美奈子ちゃんの憂鬱 鬼ごっこはお好きですか?
本当、何年ぶりでしょうね。「美奈子ちゃんの憂鬱」シリーズ復活第一弾になれば……いいなぁ。
●桜井美奈子の日記より
「あれ?」
夜、コーヒーを飲もうと台所に向かう途中。リビングをのぞいた私の目に入ったのは、ソファーに座る葉子の姿だった。
「葉子?どうしたの?」
時計はすでに10時近く。9時にはもう寝ているはずの葉子が、ソファーに座っていた。
お気に入りの熊のヌイグルミを抱きしめ、テレビを見ていた葉子は、あれ?という顔でこっちをむいた。
「眠れないっていうから」
一緒にソファーに座っていたお母さんが言った。
「眠くなるまで、ここにいなさいって」
「ベッドの上の方がよくないの?」
葉子の頭を撫でながら、そう訊ねたら、
「お母さんの側がいいって、この子ったら可愛いこと言うじゃないの」
「だから」
「お母さん、この映画見たくてねぇ」
ぎゃああああっっ!
「ひゃっ!?」
突然、耳に飛び込んできた悲鳴に、思わず飛び上がってしまった。
驚いてテレビを見ると、血まみれの男が何かを必死に振り回している。
鈍い、何かが潰れる音に、短い悲鳴というか、断末魔の声がまじる。
俗に言うホラーとかサスペンスとかいうタイプのドラマか映画―――どっちにしても、私にとっては大の苦手なジャンルであることに代わりはない。
つまり、見たくない。
「ち、ちょっと!」
興味深そうに眺めている葉子を抱きかかえると、私はお母さんに言った。
「葉子に何見せているのよ!お母さんたらっ!」
「ええ?いいじゃない。多分、意味わかんないわよ」
「そういう問題じゃ」
「じゃ、美奈子?」
「えっ?」
「葉子、寝かしつけてあげてね?お母さん、この続きがとっても気になるから」
「……」
よくよく考えれば、葉子が眠らないから眠くなるまで放っておいた。
そこに私が来たから体よく葉子を押しつけた。
そういうことじゃない?お母さん、ズルイ。
「ねぇ、お姉ちゃん」
布団に入った葉子が、不意に訊ねた。
「鬼ごっこって、ああいうことするの?」
「ああいうこと?」
「追いかけっこ」
「……そうね」
“ああいうこと”。
その一言がどうもに気になったけど、私は適当に答えておいた。
さっきの映画のことだろう。
犯人と被害者が追いかけっこしていてるのを、お母さんが適当に“鬼ごっこ”とでもいったんだろう。
お母さん、好きなことに没頭すると他のことは本当にズボラになるから困っちゃう。
とはいえ、鬼ごっこ一つで一々説明するのも、面倒くさいなぁ。
葉子には悪いけど、とっとと寝てもらわないと、試験勉強に響いちゃう。
「多分ね」
そう、適当に答えてしまった。
「そっかぁ」
葉子は、目をらんらんと輝かせ、楽しそうに微笑んだ。
「面白そうだなぁ」
「お友達と遊びなさい?それと、ルールは、知ってるお友達に教えてもらいなさい?」
「はぁい」
「よし……続きはどこかな?」
私は、葉子のお気に入りの絵本を取り出すと、お母さんが栞の挟んでいたページを開いて朗読を始めた。
翌日。
私はこの時、葉子に鬼ごっこっていうのがどういうものか、しっかり教えておかなかったことを心底後悔することになったのは、言うまでもない。
肝心の、その翌日のことだ―――
校内新聞の校正を手伝っていた私は、その後片付けに追われていた。
先輩達は用事がどうのとかいって、こういうことは私達一年生に押しつけて、さっさとかえってしまっている。
……まぁ、先輩後輩の伝統だから仕方ないけどさ。
廃棄する原稿があと数枚というところで、シュレッダーが一杯の警告ランプがついた。
舌打ちすると、棚からゴミ袋をとりだして交換の準備にかかる。
シュレッダーは紙片が散乱するから、掃除するのは嫌いだ。
袋の交換のあと、掃除機かけて……あーあ、一人の時なのに運がないなぁ。
私が肩を落とした時だ。
ブッという音がして、壁のスピーカーから、下校時刻を知らせる音楽が流れてきた。
「校内に残っている生徒の皆様にお知らせします」
その声を聞いた私は、あれっ?と思った。
放送当番は、報道部の中でもアナウンサー志望の子の中でも選抜して行われる校内でも花形の仕事。
当然、その仕事はプロ並みなはずなのに、スピーカーから聞こえてきた声は、まるで舌っ足らずで、読み慣れない原稿を棒読みしている。
どうやら女の子らしいし、どこかで聞いた声なんだけど……これ、誰の声だっけ?
