし、祖父上が亡くなった今、兄上は当主としてちゃんとやっていけるのだろうか。

葬儀の後、兄上と一度、ちゃんと話してみよう。


【元亀2年・吉川元春】

父上のあの言葉、本当なのか。

兄上がそのようなことをするのか。

だが、そんなこと、今さら言っても真相は分からん。

このことは、わしの心中に収めておこう。

時が来るまで・・・


【元亀2年・毛利元広】


「兄上、今後の毛利家をどうするおつもりでしょうか?」

「今後?それは、祖父上の遺言通り今の領地を守るだけだ」

「もし敵が攻めてくれば?」

「叔父上に任せるだけよ。叔父上なら何とかしてくれる」

「叔父上ですか」

「他にないなら出てってくれ。ちょいと用があるからな」


やはり毛利輝元は史実と変わらないのか。

毛利家は何処に行くのか・・・

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