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聖女に転生したみたいだが逃げ場がないので今すぐやめたい  作者: 紫雲 橙


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乱入者

「ネビアはねえ、一時期本当に荒れてたんだよ。多分記憶を思い出したあたりかな。空くんはどこだーってさ。でも、気がついたんだろうね。空くんが近くにいなくても自分の心の中にはいるってこと。空くんのことを探すことは少なくなって、誰かの胸ぐら掴んで聞くこともなくなって......あとは、あれかな。見つけたら絶対に逃げられないようにコントロールするって言ってたの。まあ、その時は親子喧嘩したけどね。僕だって空くんがいなくて寂しかったのに一人で暴れて馬鹿じゃないのかって」

「いや喧嘩理由それなの?って、アランまで暴れてないよね?」

「僕は暴れてないよ。喧嘩した数日後にローゼを連れてきたのには驚いたけどね」

「ああやっぱりネビアが連れてきたんだね」


 ネビアはこの世界でも暴れていた。

 それを聞いてもチェーロがそんなに反応しなかったのはどこかでそうだったのではないかと思っていたから。

 ローゼを連れてきたのがネビアだというのも予想がついていた。


(暴れた理由が私を探していたからだとは思わなかったけどなあ。にしても見つかったらコントロールされるところだったのか。アランが止めてくれて良かった。何されるかは分からないけどろくなものじゃなかっただろうしな。まあ、コントロールなんかされなくても逃げはしない......なんて保証はできなかったな。実際逃げようとしてたわけだし。でも、逃げ道なんてない。私の道は結局仲間と共にあることに直結するということに気づいてしまったんだ。だから、ネビアたちからはもう逃げない)


  チェーロは仲間のことが何より大切だと思っている。自分のことを大切にしてくれる仲間にその想いを返したいと思っているのだ。

 その気持ちに嘘偽りはない。


「またネビア様に見つけてもらえて嬉しかった……」

「ローゼと僕は一心同体みたいなものですから、簡単に見つけられますよ」

「ローゼを見つけてもらえたのは私も嬉しいけど、その言い方なんかやだな」

「だから僕に対して当たり強くないですかね⁈」

「ネビアなら悪いように受けないって分かってるから軽口言えるんだよ」

「それって特別ってことですか?」

「そーそー特別」


 チェーロは笑ってネビアに言う。

 その言葉を聞きネビアもまた微笑み、チェーロの頬を片手で包んだ。


「な、なに?」

「いえ、僕たちは婚約者でしょう?一応誓いでもしようかと」

「なに言ってんの?そんなのもうならないから関係ないでしょ......」

「おやおや素直じゃないですねえ」


 チェーロが顔を背けるが、ネビアは手を離そうとしない。

 二人の顔は次第に近づいていく。

 

(近い近い!おかしいって、ていうか婚約者になるなんて方向なしって言ったのに!!)


 チェーロは動揺している。

 だが、この場所にはネビアと彼女以外にもいるのだ。


「ネビア?僕がいつそういったことを許したかな?」

「いくらネビア様でも無理矢理は許さないわ」


 ローゼとアランがネビアの手を掴みチェーロから離した。

 その表情は笑っているが、怒っているような圧を感じるもの。


「また邪魔が入りましたか」

「また?前にもしようとしたことあったの??」

「そんなに怒らないでくださいよ」

「怒るに決まってるでしょ?友人が困ってたんだからさ。それに君とその子の体格の差も考えようね?いくらチェーロが強いからってネビアの強さと比較しようね?」

「分かりましたから笑顔で圧かけてくるのやめてくれません?」


 アランがネビアに正論で怒っている。大切な友人が困った顔をしていたから止めたのだと。


「いや本当に危なかった......」

「組長のことは私が守るわ。ネビア様はちゃんと叱っておく」

「でもローゼってあんまり怒るの得意じゃないでしょ?」

「組長のためなら平気よ」


 覚悟をした表情でローゼは拳を握る。チェーロのためならなんだってできるという意思表示だ。

 しかし、彼女は


「私はもう組長じゃないよ。何でもしようとしてくれなくていい。でも、そうだな......ローゼ、私と友だちになってくれる?対等でいたいんだ」


 それを拒み、自分の新たな願いを言った。

 

「私でいいの?」

「ローゼがいいんだよ。あっ、私のことはチェーロって呼んでね」

「なら、チェーロちゃんって呼ぶ......」

「うん、よろしくね」


 チェーロは先程のことを一瞬で忘れてローゼと仲良くなれたことを喜んでいる。

 それを隣で見ていたネビアは


「意識されないですねえ」


 と呟く。


「だからといってあんな攻めていいわけないから。長期戦でいきな」

「そんなことしてたら奪われるんですよ」

「誰に?」


 そんな時だった。扉が開かれたのは。


「ねえ、誰勝手に連れて行ったの」


 入ってきた者は怒りをはらんだ声でそう言葉にするのだった。

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