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結び目

作者: とんかつ

毛糸の別視点です。

はじめて君と出会ったのはおばさんの家。

出会った頃の君はまだまだ赤ちゃんで、

ちっちゃくてふわふわでとっても可愛かったなぁ。

あ、今も可愛いよ?


お家に来てからは毎日がドタバタで。

よくソファで爪とぎをして怒られてたよね。

こっそりおやつをあげてバレて怒られたり…

…怒られてばっかだったかも?

でも確かに君は我が家のアイドルなんだよ。


私が一人暮らしをすることになった時、

君は着いてきてくれることになった。

親と離れて暮らすのはとても不安だったけど、

君がいるから大丈夫だって思えたんだよ。


私がお付き合いしてる人を連れてきた時、

最初はとても警戒して

彼の周りをあちこち嗅ぎ回ってたっけ。

彼はいい人だから大丈夫、ってわかってからは

私より懐いてたんじゃないかな?


彼と結婚する時、君はどこか落ち着かない

様子だったけどもしかして私のお腹に赤ちゃんが

いることに気づいてたのかな?

そうだとしたら君はきっと魔法使いなんだね。

ううん、きっとじゃなくて絶対だ。

だって君はいつだって私達を笑顔にする

魔法をかけてくれるもん。


ついに息子が産まれた。

正直、少し不安だったんだ。

君は優しいけど、人の赤ちゃんには

会ったことがないから。

でも杞憂だった。

君はとても優しく見守ってくれた。

しっぽを掴まれても怒ったりせずに

見守ってくれたね、ありがとう。

そして止めれなくてごめんよ…


そして陽太が大きくなるにつれ、

君はだんだんおじいちゃんになっていったね。

だって君はもう17歳。

人間だともう80歳は超えてる。

だいぶゆっくりになったね。

もう少し、もうすこし。

君との時間を噛みしめさせて。


あの日は君とゆっくりとした時間を

過ごしてた午後だったね。

陽の光は暖かくて、君はご飯を

あまり食べなくなってた。

…お別れが近いことはわかってた。

わかってた、はず

ゆっくりと眠る君から

少しずつ体温が失われていって。

あ、お別れなんだ、って思ったら

涙が、止まらなくて

日は少しずつ沈んでいって。

とうとう君は冷たくなってしまった。

すっごくかなしくて、さびしくて。

でも泣いてたら、優しい君は心配して

ちゃんと虹の橋を渡れないから。


大丈夫、私は大丈夫だよ。

だから、向こうで待ってて。

いっぱい、いっぱいお話を持っていくから。

だから、待っててね。

私の、私達の愛しい家族。

長くなりました…猫ちゃんはいいゾ。

長毛種でも、短足でも、垂れ耳でも、どんなお顔でも。可愛いことには変わりないですよねぇ。

毛糸、結び目、その次も、きっと続いていきます。

決して長くは無いけど、想いを。紡いで、繋いで。

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