プロローグ
三十年前、人類は栄華を極めた。
急速に発展し続ける科学技術。
発達する情報ネットワークにより世界は一つにまとめられ。
人身物資輸送の高速化によって世界は確実に小さくなっていった。
そして―――バイオテクノロジー。
ついに、人は゛生命゛を人為的に作成可能にするまでに到る。
恐らく、多くの人がこう思っただろう「我々は神と同列になった」と。
栄華と共に゛驕り゛までも極めた人類は未曾有の危機に直面する。
それは、゛大人しか発症しない奇病゛の蔓延である。
環境破壊に対する自然の反撃か、突然変異による偶然の産物か、細菌兵器に固執した大国の過ちか。
それとも、自らを神と驕り始めた人類への゛神゛による戒めか。
真実は未だに明らかになることは無かった、明らかにすべき゛大人゛が全ていなくなったのだから。
世界人口の約六割が死亡、残されたのは0歳から二十代前半の若者のみである。
大人たちの消えた事により生じた混乱により各国を繋いだ情報ネットワークは寸断され世界は一つではなくなり、多くの輸送機器が運用不能となり世界はかつての大きさを取り戻した。
他の国では何が起きたかわからない。
しかし、ある東洋の島国かつては゛日本゛そう呼ばれた土地ではある変化が現れた。
秩序が乱れ、混乱の嵐が吹き荒れる中゛彼ら゛が動き出す。
゛彼ら゛はかつて都心と呼ばれた所に密集して存在した大学で学ぶ学生の有志たちだった。
゛彼ら゛は大学を中心とした学園都市の形成を唱えた。
最初は、耳を貸す者などいなかったが、確実に゛彼ら゛は成果を挙げていった。
安定は国内全体に広がり、自然と規範や規律、役割などが生まれた。
各種散在した大学は地方ごとに集約し、その傘下に高等、中等、初等学校が編入された。
それから三十年、゛彼ら゛は奇病によりこの世を去ったが、先人達の労苦は驚くべき形で昇華された。
安定した世界は次なる変化を求め、世界は流動する。
かつては一つにまとまった各大学はその地方ごとの些細な諍いから領地争いにまで発展し、世はさながら――――戦国時代となった。
正直、このプロローグはこの小説の世界観を出したかったんですが。
自分では気付けない矛盾が生じてる気がします。
そんな矛盾に気付いてくれた方、是非ご一報ください。