思わず壁に貼ってあった放送当番の一覧に目が行った私に、スピーカーのその声は、とんでもないことを言い出した。
「只今から、鬼ごっこを開始します」
「はぁっ?」
私はスピーカーを見た。
古ぼけた、私より年期がいっているだろう灰色のスピーカーがある。
声は、そこから聞こえたのは間違いない。
下校時刻でしょう?
普通なら、「残っている人は、帰る準備をしましょう」とか、そういうのでしょう?
誰かの悪戯?
私が疑ったのは当然だ。
だけど―――
悪戯なら、先生にすぐに止められるというか、それ以前に、厳重に施錠された放送室は入ることが出来ない。
仮に入れたとしても、普通の子が操作できるほど、この学校の放送施設は単純じゃない。
なにより、この手のことが冗談で済まされるほど、校則が軽くないことは、誰しも知っていることだ。
悪戯放送一回で停学一週間。
初めて放送室に入れてもらえた時の先輩の一言は今でも覚えている。
さすがに芸能関係者を世に送り出す明光学園。放送事故を学生の時点で叩き込む方針だというから恐れ入る。
耳を済ませると、まだスピーカーは生きている。
先生達が踏み込んだ形跡はない。
つまり、まだ放送は続いているんだ。
まだ、先生達が動いていないのがヘンだと思ったけど、とにかく私は掃除の手を止めて、部室を出た。
誰かの悪戯なら現場を押さえるしかない。報道部員以外の誰かなら、その証拠を掴んでおかないと、部のみんなが迷惑する。
こういう時、誰か、男子部員がいてくれればなぁ。
廊下や階段ですれ違う生徒は誰もいない。
しんと静まりかえった階段に、私の歩く音だけが響く。
恐いけど……仕方ないよね?
放送室は管理棟の一階。
私は部室棟の4階にある部室から出ると、階段を降り始めた。
3階の踊り場に出た時だ。
「鬼は今、三匹です」
放送が入った。
何よそれ。
鬼ごっこで鬼がそんなにいるはずないでしょう?
「鬼につかまった人は、鬼になっちゃいます。制限時間は10分です。みなさん、頑張って下さい」
時計を見た。
10分。
該当するのは、下校時刻だ。
時間はいいけど、「鬼につかまった人は、鬼になる」って、何だろう?ルールの説明?でも、下校時刻にどこの物好きが停学のリスク冒してまで鬼ごっこなんてしたがるの?
……。
今、一人だけそんなことしそうな物好きな人に思い当たったけど……勘違いよね?
えっと……発想を変えよう。
鬼につかまったら鬼になる―――つまり、鬼が増えるってことだよね?
