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11月7日

4コママンガみたい小説は書けないものだろうか。

そう思って書いてみました。

続くかもしれません。

11月7日


 僕は猫を飼っている。


 そう。

 ゴロニャーンと鳴いて背中をスリスリ摺り寄せてくる、あの可愛い獣だ。

 まだ子猫なもんだから、かわいさも磨きがかかっている。

 はっきりいって尋常じゃないかわいさだ。

 泥水の中をのたうちまわりながら、


「かわいいぞぉおおおっ」


 と叫んでもまだ足りないくらいのかわいさだ。


 拾ってからまだ一ヶ月と経っていないが、すっかり僕になついている。

 片時もそばを離れようとしなくて、それでちょっと困っている。

 今日も、高校へ行こうとするとついてきてしまった。


 来るな、帰れ、と言ったところで相手は猫だ、聞くはずもない。

 どうしようかと立ち尽くす僕の悩みなんてなんのその。

 猫は家にいるときと同じ調子でスリスリしてきた。

 あま噛みしてくるのも、いつもと同じ。


 こら。

 リラックスしすぎだ。

 ここは外。

 別の猫の縄張りかもしれないぞ。

 不法侵入がばれたらリアルファイトだ。

 おまえみたいな子猫、瞬殺だぞ。


 ツッコミを入れながらも、やっぱりかわいい。僕はニヤけてしまった。


 バリッ。


 おいおい。あま噛みが強すぎるぞ。袖が千切れちゃったじゃないか。


 あれ。


 その袖、中身が入ってないか?


 あれ。


 なんだ。

 肩が軽いぞ。


 そして痛いぞ。

 ものすごく痛いぞ。


 僕が住んでいるのはドがつくくらいの田舎である。

 家からバス停まで、田んぼのあぜ道をたどらねばならない。

 もちろん途中に民家なんかなく、とうぜんながら携帯電話も圏外だ。

 なので僕はケータイを持っていない。


 問題は、行くか退くかだった。

 このままあぜ道を進んで県道に出て、誰かが通りすがることに賭けるか、それとも家へ引き返すか。


 僕は『行く』を選択した。


 さいわい出勤時間だったので、3分間倒れていただけで車が通りかかった。

 血の海に浸かりながら子猫にじゃれつかれている僕を拾って、その人はシートが汚れるのも頓着せず、病院まで送り届けてくれた。

 そして名も名乗らずに、どこかへ行ってしまった。


 ありがとう。

 どこのどなたかは存じませんが、あなたは命の恩人です。


 腕は無事につながった。医療の進歩はすばらしい。

 一週間くらいで退院できるそうだ。

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