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ある日の午後  作者: ラゼル
Chapter 1
9/72

It rains cats and dogs.

散策編これにて終了

ふー。

サブタイが浮かばなくなってきた…。のーん。

 


 ザー ザー グォロロロ… ピシャーン ゴロゴロ


 ザーザーザー ヒュオー


ピカッ ズドォォォォン… ザー


「……………。」

 本屋さんの窓から外をぼーっと眺める。


 すごい雨。さらに雷。

 これ軽く嵐だぞ……。


 そりゃあ、さ。家を出る前に今日暑いなー雨降ったら涼しくなるのになーって言ったけどもさ。流石にこれはひどいと思うんだわ。私雨女だったっけ……?

 折り畳み傘は持っているし、いつこれが止むかわからないし、これ以上ひどくなる前に駅に早く戻らないと、いつまでここで雨宿りすることになるかわからない。


 ――よし! 覚悟を決めよう。


「じゃあカイトいきましょう。折り畳み傘で二人入るのは少し無理はありますが、無いよりはマシです」

「あぁ……だな。しかし急に天気が変わったな」

 とにかく、2人で早足で歩いて行く。傘を伝って激しい雨音が耳につく。


「……………。」

「……………。」

 あぁ、本当に雨足が強い。それに雷が鳴っているというのが不安に拍車をかける。そしてさっきよりもさらに足を早く進めていくのだが……。


 ゴォーーー!! と風が吹いたと思ったら、ガバァっと目の前に金属の曲がっている様とピンクのビニールが……。


「……………。」

「……………。」

 折り畳み傘が裏返った……。

 駄目だ……傘が役に立たないほど酷い天気だ。


 ダダダダダダダダ……と足を大きく動かして、二人して無言で雨の中を駆け抜ける。

 あーもう信号早く変われよ! と思っていると……。


「悪い。抱えるぞ」

 とカイトに声をかけられたかと思ったら、ヒョイッと肩に乗せられる。そして、ぐっとお腹に軽い衝撃。


 そして、ぐわっと加速する。

 うおっ速い……。それにちょっと怖、

「ちょっ カイト」

「喋るな 舌噛むぞ」


 ――俵担ぎリターンズだ。


 うん。確かにそのほうが賢明だろう 身体が揺ーれーるー

道順を指で示して教える。あの建物の中通ったら少しは濡れないだろう。 


―――――――――


「はぁー着いた。降ろしてください。この建物通って駅まで行きましょう。

ここから駅までつながっているので」

「あーもう。髪も服もびっしょりだな。」

「ええ。靴もぐっしょりです」

 ……あぁ、私たちが歩いた後に水跡が。


 歩きながらタオルを彼に手渡して、

「とりあえずこれで髪だけでも()いてください」

「お前が先拭けよ、ほら」

 わしゃわしゃわしゃと大きなごつい手が優しくタオルを通して髪に触れる。指がするりと髪の間を抜ける。

 ……うわー。保育園以来だ。

「…………。」

 駄目だ恥ずかしくて死ねる……!


「―っう ありがとうございます。 もうだいじょぶですから 次どうぞ」

 わーわーうわー! 絶対顔が赤い 頬熱い…。


「わかった」

 少し目を丸くしたカイトも髪を(ぬぐ)う。


 ふー。ちょっと落ち着いたかも。しかしつい早歩きになってしまった。

先刻(さっき)のはからかってるとかじゃなく無意識・無自覚だろうな。

 ……(おそ)ろしい人だと慄く。


 お。改札見えてきた。カイトの切符はどうしようか。

カイト皆に見えてないんだよね。そのまま通ってもらうか? 無料(タダ)になるし……。

 いや、でもカメラにもしかしたら映るかもしれないし、不安要素は少しでも減らしておくべきだよなと考え直した。


 うん、カイトの分の切符買っておこう。


「はい。これカイトの分の切符です。あの乗り物にのって私の家の近くまで行きます。これはそのための料金と引き換えて入り口を通るためのものです。」

「あぁ すまんな。でもどうやって通るんだ?」

 あーっと どうやって説明しようかな?見本をみせた方が手っ取り早いな。お約束で改札に挟まってくれたら面白いけど……。

 さっきのエスカレーターの件もあるし、ちゃんと丁寧に見本の役割を果たそう。

「はい。こんな感じです。切符をこの横の穴に入れてこの扉が開いたら早めに通って、そんでここから切符が出てくるので取って、なくさないように持っておいてくださいね」


「あぁ…… やってみる」

なんか心なしかおどおどしてるな……。

 まぁ先刻(さっき)もうっかりこけかけたし二の舞はするまいってトコだろうか。


「おおーっ! よく出来ました。 じゃあ行きましょう」

 カイトの手を引いて急行の電車へ向かう。

 難波は駅の終点なので座席を確保しやすい。

「じゃあそこ座ってください。私の家の近くになったら降ります。そのときはまた教えるので。」

 カイトに言って、その隣に座る。


「おう ありがとな」

 とポンポンと頭を軽くたたかれて、そして手が頬に下りる。

「んー? なんかお前身体冷えてんな。俺のジャケット着とけ」

 と気を使ってくれて肩にジャケットをかけられる…、のだが。


――うおっ!? っと内心声をあげる。


 重い! 本当に重いですよ。コレ…。ダンベル並みじゃないの!?


「何が入ってるんですか!? このジャケット重いんですけど……。」

「あー隠しナイフとか拘束錠とか色々だな」

「うわ 物騒ですね。 まぁでもその辺は置いときます。 上着ありがとうございます」

使い方は気になるけど 聞かないでおこう……。


 ふぅ、何だか疲れたな……と息をついた。電車が客で埋まっていき、少しするとドアが閉まって、電車が発車した。


 ――っは! と意識が覚醒する。


 っえ? あ……寄りかかって寝てた。今どこの駅だろう? とババット窓の外をみる。やばいこの駅だ。ぐぃっとカイトの手をドアまで引っ張った。


 シュー、パタン……と両扉が機械的に閉まる。何とか、乗り過ごす事なくホッとするも文句が口から出てしまう。

「ふー、ぎりぎりセーフ。もう起こしてくださいよ、カイト。うっかり乗り過ごすとこでした」

「悪いなー 寝顔見てたら起こすのに忍びなくてなー」

 悪いと思ってないですよー。めっちゃ顔笑ってるじゃないですか。


 ……口開いて寝ててなければいいけど。さすがに間抜けだよな。

今回は雨のシーンが一番ザクザク筆が進んだ。


タイトルは土砂降りの雨が降るです。

まんまですねー。

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