私は足を速めた。
部室棟から管理棟までは渡り廊下ですぐ。
誰もいない渡り廊下を走り抜けて放送室にたどり着いた私は、放送室のドアをノックした。
「誰かいるんですか?」
ドンドン。
声をかけたけど、返事はない。
しっかりした防音施工だから、ドアを叩いても無駄だと気付いた私は、思い切ってドアのノブを回した。
鍵はかかっていなかった。
「し、失礼します」
本当に口の中だけでそう呟くと、私は恐る恐る中をのぞき込んだ。
放送室は―――空っぽだった。
パネルを見ると、放送設備の電源は全て落とされていた。
「……えっ?」
放送が始まる時と切れる時には、耳障りなほど、ブッという独特な音がする。
だけど、私は始まる時以外、それを今まで聞いていない。それはつまり、放送が切れていない証拠だ。
放送室は、管理棟の一番端にあって、渡り廊下以外に出入り出来る所はない。
管理棟の一階は職員室や校長室。
つまり、生徒が逃げられる場所はない。
でも、私も誰ともすれ違っていない。
そんな馬鹿な。
一体、誰が、どうやって、あの放送を流したというの?
私の空耳?
それこそ馬鹿な。
放送室のドアを閉めて、渡り廊下に戻ろうとしたら、女の子の悲鳴が聞こえてきた。
もしかしたら、鬼に追いかけられているのかもしれない。
部室棟の前、3号棟からだ。
私が3号棟の開かれたドアにたどり着くと、女子生徒が泣きそうな顔で廊下を向こう側から走ってくるところだった。
鬼ごっこで、何、真剣に走ってるの?
ちょっとだけ可笑しくなったけど、私は、その子の後ろを見て言葉を失った。
その子は、鬼に追われていた。
そう……
本物の―――鬼に。
「……なっ」
呆然とする私めがけて走ってくる女子生徒。
その後ろには、2メートル以上あるだろう巨大な鬼。筋骨隆々としたたくましい上半身は裸。口から牙が、額には角が二本生えていて、腰にボロ布を巻いただけの赤黒い肌をした鬼が、血走った目を輝かせて女の子に迫る。
本物の―――鬼だった。
鬼が走る度にドスンドスンとスゴイ音がして、その手にした金棒がブンブンと空を斬る。
「早くっ!」
我にかえった私は、必死に手を伸ばしたけど、間に合わなかった。
涙を浮かべ、手を伸ばす女の子の頭に金棒が容赦なく振り下ろされる。
私はその光景を見まいと、目を閉じた。
だけど、いつまで経っても女の子の悲鳴も何も聞こえない。
そっと目を開くと、女の子はケガをした様子もなく、金棒を頭に乗せたまま、きょとん。とした顔で立っていた。
「……」
その光景を見た私は、口をパクパクさせるのが精一杯だった。
そうか!
これってやっぱり悪戯だ!
うん!
金棒は多分、何かの作り物で、この子もエキストラか何かで―――!
心底、そう安堵した私だったが……。
女の子は、まるでそんな私をバカにでもしてるかのように、見る間に姿を変えた。
女の子から―――鬼へ。
「……へっ?」
小柄だった女の子の背丈は瞬きするほどの間にぐんぐんと伸び、身に纏っていた制服は破れ、筋骨隆々とした体つきに変化していく。
口には牙が、額には角が生え始めた。白い肌が赤黒く染まっていく光景は、3D映画を見てるような錯覚さえ覚えてしまう。
女の子が完全に鬼になると、廊下にいる鬼は2体になった鬼達は、私をジロリと睨んだ。
「―――ひっ!?」
何をどうしたのか、何もわかんない!
ただ、私に出来ることは逃げることだけだ!
3号棟から渡り廊下に飛び出し、部室棟へ駆け込んだ私は2段飛ばしで階段を駆け上った。
3階へ向かう途中の階段の踊り場に青い鬼がいることに気付いた私は、2階の手近な空き教室に飛び込んだ。教室の前を、ドスンドスンと音が通り過ぎていく。
安堵のため息と一緒に全身の力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
一体、何が起きたの?
鬼ごっこといえば、確かにそうかもしれないけどさ?
本物の鬼がどうしてこんな所にいるのよ?
本物の鬼に追いかけられるのを、いつから鬼ごっこっていうようになったのよ!
「下校時刻まで、あと5分です」
放送室には誰もいなかった。
それでも、この教室のスピーカーからも音が聞こえてくるってことは、部室に誰かが仕掛けた悪戯ってわけでもないだろう。
「今、鬼は8匹です。みなさん、がんばって逃げて下さい」
8匹!?
