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衆の子、毛利の子  作者: ルビー
第2章・いざ戦場へ
12/55

第10話・戦というもの

【永禄11年?いや、12年・多々良浜】

もう年越してるかな?

それとも年越してないかな?

わからないくらい周りは暗いです。


「元広、何している。そんな調子だったら戦の時に戦えんぞ」

「今までも戦、ありませんでしたから、今回も」

「まだそんなこと言ってるのかっ。

 いつまでも遊山気分ならお前死ぬぞ」

「・・・」

「・・・」


怒鳴られてからしばらく沈黙が続いた。

これはただ単に空気が悪くだっただけなのか、

それとも嵐の前の静けさというものなのか、

分からない。

分からない・・・


「見えました。大友の軍勢です」


えっ、どれどれ。

物見さんどれですか?

……、もしかしてこの前の全部?

今までで一番多いよ。

あの沈黙は嵐の前の静けさでした。

やばい、今頃になって緊張してきた。


「元広、一気に切り込むぞ。準備はいいか」


はい、準備万端です。

なんて言えるわけないでしょ。

さっきまで敵なんて来ないって思ってったんだから。


「少し待ってください」

「何を言ってる。

 敵は待ってくれん。行くぞ」


しょ、しょうがない、ここは覚悟を決めて。

男・毛利元広、戦国時代に生まれてはや15年、

いまから戦場に突入します。


「かかれっーー」


元春叔父上の掛け声で一気に突入。

敵陣の中に入っちゃいました。


相手を罵るさまざまな怒号が響き渡る中、

俺に向かってくる一人、いや二人、三人、とにかくいっぱいいます。

でもやっぱり覚悟が決められない。

これ現代でやったら殺人だから。

ん?現代っていつ?ん?


「馬鹿者。なぜ戦わぬっ」

「えっ。いや……」

「お前はそんなに愚か者だったか」

「早よやらねばやられるぞ」


そんなこと言われてもできないって。

人殺しなんて……


「元広、やれっ」


叔父上の怒鳴り声が聞こえた。

振り返ると刀を振り上げた中年の男が襲い掛かってきた。


「隙ありっ」


俺は思わずのけ反り馬から落ちた。


【おそらく永禄12年・多々良浜】


「おい、元広起きろ。死にたいのか」


う、ん?ここは?


「起きたか、手を煩わさせるな。

 ここは一旦退くぞ」

「え?」


一体、なにが、起きたんだ。

手も、足も、震えて止まらない。

こ、これは、一体、なんなんだ。


「元広、分かったか。人を殺しあって勝敗を決める。

 これが戦というものだ。

 そして武士に生まれた以上、

 人を殺さずに生きていくことはできない。

 お前も死にかけてわかったろ」

「・・・・・」


これが戦?

戦というものなのか?

そして武士に生まれた以上、

人を殺さずには生きられない。

これが……戦……



※2015年12月29日

 会話部分、合戦描写変更

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