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ある日の午後  作者: ラゼル
Chapter 3
44/72

Love is being happy just knowing that he is happy ……but,

久しぶりの更新です。遅くなりました…。

引き続き飲み会です。

個室でもカウンター席の中央からの肉を焼く匂いとジュージューという音がする。

 そしてパタパタと団扇を扇いでいるんだろう。肉の焼けた匂いが外に流れる。これを店の外に流されたら客も涎をたらさずにはいられんだろな。いい売り方だ。


「なぁ、お前」

 ユリウスがこちらの顔を覗き込んでくる。何だ改まって。


「何だ?」

 と、返事をしながらも塩付けされた皮や甘辛いタレの付いた腿の焼き鳥を頬張りながら麦酒を流し込む。

 あー、美味い。美味いなぁ。この組み合わせは鉄板だな。けど何かさっぱりしたものも欲しいな。何か追加するかな? それか甘い物…。うーん何にしたものか。


「恋人出来たのか?」


 ナンダッテ……?


(まさかそういうことに関しては”疎い”の一言のユリウスが?)


――天変地異の前触れか…!?


 というか俺か?


 もくもくと口の中にある焼き鳥をごくりと飲み込んでから聞く。

「……何でそう思ったんだ?」

「だってそれ…」

 と指をこちらに向けるそれは俺の耳元を指差しているようだ。もしかして……


「それってこれか?」

 とこちらも指をさして芽衣からもらった左耳の白い鉱石(いし)を示してやる。


「あぁ、そうだ」

「でも、それだけでそう思ったのか?」

(まぁ、そりゃ無いだろ)


「妹が……」

「レインが?」

 レインはユリウスの真ん中の妹で、その下と上に弟と兄がさらにいる。小さい頃遊びの相手をして以来ずっと会っていないが元気だろうか。その時は、オママゴトとか妙なことをさせられたものだ……。しかし女は小さくともしたたかで強いものだ。


「”異性”が相手に身につけるものを与えるのは独占欲の現れなのよ。お兄様って……」

(それはきっと殿方がってことだろうに)


「……レイン何歳だっけ?」

「15」

「…………。」(…マセガキ)

 それは15の女のセリフなのか、末恐ろしい。ユリウスよりも早熟なんじゃないだろうか。

「まぁ、これは一応女性に頂きましたけど、恋人じゃねえよ?」

「そうなのか。でも……」

(まだあんの?)

「それを受け取ったということは特別ではあるのだろう」

「……まぁ。そうかもな」

 と答えながらも麦酒に手を伸ばす。あぁ、注文し損ねちまった。今部屋に店員が入ってこられても困る。


 独占欲。相手を自分のもの自分だけのものにしたいと思う気持ち。

だけど相手を所有したいとアイツは思っているのだろうか。

 いや、俺にわかりやすい見返りを求めては来なかったし、それに自分自身つまり自分の領分は”自分のもの”だと考えていそうだ。それはある意味一般的考えとは”違う”んだろう。例え異世界であったとしても、だ。アレは何に影響を受けて生きてきた? そんなん無視して理不尽に踏み込んでくる輩なんて当たり前にどこにでも存在しているだろうに。だけどだからこそアイツは相手に肝心な所で踏み込まない。相手に何かを要求しない。むしろそれは生きていくうえできっと損をするだろうに。欲しいなら欲しいといえばいいのにアイツはきっと欲しくても素直に言わない。自分から与えるばかりだ。アレは元々の性格だな。あれは、……何というか、あー、……バカじゃないのか?


 まぁ、俺に対して依存はしつつあるのだろう。それは異世界人ということからなのか、おれ自身が気に入ったのか、それとも周りとは一線を画したもの、かかわりの無いもの。つまり自分のいつもの行動範囲外。だけど俺にここに居ろとは言わない、言えない。言葉にはしない。

依存から独占欲というのは発生しないとは言わないが、まだその段階には至っていないだろう。せいぜい子供がおもちゃに名前を書いてみたよー程度のもの。アレ? それって独占欲?

 恋愛的な、そういう類の甘さはないけどな。 あれ? 独占欲? なのかコレ。


「…………。」

「どうした? 急に考え込んで」

「…いや、スマン自分でもよくわからん」

 俺の勘鈍ったか? いやでもなぁ、これ恋人的なヤツじゃないだろ。だからか?


「そうか、ふむ、それで相手は芽衣嬢か?」

(何か今日コイツ鋭い)

「あぁ、まぁ消える前に着けていなかったんならそれしかないだろうな」

「……そうか。」

「…………ん」


 相手は自分のもの。恋愛が絡むとそういう思考に陥りやすいのはまぁ、わかる。

 けれど相手の全てなんてきっとそのまま許容できる人なんてそう多くは無い。


 芽衣に欲しいといわれて全て差し出せるか、といわれればNO。まぁ、言わないだろうが。

 そんなのは歪としか言いようが無いのだ。長くは続かない。それは芽衣のためにもならないし、

 俺にとっての今の関係を面倒な関係へと成り下がらせるものとなるだろう。


 では、独占欲を示されるなら?

まぁ、それだけならいい。というか示すだけでもアイツ大分楽になんじゃねぇの?

 示すだけならタダだ、とでも図太くなってくれたらいいんだけどなぁ。

 独占欲は未だ抱いてはいない? いや抱いているのかはわからないが少なくとも心の大部分は占めてはいない。でも他の感情もけっこう胸のうちに吞みこんで言わない。そう例えば、心の中でぐるぐると渦巻く何か。それは表に出さない。そう、誰にも。



 ――馬鹿じゃないのか。



「あー、どうすっかなぁ……」


「……?」

(カイト何言っているんだ?)





Love is being happy just knowing that he is happy


…but that isn't so easy


――大好きって彼が幸せだとわかるだけでも自分も幸せになること


でも、それはそんなにたやすくないのだ。


(そう、だけどきっと何かをすり減らしているのだろう。)

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