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聖女に転生したみたいだが逃げ場がないので今すぐやめたい  作者: 紫雲 橙


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原因

 あれは私の夢の中の話です。ああ夢って寝てみるほうですよ?夢を見たんです。思えばあれが原因だったのかもしれませんね。

 貴方が妙なのって言ったこのバラは私には黒く......でもどこか濃ゆい赤があるようなそんな感じなんです。それは私がみた夢に一致しているところがあるんです。誰かが私を呼んでいて、手を伸ばされるけど私はその手を取れなくて。その後悔をした時に、その誰かを赤黒い煙が覆うんです。まるで私から見えないようにするみたいな......でも私はその人のことを見なくちゃいけないって思ってまた必死に手を伸ばして、それでまた届かなくて。


 そんな夢が毎日続いて、少し経ったある日これが現れました。変な話ですよ。本当になんでなのかも分からないですし、その夢の内容も不思議でたまらない。

 けれど、私は手を伸ばすのをやめてはいけない。ただそんな気がするんです。気がするだけ、ですけどね。まあ、本当にそれが原因かどうかは分からないです。数日の記憶で思いつくのがそれしかないというだけで。原因がそれなのだとしたら私に何かを教えてくれているんじゃないかな、と。例えばその隠された人が私の今後に関わってくるとか、その人がなにか危ない目に合うとか......あとは、その人のことをなんだか知っているような気がするというようなのも不思議ですね。顔が見える前に隠されてしまうので分からないですけど。


 まあ、こんなところですね。これが出る前にあったことというのは。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 彼女が話を終えるとクラウが口を開いた。


「君ってさ、生まれ変わっても鈍感なままなんだね」

「は?今の話の中でいったいどこにそんな要素がありました?」

「だって僕も分かったよさっきの話で」

「分かったってこれについてですか?」


 チェーロは自分の手をクラウに見せながら言う。

 彼女が分からなかったものについてを彼女の話を聞いただけで何かが分かった。それが彼女は信じられないのだ。


「君、自分で言ったでしょ。手を伸ばした人間が赤黒い煙で覆われたって。君はその色を持つ人間を知っているはずだよ。今も前も、ね」

「え?あっ?!え?!」


 彼女はクラウの言葉で思い出したようでとても驚いている。


「いやでも類にはこの世界で会ってないですよ!!」


 そう、その色を持つ人間というのは先程から話をしていた空の右腕である男。

 正確には赤黒いのではなく、赤い色。類という男は赤い雫型のついたネックレスを身に着けていたのだ。

 だから今もと言われたので違うという考えに至った。


「あの忠犬にはたしかに会っていない。けど、君は似ているのを知っている。まあそれは僕もだけど」

「ストームのこと、ですよね。もしそうだとしてもなんで彼が煙に覆われて私から見えないようにされるんですか?なんで私が手を伸ばしても掴めないんですか?」


 彼女は俯いて言う。

 仮にストームなのだとしたら、彼は自分の手を掴んでくるはず。それなのになぜ遠ざかるのだろう、と。

 なぜ見えないようにされるのだろう、と。


「それが知りたいなら会いに行ってみれば?うじうじしてたところでどうにもならないよ」

「うーん......んん......」

「何悩んでるか知らないけど君のそういうところは気に入らないな。どうにかしようって思うんなら早く決めなよ」


 頭を抱えて悩むチェーロをクラウが睨む。

 彼は弱そうな相手を嫌う。そして、うじうじしている者も彼は好まない。

 

「分かってますけど......これだと巻き込むことになるじゃないですか!それが嫌なんですよ」

「巻き込めばいいよ。どうせ君のそばから離れようとしないだろうし。なにより、君が最近外に出てこないからストームがうるさい」

「クラウ......絶対後者が本音でしょう。まさか私のところに来たのもストームがうるさいからとか言いませんよね?」

「それは君がなにか一人で抱えてるんじゃないかと思ったから」


 クラウがチェーロの目を見て言った。

 その素直さに彼女は一瞬動揺したが


「そうですか」


 となんともなかったかのように返事をする。

 

(本当に心臓に悪い人だ。この人は急に素直になるんだから......それにしても、ストームに会いに行く、か......うーん、でも会わないといけないような気がする。会って話をしないといけないような、そんな気が)


「クラウお願いがあるんですけど、ストームと会う時ついてきてくれません?」

「結局そうするんだ?別についていくだけならいいよ」

「ありがとうございます。なんかそうする必要があるって思ったんです」

「なんか、で動いた時のほうが君は良い結果になるからそれでいいんじゃない」


 こうしてチェーロは久しぶりに家を出て......走るのだけは続けていたため外に出るのは久しぶりでもないのだが、人に会うのは久しぶりのことである。

 彼女は確かめるためにストームに会いに行く。


(どんな結果になるかは分からない。何もなかったとしたら話してしまった時点で彼を巻き込んでしまうことになる。その場合は私が責任を持とう)

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