47日目・転移
1月27日 誤字修正致しました
「はぁ…」
アーサーは近頃ため息ばかりをついていた。
"世界"についての情報が全く掴めないのだ。
もちろん複数の世界だなんておとぎ話や伝説上の話だがアーサーはそれを信じて手がかりを探し続けていた。
「王は知ってるかもだけど…まぁなぁ」
この国を管理する国王なら知っているかもしれないとは思ったが、アーサーが国王を殺したということや殺してから何十年経っても王どころか代役を立てられていない。
国側はアーサーが居なくなるのを待っているようだがあいにくアーサーの体は不老不死でいなくなることは無くなったのだ。
「あぁむしゃくしゃしてきやがった
…ダンジョンいこ…」
昔はダンジョンへと潜るのを仕事にしていたがもうその仕事は無くなった。
だがアーサーは時々ダンジョンへと潜りモンスターを狩っている。
国民を少しでも守りたいといった感情では全くなく、単にむしゃくしゃした時にモンスターを倒す感覚が好きなのだ。
(正直そこらへんのやつらでもいいんだけどなぁ)
そこらへんの奴、というのは街に住んでいる中でも戦うことのない国民らだ。
ここの世界には魔法や武器を持っているやつらが何人もといる。
国全体にアーサーが危険人物だということが知れ渡っているため人は寄り付いてこない。
時々アーサーに挑もうとしてくる冒険者もいるがそれを毎度返り討ちにして贄の一部にしている。
そんなアーサーに国も手がつけられない。
だがさすがに街の中で暴れて人が集まり、何十人もの人に対応するのはアーサーでも難しくはないが面倒くさいのだ。
アーサーは禁術の書をレザーで作られたバックホルダーに入れ腰にかけた。
詠唱をあてれば禁術を使うのもあまり難しくないと気がついたからだ。
「山まで行くのめんど」
アーサーはダンジョンのある山へと向かう道中、ただでさえため息ばかりの毎日なのにそれを発散するためにため息をつくのはどうなのだろうかとアーサーは考えていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「このダンジョン新しいな」
ダンジョンは自然現象として発生する。
山などに入り口があるダンジョンが多いが放置しておくとモンスターが中からでてきて街を襲う恐れがあるため冒険者が依頼されて攻略をするのだ。
アーサーが見つけたダンジョンは比較的人の足跡がなく見たことがないダンジョン。
よくダンジョンへと訪れているアーサーが知らないとなればかなり新しくできたダンジョンだ。
「今日はここにするか」
人が入っていないということはモンスターが狩られていないということ。
アーサーの機嫌を直すにはちょうどよかったのだ。
「よっと」
アーサーは軽快な足取りでダンジョン内へと潜り込んだ。慣れてはいるものの今回のダンジョンは段差が多くあり油断すれば転びそうなほどだった。
「この段差うぜぇな、クソ」
そんなことにもイラついてしまうほどにアーサーにはストレスが溜まっており、いち早くにモンスターを倒したいというのにも関わらず本当にダンジョンなのか疑うほどにモンスターがいなかった。
「もっと下にもぐらねぇとか」
ダンジョン内では下へ行くほどに強く多くのモンスターが出現してくる。
それはダンジョン内の魔力が下に溜まることでその魔力を浴びようと強いモンスターがやってくるのだ。
「早く潜りてぇのに…」
下へと降りるためには大きい洞窟の中を少しずつ降りて行く必要があるのだ。
「はぁ、もういいわ」
また疲れたようにため息をつくとアーサーは腰に下げてあった剣を取り魔力で剣を強化すると地面を削ろうとガンガンとあてた。
すると岩が重なりできていた地面は雪崩れのように崩れて大きな穴ができた。
どうやら下は空洞で繋がっていたようだ。
アーサーは勢いよくその穴の中へと飛び込んでいった。
上手く地面に着地できないかもしれない、そんな不安を募らせながらも迷いはあまり無かった。
(…長いな)
アーサーが穴の中へと飛び込んでいってからというもの地面が見えてこなかった。
ダンジョン内が暗いということもあるが数秒で地面が見えてくるはずなのだ。
疑問に感じながらもそのまま落ちていこうとするとアーサーの視界は歪み始めた。
(…!?なんだこれ、今までのダンジョンにも無かったはず…トラップか…?)
まるで真夏の中で過ごした後のような気持ち悪さと視界の歪みがアーサーを襲った。
「なんだよ…これ」
そうしてアーサーの意識は失ってしまった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「う…気持ちわる…」
気がついた頃には視界の歪みが治まっていたものの気持ち悪さはまだ抜け切っていなかった。
しばらくアーサーは目をパチパチとさせて光に慣れさせるとまた目を見開かせた。
「…は?なんだよ…これ」
アーサーの目の前に広がる土地。
それはダンジョン内でもなく、ノワール王国でもない初めて見る景色だった。
もうちょいでアーサーの過去編終わりますわ




