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40日目・変えればいいんだ

本棚に並んでいる本を指でなぞりながら、アーサーは1人呟いていた。


「図書館に行ったって、心が休まる訳がないだろ」


今のアーサーは負の感情を溜め込み、行き場のないその感情をリズへと当ててしまっていた。


リズに進まれ図書館へと向かったがあまり気が進んでいなかった。


(あいつらのあの顔…)


自分が人を殺したと聞いてどのように思ったのだろうか?

そんなことを考えて仲間をなんとか下げようとしていた。


自分がこの先仲間に嫌われ、捨てられたならばどうやって生きていけば良いのか。


殺人を犯したものとなれば職をなくし、国に自分の生きる場所はなくなる。


「つらいなあ」


昨日まで楽しく笑っていたのに一変して今は嘘でも口角を上げることができずにいた。


するとアーサーの指はある一冊の絵本で止まった。


「姫様の魔法…」


それは初めてのティナの誕生日にプレゼントしたものであり、思い出の本であった。


するとアーサーの目からは涙が流れてきた。


泣いた泣いて泣き叫んで、もう涙すら出ずに全ての感情がなくなったかと思えばまだそんな自分にも泣く力はあったのだ。


図書館の静かな雰囲気を壊すような啜り泣きは周りの人を惹きつけていたが、そんなことお構いなしかのように涙が止まることはなかった。


その本を手に取るとアーサーは椅子へと座り1ページずつめくりはじめた。


"姫様の魔法"は、魔王が世界を支配する中で王子が魔王を倒そうとするが破れてしまう。

そこで姫が自分だけの魔法を使い、王子と協力して魔王を倒す。というような物語だ。


「懐かしいなぁ」


この本の姫が使っている魔法は今で言う古代魔術であり、昔ながらのデメリットの方が多く今では禁忌魔術として使うことが禁止されているのだ。


「…!」


そこでアーサーは一つ思いついた。

思いついてしまったのだ。


(確か禁忌魔術の中にもいろいろな種類がある…)


「人を蘇らせる魔法があったな…」


それを思い出した瞬間に干渉に浸っていた絵本など忘れてしまったかのように古代魔術と禁忌魔術についての書物を探し、読み漁った。


「…あった」


たくさんの魔法がある中で死者蘇生魔法についてが記されている場所を指でなぞった。


(…禁忌魔術とされているだけはあるな)


禁忌魔術を使うということはデメリット、犠牲が必要になるということだ。


死者蘇生魔法を使うためには生贄を、人を殺さなければいけないと記されていたのだ。


それも1人だけではない、何百人もの人間を贄として捧げることで魔法は発動するのだ。


「ックソ…」


勇者とは思えないような言葉使いで舌打ちをしながら言った。


だがアーサーにはもうそれしか残っていなかった。

何百人もの人間よりも自分の愛する家族の方が大切なのだ。


(だが今大量虐殺をしてもすぐに勇者の代役がたてられて俺も魔王のように殺される。それに生き返ったエリザもティナもきっと…)


ならばどうすればいいか。

それは実に簡単で分かりやすいことでありながら、過信がなく実行できるかわからないものだった。


「戦えない人間を殺せばいいんだ。」


(世界はいくつかに分かれていると聞いたことがある。魔王や魔獣たちがいるのは魔界から流れてきたからだ。)


古代魔術と禁忌魔術の本を急いで戻しに行ったかと思えばすぐに世界についての本を何冊も重ねて持ってきた。


そしてアーサーはすぐに見つけた。


「…人間界」


それは異形でもなく、魔法などが使えるわけでもない。ただの人間が暮らしている世界だった。


「これが本当なら…人間界とこの世界を融合させれば…俺らが上位の存在となれる…」


アーサーは人間界とこの世界を融合させることで、贄を作り、2人を蘇らせようとしたのだ。


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