久しぶり
「チェーロ!久しぶりだな!元気にしていたか?」
ソルがチェーロの頭を撫でながら言った。
「元気ですよ!ソルさんもリオも元気そうでなによりです」
「来るのが遅いんだぞ!なにしてたんだ?てかそいつ誰なんだぞ?」
なかなか来なかったチェーロを心配してか、来てほしかったのに来ないことが悲しかったからかリオが言う。そして彼女の横に立っている男も警戒している。
「チェーロ様になんて口の聞き方してんだこのガキ!」
彼女の横に立っているのはストームであり、彼女がソルのところに行くというのを聞き入れてついてきたのだ。
(ついてくるなと言ってもついてくる......どうしろというのかな?まあ、今は好きにさせておくとしよう。どうせ私が遠くにいけば追ってこないだろうしな)
自分が遠くにいきさえすれば追ってはこない。そういった甘い考えでいるチェーロはストームがどれほど自分に執着しているのか気づいていない。
ストームも分かりやすいというのに一切気づいていないのである。気づこうとしていないという方が正しいほどだ。
「オレっちガキじゃないもんね!ちゃんとソルがつけてくれたリオって名前があるんだい!」
「はっ、ガキはガキだろ!」
「ストーム......それ以上リオになにか言うようだったらもう口聞かないからね?」
リオが名乗っているのにもかかわらず名前で呼ぼうとしないストームに彼女は怒った。
チェーロと話すことができないというのはストームにとって避けたいこと。
「すみませんでした!」
ストームは急いでチェーロに頭を下げた。
「謝る相手が違うよね?」
圧をかけたまま彼女はストームに言う。謝るのは自分にではなくリオにだと伝えるために。
自分に謝られたところでなんの意味も持たないのだから。
ストームはその言葉を聞いて面倒くさそうにしながらもリオを見て
「悪かったな」
と謝罪をした。
「ふんっ、許してやるんだぞ!これからはちゃんと名前で呼ぶんだぞ!」
リオはリオという名前を気に入っているのでこれから名前を呼ぶのであればいいと思っている。
初めて出会った時にソルがつけてくれた名前だから彼にとってとても大切にしているものなのだ。
「わーったよ......リオって呼べばいいんだろ?」
「うん!許すんだぞ!!」
満足そうリオは笑う。
その様子を見てソルは
「リオにまた友人ができて良かった!!それで、彼はチェーロのどのような存在なんだ?」
微笑み、チェーロに質問する。
「そうですね......彼はストームといって私の」
「俺はチェーロ様の護衛だ!」
ストームは会話を聞いていたようです彼女の答えを遮って自分が答えた。
それほどチェーロの護衛であるということに誇りを持っているのだ。
「護衛か!チェーロも強いがまだ幼いから安心だな!」
「ソルさんまで......私としてはいなくてもいいんですけどね。あっ、そうだソルさん今日もよろしくお願いしますね」
「ああ、護衛がついたからといっても自分の身は自分で守れた方がいいからな!相手になろう!」
「今日の勝負も手加減はいりませんからね」
チェーロがソルのところに来た理由は勝負をするため。
自分の力を確かめるため。
彼女はグローブをはめ深呼吸をして自分の覚悟を思い出すのだった。




