表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/44

組み立て

 翌週の週末、私はまた明くんの家にお邪魔していた。私のパソコンの組立のためである。パソコンの中身は、私が酔っぱらっている間にいつの間にか決定していた。カサドンも同様のパソコンが欲しいと言うので、カサドンと真美ちゃんも来ている。私もカサドンもネットで部品を注文し、明くんの家着にさせてもらった。完成したパソコンは、持って帰るために近くのコインパーキングに車を止めてある。


 荷物を置かしてもらって悪いなと思っていたが、部屋で見ると想像以上に箱がデカかった。大きいという表現ではとても足りない。そのデカい箱以上に存在感があったのは、こないだライブを鑑賞したメタルアイドルのポスターだった。修二くんは戦車、明くんはアイドルと、勉強以外のことに使えるエネルギーがよくあるなと思う。


 いよいよ組み立てに入る。明くんの指導のもと、カサドンと私のパソコンが組み立てられるのだが、何故かネット経由で修二くんと父が参加している。

 修二くん曰く「東海村でも札幌と同様に計算ができるよ」

 父曰く「川崎にもどったときも、大学と同じように研究できるよ」

 なんか似ているような事を言っていて怪しい。


 そういうわけで中身が同じパソコンを4台いっぺんに作ることになった。違いはケースで、私は白、カサドンはブルー、修二くんと父は黒のケースになっている。約7000円。


 まずマザーボードを箱から出す。いや、出すのを私は見ている。真美ちゃんが組み立てをやってみたいと言ったのだ。私もやってみたかったが、何故か全員が真美ちゃんが組み立てるのを強く強く賛成した。これは実験じゃないんだから、例の効果は関係ないと思うのだけれど。約20000円。


 つぎはCPU。なんとか5である。私は明くんに7とか9でなくていいのかと聞いたのだけど、そうすると電源とかも強くする必要が出てきて予算オーバーしてしまうらしい。35000円。なお、最新モデルではない。リリースされてからしばらくして安定しているもののほうが、仕事には安全だということだ。

 真美ちゃんは慎重にソケットにCPUを乗せ、付属のCPUクーラーを乗せた。

「うーん、プラスチックのピンがちゃんと入ってるかよくわからん」

とつぶやいている。明くんがそこに行って、

「ちょっと見せて」

と言ってマザーボードを裏返した。

「うん、大丈夫だね」


 つぎはメモリー。私のノートパソコンの4倍も載せる。明くんがケチっちゃだめと言っていた。13000円。

「かったいなぁ」

 カサドンが文句を言っている。真美ちゃんも指が痛いと言ってカサドンに甘えている。


 いよいよ最高額パーツ、グラフィックボード45000円。


「ここで一回電源入れましょう」

 明くんが発言した。電源ユニット(13000円)をつなげ、カサドンのはテレビ、私のは明くんのパソコンからモニターを借りてつなぐ。

 私はのぞみと協力して、お茶とお菓子を用意する。


「それじゃあスイッチ・オン!」

 明くんが合図を出し、みんなマザーボードにつなげたちっちゃいスイッチを押した。


 ついモニターを見つめてしまう。画面がうつるまでがとても長く感じる。


 私のがつながれたモニターはなんか映った。わーい。

 カサドンのはだめだ。

 修二くんのも映った。

 父のはなんか真っ暗だ。


 明くんは父のをチェックしている。その間に私とのぞみはお茶を配る。

「お父さん、電源のスイッチ入ってますか?」

「あ」

「カサドン、CPUクーラーのファンの配線忘れてる」

「あ」

 明くんは私のをチェックしてくれたが、

「うーん真美ちゃん、メモリ1枚しか認識してないね。一回電源落として、メモリ抜き差ししてみて」

「うーん、痛い。カサドンおねがい」

「はいはーい」


 明くんが次の指示を出す。

「次はSSDでーす」

「ハードディスクじゃないの?」

「お父さん、最近はこれです。速いです」

「ふーん」

 真美ちゃんはマザーボードにSSDを指して、ドライバーでちっちゃいネジを固定している。

「これはかんたんだね」


「よし、ここでちょっと休憩しましょう」

 明くんの提案で、みんなダラッとなった。

「これからいよいよケースに組み込んでいくからね。しっかり休憩しとこう。真美ちゃん、もう痛いのはないからね」

「よかった」


 一休みして、いよいよケースへの組み込みが始まる。

「電源とグラフィックボード一回外しましょう。そのほうが多分組みやすいから」

 みな言う通りにしている。

 電源ユニットをPCケースの底の方に入れる。配線がうじゃうじゃと出てて、めんどくさそうだ。

 そしてマザーボードをケースに入れる。

「ドライバーの先をマザーボードにぶつけないようにね。運が悪いと一発でパーになりまーす」

 つづけてグラフィックボードも組み込む。

「配線にはいりまーす。ケースとの接続、マニュアルを見ながら慎重にやってください。あと、グラフィックボードの補助電源、忘れないようにしてくださーい」


 父「老眼で見えん」

 カサドン「真美先輩、もっときれいにケーブルまとめてください」

 真美ちゃん「カサドン、やって」


 OS(16000円)をインストールし、完成した。もちろん私は嬉しいが、真美ちゃんも喜んでいる。

 車で家に運ぶためにケースの入っていた段ボールにパソコンをつめていると、真美ちゃんは、

「我が子を嫁に出すのはこんな気分なのかな?」

と言っていた。

「うちに来たとき、使わせてあげるから」

と言うと、

「姑には気をつけるのじゃぞー」

と、私は姑にされてしまった。まだ新婚なんだけど。

 

 年末、私は川崎の実家に帰る機会があった。母は、

「最近お父さん、修二さんとなんかパソコンでやってるのよ」

と告げ口してくる。ちょうど父は外出していて、私は勝手に父のパソコンをみせてもらった。

 父の書斎の椅子が変わっていた。なんか車のバケットシートみたいなのになっている。

 パソコンを立ち上げると、キーボードとマウスが七色に光り始めた。無駄にかっこいいヘッドホンもつなげてある。


 どんなアプリが入っているのか調べてみる。そしたらワールドなんとかタンクとかいうのが入っている。修二くんのパソコンにも入っていた。立ち上げてみたら戦車のゲームだった。

 父はこのゲームを修二くんとやるために、パソコンを作ったのだろう。

 父をとっちめるのが良いか、修二くんを問い詰めるのがいいのか、私はちょっと悩んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