1匹でも勘弁なのに!
鬼になんてなったら……。
目の前で見た、あの女の子の変化を思い出し、ぞっとした。
冗談!
あんな姿になったら町中歩けない!
下校時刻になったら戻してやるなんていわれたって御免被るわ!
「……とにかく」
数回、深呼吸した私は、ガランとなった教室を見回した。
机はほとんど撤去され、壁際に乱雑に寄せられている。
埃を被った黒板の前には教壇。
開かれたままの掃除用具入れのロッカーの中は空っぽだ。
武器になりそうなものは、とりあえずない。
というか、あの筋肉モリモリの鬼と何で戦えっていうんだ?
―――どうしよう。
私の彷徨う視線は、その時に厄介な相手を見つけてしまった。
窓の向こう。
3号棟の真向かいの廊下の窓から、一匹の鬼がこっちを指さして叫んでいた。
見つかった!
教室から飛びだそうとした私は、今度はドアの前でつんのめることになる。
廊下側の磨りガラスの向こうに、鬼の影が映っていた。
―――追い詰められた。
それだけしか分からないにしても、私は教室の中をもう一度見回した。
わずかな机と教壇、そしてロッカー。
時計は下校時刻まであと2分を示している。
下校時刻になったらどうなるんだろう。
それはわからないけど、何かが起きるはずだ。
私は、それに賭けることにした。
私は、制服のジャケットを脱ぐと、ロッカーにむかった。
ガラッ
乱暴な音を立ててドアが開くのと、私が身を隠すのはほとんど同時だった。
息を殺して、じっと気配をうかがうしか何も出来ない。
足音からするに、3匹の上が教室に入ってきたのは間違いない。
ガタンガタンと机を乱暴に扱う音に混じって、鬼達の、ギャーギャーという、ドスの聞いた声が室内に響き渡る。
ぎゃぉぉぉぉっ!
全ての音を制するように、一匹の雄叫びがあがり、皆の動きが止まったのがはっきりとわかった。
ぎゃ?
ぐおっ!
鬼達が一斉に教室の後ろ―――ロッカーにむかって移動を始めたのが音でわかる。
ロッカーが開かれた音と一緒に、私は教壇の中から飛び出した。
制服のジャケットをロッカーの扉に挟んでおいたんだ。
それを見た鬼達は、私がロッカーに隠れていると思ったはずだ。騙された事なんて、ドアを開けばすぐにわかる。
でも、それでいいんだ。
私に必要なのは、奴らから逃げることの出来るほんの少しの時間だ。
教室のドアを開き、廊下に逃げた私は、階段に向かおうとして動けなくなった。
階段はすでに数匹の鬼達によってふさがれている。
踵を返そうとした私の前に立ちふさがるのは、教室から出てきた鬼達だった。
怒りを浮かべた一匹が雄叫びと共に金棒を振り上げた。
「―――ひっ!」
もうだめだ!
恐怖と絶望に思わず目をつむった私。
その時―――
「ただいま、下校時刻になりました」
のどかなチャイムの音と同時に、流ちょうな校内放送が聞こえてきた。
……えっ?
そっと目を開くと、鬼達の姿は消え、代わりに20人以上はいるだろう生徒や先生達が、不思議そうな顔でぼんやりと廊下に立っていた。
何が何だかわからないけど、私はとにかく、学校にいることに耐えられなかった。
すぐに部室に戻ると、すぐにカバンを掴んで部室に鍵をかけて逃げ出した。
一体、何だったんだろう。
家にたどり着いた私は、ソファーにひっくり返った。
疲れたけど……なんだろう?
何かが、ずっと脳裏にひっかかったままだ。
鬼?
鬼ごっこ?
……あれ?
何か、今、確実に掴んだ気がしたけど……?
