29日目・フィクションが現実に。
絶対絶命の危機の中でついに自分が魔法を使えると言ってしまったエリス、、、この状況を打開できるのか、、、!?
(魔法が、使える、、、?)
京香はエリスから発せられたその言葉に衝撃を隠すことが出来なかった。
「ずっと黙っててごめんなさい、魔法が好きだって言ってたのに」
そう言うとエリスは京香に向かって深々と頭からを下げた。
だが、京香の頭はそんなことを気にする暇などないほどに混乱してしまっていた。
(あの、魔法が?使える?なんで、どうやって?)
京香の中で駆け回る探究心という興味はつくことがない。今まで一緒にいたエリスや梶川が自分とは全く違う人間に思えてきた。
そんな京香を差し置いてエリスは席からガタンと音をたてながら立った。
「とにかくよろしくね、ほら!早く!」
声をかけられて京香は震える手でかばんからスマホを取り出した。
すると席を立つ音で気がついた男たちがこちらに走って近づいてくる。
「こいつ!まだ持ってやがった!俺たちの邪魔をすんじゃねぇよ!」
男たちが近づいてくると、エリスはすぐに手を前に構えた。
すると何もない空中から小さい光とともにエリスの杖が出てきた。
「!?」
男たちは目を丸くした。
けれど止まらずにエリスに近づく。
するとエリスは短縮詠唱を始めた。
「大地の響き。」
するとバスの床はぐにゃんと曲がりだし、男たちの行手を阻むように尖ったものを生み出した。
「なんだこりゃ!クソッ通れねえ!」
男たちはなんとか通ろうとしたが、形成されたものは高く、腕すら届かないほどだった。
そんな魔法を見て、乗客たちは目を丸くしたり、恐怖の目を向ける者すらいた。
それは京香も含まれる。
「これが、、、魔法、、、」
やっと見れた。見ることができたのだ。
自分の憧れに。一生見ることが叶わないと思っていたものが、、、
「早く!京香さん電話!」
そんなエリスからの声ではっとした京香は番号を打ち始めた。
「ふざけんなあ!」
すると男たちは魔法を殴り始めた。
物理は魔法に通用しない、、、訳でもなく少しずつヒビが入っていった。
「うそぉっ!?」
そんなエリスの考えとは裏腹にあっさりと壊れてしまった。
「やばいやばい!聖なる水!」
そういうと杖の先から水が出てきて、男の行手を阻もうとしたが、1人が京香の方に行ってしまった。
「京香さん!」
「クソガぁぁぁぁ」
男は京香の持っていたスマホを取り、反対側の椅子に投げてしまった。
「きゃあ」
投げられたスマホは反対側にいた乗客に当たり、床に転がり落ちてしまった。
「京香さん!大丈夫ですか!?」
エリスは放出した水を氷に変換させ足止めをした後、京香の方に行った男に杖を向けた。
「根よはえ」
すると床からつるが伸びてゆき、男の体を締め付けた。
「クソッなんなんだよこれ!」
男は抵抗しようとするが魔法の強度は強く、全く解ける気配がない。
エリスは京香の元へ駆け寄り、声をかけた。
「京香さん、怪我はないですか!?」
「えぇ大丈夫です。それより今のうちに梶原さんも解放しましょう。」
2人は梶原の元へ行き、梶原に縛ってあった縄をほどいた。
「ありがとう、2人とも。それとエリス!何魔法を使ってるんだ。」
「いや、だってぇ」
「だってじゃない!」
そんな怒る梶原を収めようとして京香は、会話に入った。
「エリスちゃんは助けるためにやったんです。
びっくりはしましたが絶対誰にも言わないので、許してあげてください。」
「、、、分かった。それなら早く応援を頼もう。」
「さっきスマホをあっちに投げられてしまって、、、」
そうして指さしたのは反対側であり、男たちがいる方だった。
「どこにあるかわからないんです。転がっていってしまって、、、」
「今は他の乗客たちも恐怖で動けないと思うしな、、、」
「ていうかなんで京香さんはこんなに動けてるんですか?」
話している途中に行ったのはエリスだった。
「あ、、、私も言い忘れてたんですけど探偵を一応やっているので少しだけ慣れてるのかもですね」
「えっそうなんですか!?もっと早く言ってくださいよ〜」
エリスは頬をぷくっと膨らませて言った。
「おーい、俺も話に混ぜてくれよぉ」
一際低い声が会話の中に入ってきた。
3人は完全に忘れていたが、魔法は一応物理で壊すことができる、、、
声がする方に立っていたのは、つるによる捕縛を解いていた男だった。
ジト目が個人的に好きです




