朝から
「チェーロさーん!」
お茶会を楽しんで家に帰ってから寝たはずのチェーロに聞こえてきたのはそんな声だった。
寝たはずではなく、彼女は実際に寝ていたのだが。
あまりにもぐっすりと寝ていたためか、まだ夜だという錯覚を起こしていたのだ。すでに日も登っていて朝だというのに。
(もう朝か......なんかまだ夜だと思ってた......というかまだ眠いんだよなあ。でもなんか部屋の外から大声で私を呼ぶ声がするし......起きるかー)
チェーロはゆっくりと動き出した。
呼ばれているのならすぐに行かないとという組長の時からの思いが彼女の中にあるのだ。
のそのそと支度をして彼女は部屋から出た。
「おはようございますチェーロさん!」
「うんおはようストーム。なんでいるのかな?」
「昨日のこともあるのでチェーロさんが急にどこかに行くことがあってもついていけるようにと思いまして!これからは毎朝来ます!」
「毎朝はやめようか?」
彼女はストームには強く言えない。前から頼りになってずっと共にいてくれる右腕の心配を無下にすることができないのだ。
「なぜですか?!」
「いやストームの負担にもなるでしょ?!私は君の負担になりたくないんだよ!」
「負担にはなりませんよ!だって毎朝チェーロさんに会えるんです。それだけで俺は今日も生きようって思うんですよ。前だってそうでした!」
「それ言われたら断れないじゃん!あとね、自分だけだって思わないでよ?こっちだって前からみんなに会うたび頑張ろうって思えたんだからさ」
「く、組長〜!」
「だから今は違う!あと感動したからって私を持ち上げるな!」
ストームは彼女を持ち上げていた。自分より高く掲げているのだ。
いくら感動したかもしれないとはいえ急だと驚きもする。
「はっ、すみません!」
我に返ったようにストームはチェーロをおろした。
「いいんだけどね、やっぱストーム高いなあ」
しみじみと彼女は言う。前も決してストームより高かったわけではないのだが、今ほど差があったわけではない。
「チェーロさんも成長期がきますよ」
「結局みんなよりは低いだろうけどね」
「体格の差があったとしてもあなたは強いですから」
「そういうことは別にいいんだよ……」
強さは変わらない。
身長なんて理由にはならない。
「何度だって言いますよ。あなたはどんな姿であろうと俺の憧れたあなたで、強さだってあなたなんです」
「あー……分かったから、そう恥ずかしいことを朝から言うんじゃありません」
「分かっていただけてなによりです」
ストームは微笑む。
チェーロが自分の言葉で照れていることが嬉しいのだ。
そして、一日の始まりを共に過ごせるということも彼にとってとても喜ばしいことなのであった。