「美奈子?ご飯よ?」
「はぁい」
台所から聞こえてきた声に、ソファーから立ち上がった私は台所にむかった。
「何?着替えていないの?」
「食べたら着替えるよ……今日、何?」
いつの間にか、葉子はちゃんと自分の席に座っている。
「何だと思う?」
お母さんは包丁を動かしながらそう訊ねた。
「さぁ?」
私は投げやりに答えると、自分の席に座った。
「それはね?」
するとお母さんは包丁を握ったまま、振り返った。
「お前だよ」
「……は?」
唖然とする私に、お母さんはニヤリと笑う。
そると、誰かが言った。
「二回戦のはじまりです」
ゴンッ!
台所にそんな音が響いた。
その途端、包丁を持ったままのお母さんが、きょとん。とした顔で周りを見回した。
「あ、あら?美奈子、いつのまに戻っていたの?」
「う……うん……さっき」
「あ、そ、そう?おかしいわね……どうしちゃったのかしら……ご飯まで時間あるから、着替えてらっしゃい」
「はぁい」
私は、横で頭を抱えてぐずり出した葉子を抱きかかえると部屋に向かった。
散々、葉子を叱ってようやくわかった。
結局、葉子は鬼ごっこと殺し合いの区別をつけないまま、追いかけていって殺すことを鬼ごっこという“遊び”だと思い込んだままだった。
そして―――それに入れ知恵したヤツがいた。
殺し合いを模擬的に体験するから“ごっこ”なんだと……そういう、偏りきった入れ知恵をしてくれたヤツが。
葉子は、ソイツの力添えの元、学校を舞台に私と鬼ごっこがしたかったと白状した。
葉子としては、何の悪意もない。
それが遊びだと思い込んでいたんだから。
泣きながら謝る姿を見ていると、この子に罪はない―――姉としては、そう甘やかしたくもなる。
葉子はそれくらい、私にとってはカワイイ妹なのだ。
問題は、そのカワイイ妹にとんでもない入れ知恵をしてくれたバカの処遇だ。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
そう泣きながら抱きついてきた葉子を抱きしめたとき、私は葉子の全てを許してあげた。
ただ―――その分は……ねぇ?
ご飯を食べた後、しばらく考えた私は、彼にこそ鬼ごっこをしてもらうことにした。
この鬼ごっこは、私にも出来る。
簡単だ。
私は携帯電話を開いた。
「……こんなモンか」
私はメールを作成すると、送信を押した。
『今日(葉子としてくれた悪戯)のことは、忘れないよ?
最初(から、滅茶苦茶)、恐かったけど、(葉子に)そっと抱きしめられた時、
とても幸せだったから。
(別に関係ないけど)男として責任とって、私を(楽しませる意味で)、幸せにしてね?
(私は葉子を)愛してる。
水瀬君(死ね)』
この文中のカッコをすべて削除すると
『今日のことは、忘れないよ?
最初、恐かったけど、そっと抱きしめられた時、
とても幸せだったから。
男として責任とって、私を、幸せにしてね?
愛してる。
水瀬君』
こうなる。
これを、瀬戸さんのメールアドレスに送信して、瀬戸さんがどう思っても知ったことじゃない。
後は知らん顔しておこう。
夜中、水瀬君の家の辺りでスゴイ音が連続していたけど、もう知ったことじゃない。
私は珍しく一緒に寝てくれた葉子を抱きしめながらとっても楽しい夢を見ていたから。
水瀬君の住む神社のあたりの地形が変わったなんて、私の知ったことじゃない。
血まみれの女の子が、角を生やした鬼女に町中追いかけられたとか、警察に数十件の通報が行ったとかで、近衛騎士団が出動する騒ぎになったとか、そんなことは私には関係ないもんね。
……さて。
これに懲りたら、私のカワイイ妹に何かを教えるときは、命がけで責任を負うこと。
わかった?
水瀬君?
やっぱり、美奈子は描きやすいなぁ。と思いながら描きました。参考というか元ネタは緑川司先生の『赤い本』(ポプラ社)です。とても面白かったので使わせて頂きました。ありがとうございました。
感想や評価いただけると続編書きたくなりますのでお願いします。