この先
「君のそのグローブいわくつきだったんだね」
「呪いみたいに言わないでくださいよ!でも、たしかに私以外が身に着けたらどうなっていたか分かりませんね......」
「それも全部分かってたんじゃねえか?初代には先読みの力があったって聞いたことがある。予知とはまた違うみたいだがな」
すべてを知っていたからこそ彼は、初代はこの世界にグローブを残した。
きっと誰かが拾いこの世界に生まれる田宮空の生まれ変わりに渡るということまで彼には分かっていたのだろう。
「恐ろしい人だよねえ。まあ、『俺』の先祖にあたる人なんだけどさ」
「組長も人のこと言えませんでしたからね?」
「だな~勘とか言ってっけどそれが絶対に当たる時あったからな!」
「いやいや絶対は言い過ぎでしょ」
絶対は言い過ぎだと、自分にはそれほどの精度はなかったと彼女は言う。
しかし、この場にいる全員が一斉に首を横に振った。
「正直私でも驚くほどの精度でしたよ。本当は田宮さんも予知できるのではないかと何度か疑いました」
「いやいや仁菜には敵わないって。ていうか、そんなにかな?」
「そんなに、でしたよ」
ニイナはにっこり笑って答える。
自分とは異なる力を持っているはずなのに自分と似たようなことができていた田宮のことを覚えているのだ。彼女は、もしかしたら田宮にも予知能力があるのではないかと疑いその度に心配をしていた。
なぜなら彼女の能力は予知ができる代わりに短命になってしまうというものだからである。
自分と同じなのならば、と心配は止まらなかった。
だが、結局その力は関係なく田宮は命を落としてしまったのであった......
「じゃあそんな勘は今なんていってるわけ?」
クラウがチェーロに質問する。
ただの勘なのだから、それは絶対的なものではない。
しかし、悪くない答えが返ってきてほしいとそう願わずにはいられない。
彼が答えを待っているとチェーロが口を開く。
「そうですね……うーん、微妙なとこですね。いい感じに進んでいけるかもしれないし、そうでないかもしれない。けれど、長くは生きていけるし制御もしてもらえてるから大丈夫、みたいなとこです」
チェーロは自分自身にもよく分かっていないといったように答える。
「曖昧だな」
「そうなんだよ......でもなんでだろうね。私も大丈夫な気がしているんだ。さっき初代が出てきてなんかいろいろ言ってたぐらいだしさ。これでなんもしてなかったらちょっと怒りたくもなるしさ」
「まあもしまたあぶねえことあったら早めに言うんだぞ。なんかあってからじゃおせえから」
「分かってるよ。それでさ、レノに......いやみんなにお願いなんだけど」
チェーロは全員の顔を見て
「私と特訓してください。それと、私が無茶して倒れないか見張っててください」
と頭を下げた。
今後のためにも身体を鍛えたいが、無茶をして倒れてしまう可能性だってまだ残っている。その可能性を一つでも減らすために彼女は頼むことにしたのだ。
「顔上げたら?どうせ全員そのお願い引き受けるんだし」
「そうですよ!むしろあなたと修行できるとか光栄です!」
「ストームほどじゃねえけど、オレも久しぶりに一緒に修行できんの嬉しいぜ!」
「なんのための教育係だと思ってやがる」
「修行の面ではお力になれないかもしれないですが、私にできることは精一杯させていただきますね」
チェーロの願いを断る人間はこの場には誰一人いなかった。
彼女が人に頼るということを覚えたというのだ。それを否定しようと思う者は彼女の仲間にいるはずがない。
「ありがとう。私はこれでまた強くなれるよ」
彼女の瞳には炎がともっている。
これから起きることを全力で受け入れて強くなろうと決意する。
(この先のことは知らない。どうなるかの予想もつきそうでつかない。だからといって立ち止まるなんてできない。私は、強くなりたいんだ。一人じゃあ難しいことも仲間と強くなるよ。私はもう、一人じゃないって改めて思うことができたから)




