第15話・毛利の大柱、死す
間があいてしまい申し訳ありません。
今回は少し短くなっています。
【元亀元年・吉田郡山城】
年号が永禄から元亀に変わったこの頃、
吉田郡山城の一室で、元春叔父上と隆景叔父上がなにやら密談していた。
「兄上、元広はどの調子ですか?」
「元広か。大内輝弘を破ってから、調子が良くなったな」
「使えますか?」
「奴はまだまだ未熟だが、これから武士としていろいろ教えていけば、
十分使える」
「そうですか。それで、元広の婚姻の件は?
輝元も結納したわけですし」
「それは、手ごろな娘がおらんのだ。
誰かおらんか?」
「時期によい女子が出てくるであろう。
それより父上はどうなっていますか?」
「戦から戻ったきりまだ回復していない」
「父上も年ですからしょうがないかもしれませんが」
「そうだな。
あの歳で出陣するほうがすごいからな。
それより隆景、最近戦続きで領国に帰っていないだろ。
奥方も待っておろう。帰ってやれ」
「兄上も帰っていないのでは?」
「元長が居るから心配ないだろ。
父上は任せろ」
「はい。それでは、帰らせていただきます。
失礼します」
【元亀元年・毛利元広】
あー、疲れた。
この家はブラック企業か。
去年の年末からろくに休みもなく3回も合戦やってきて
心も体もくたくただよ。
しかも叔父上が郡山城にいろというからいるのに
何にもすることがない。
早く城にかえらせろー。
・・・あー、リフレッシュしたい。
【元亀元年・金ケ崎】
「おい、どうなっているのだ」
「信長様、浅井が朝倉方に寝返りました」
「嘘を申すなっ。浅井が裏切るなどありえん」
「信長様、お市様が信長様にと」
「これは・・・」
「小豆袋の両端にひもが」
「くっ、井の中の蛙、ということか。
・・・撤退を始める」
「ならば某に、殿軍をお任せください」
「サル、おぬしに任した。
皆の者は撤退の準備にかかれ」
【元亀二年・毛利元広】
郡山城での勤めを終え居城に帰っていた俺に驚くべき話が伝わってきた。
中国地方の覇者にして、我が祖父・毛利元就が死去した。
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