自由ってなんだっけ
チェーロがストームに勝ってから三日が経った。
元々はチェーロが自由に動き回るための戦いだった。
しかし、彼女は......
「全然自由じゃないんですけど?!クラウからもなんとか言ってくださいよ!」
不満が出てくるほどに疲れている。
「君から言えばいいじゃない」
紅茶をすすりながらクラウが答える。不満があるのなら自分から言えばいい、と。
それは最もな意見。だが彼女にだって反論があった。
「言えないんですよ!クラウも知ってるでしょう?!あのキラキラした目!私のそばにいるときが一番いい目するんですよ彼!しかも俺の右腕に似てるし益々一人にしてだなんて言えない!」
そう、彼女は自分の大切にしていた者に似ているから強く出ることができない。自分のそばにいない時にはただただ無表情なため離れていてと言うこともできない。だからチェーロは悩んでいるのだ。
(なんであんなに私に執着するようになったかなあ。まあ今は訓練の方にいるからいいのだけどね。とはいえこのまま私に執着したままだと彼も困ってしまうだろう。私がいなくなった時とかな。いなくなる気もないが、いつなにがあるか分からないというのは前で十分に学んだから.......できれば私は今の人生ではひっそりと生きたい。だって、前のように大切な人ができたら離れたくなくなる。それによって、悲しませてしまう誰かがでてしまうのなら人に関わる気はない。......もう手遅れかもしれないのだが)
人とあまり関わる気はなかった。しかし、彼女はすでに関わってしまっている。
その関わりの中で彼女はすでに大切だと思う人物もできている。それでもまだ離れられる距離だから平気だろうとそんな考えでいるのだ。
彼女が離れられると思っていても相手が離してくれないことだってあるというのに。
「別にいいんじゃない。どうせ君は一人にはなれないんだからさ」
「それってどういうことですか?」
「君は生まれ変わっても組長だってことだよ。僕だって君を逃す気はないしね」
クラウがチェーロを見て言う。
どうせ一人にはなれない。まるで彼女の行く末を分かっているかのように言う。
生まれ変わっても本質は変わらないということ、クラウもチェーロを離すことはない。だから彼女は一人にはならないしなれない。
「つまり私に自由はないと?!」
「そうとは言ってない。別に一人にしないって言ってるだけだし、ストームだって四六時中一緒ってわけでもないだろうから自由にしておけば?」
「だって絶対ついてくるんですもん!」
「好きにさせればいいでしょ」
結局ストームをどうするかの具体的な案は出なかった。
(こうなったら受け入れるしかないな。まあ、いつでも離れられるようにしておけばあとはいいや)




