共闘
赤木と呼ぶレインの声を聞きストームは
「お前まさか記憶が⁈」
と、驚いた声を上げる。
レインはそれに対して
「おう!」
そう笑って答えたのだった。
「それなら話が早いな。レイン、今回の任務内容は?」
「ソラの......チェーロのもとにあの男を行かせない、だろ?」
「それが分かってんならやれるか?」
「おう!なんか前は立場同じだったのに今は上司だから違和感あんな~」
「今もあんま気にしてねえだろうが!さっさとやれ青部隊隊長!」
「それは前の話だっての!まっ。久しぶりにソラの役に立ってみせるぜ!」
レインは剣を構えなおす。その瞳はただ目の前にいる男を捉えている。
構え。誰かのために剣をふるおうとする感覚。ここで止めなければ大切な人を奪われるかもしれないという危機感。
それら全てがレインにとっては久しぶりのものであった。
しかし、彼は己の唯一を、思い出した唯一を守るために前に出た。
「『青斬流一の型、蒼龍ノ舞』」
低い位置から相手に近づいていき下から突き上げる。
それだけではなく巻き付くような剣の動き。そして、レインが持つ魔法の特性である雨。それを組み合わせてある技。彼の前には魔法はないため今とっさに合わせたものである。
とっさに合わせたことによる威力の低下はなく、むしろ増していた。
「久々だったけどなかなかやるだろ?」
レインはストームを見てそう言った。
「まだまだだな。全盛期のお前なら一発でのせただろ。そいつまだ動けるぞ」
「相変わらず厳しいな~そもそもオレらは倒すことを目標にしてなかっただろ?だってソラは優しかったからな!どんな奴でも包み込もうとするから危なっかしくて見てられない時もあったな!」
「組長が危ない時には幹部でお守りする。それは前も今も変わらなくていいはずだ。だから、ここでそいつを止めるって宣言してんだ」
「だな!」
レインの技を受けてもなお立ち続ける男。
倒す気はない。ただ長い時間足止めができたらそれでいい。その隙にチェーロが遠くまで逃げられるのならそれでいいのだ。
「君たちすごいねえ。どうしてそんなに守りたい、とか大切だ、とか言えるの?ボクはその感情が分からないよ。やっぱり、あの子を捕まえたら分かるのかなあ?」
「お前に同情なんてしねえ。だがな、守りたいって思えるもんが一つでもあるとそれだけで何倍もの力が出せる。だから俺はあの人のために強くなれんだ」
ストームはそう言いながら、先程出したものとは少し形状の異なる銃を取り出した。
「二丁?あれ、前は一丁じゃなかったか?てかよく作ってくれたな~」
「今はこっちのがいんだ。こいつがいるからな。イフ、出番だ」
出てきたのは赤い子猫。ムウと呼んだ子猫とは別のもの。
ストームの足にすり寄ってきたそのものは銃口の中へと入っていく。
「俺の精霊はムウだけじゃねえ。そんで、ムウとイフを掛け合わせることによって威力は増加する。くらいやがれ!『ファイヤーストーム』!!」
炎と風。風が炎の威力を増加させ渦巻いている。
男はそれをよけることなく受けた......はずだった。
「いやあ、そのままくらってたら危なかったねえ。その前のもだけど、あれは全然だったしなあ」
一つも傷がない。
攻撃をしていたからボロボロになっていたとしてもおかしくないのに一切傷ついていない。
「くそっ、そうだろうとは思ったがお前に物理攻撃はつうじねえな」
「気づいてたのにしてたんだあ?そんなに時間稼ぎたかったんだね。でも、残念。次は僕の番だよ!」




