9、今後に関わるかもしれない話
翌日。私はいつも通りに登校して、いつも通りにホームルームを待っていた。
そろそろホームルームが始まるチャイムが鳴る。
「ほらほら、席着け~」
来た。小牧先生、今日もダルそうで、今日もスーツがヨレヨレ。
「はい。ホームルーム始めまーす」
チャイムが鳴り終わると、淡々と今日の予定を話し始めた。
「で、今日あたり桜が満開になる。なってる。らしいから、昼休みにお花見したい奴は、他のクラスとか、先輩たちとか、下手すると先生たちもいるだろうから、譲り合ってやってくれ。以上、はい終わり」
よし、チャンス到来! ホームルームが終わって、教室は一時間目を待つ時間で賑やか。
今日の一時間目は数学。それなら、小牧先生は教室にいる!
「小牧先生!」
「うわっ、何? 俺、なんかした?」
私が教壇に向かい、先生に詰め寄る形になってしまったせいか、変な勘違いをさせてしまったらしい。
「いえ、何も。えっと、先生にお聞きしたいことがありまして……」
「ん? 何?」
「KiRaのことです」
「マジか。ここにも、クォーツが居んのか。で、何?」
小牧先生、KiRaのファンの総称を知っている。なるほど。
「先生は、KiRaの二人と、同級生だと聞いたのですが」
「待て。誰から聞いた? この事を知っているのは……。まさか、涼香、竹ノ内先生から?」
「いえ、違います。文芸同好会の先輩からです」
「あー、翼からか……。マジか」
「はい。加木先輩のお姉さんと、交際されているとか。あと竹ノ内先生が、晶楽さんと交際されているとか」
話をしていると、一時間目の始まりを知らせるチャイム。
「また後で話そう。昼休み、空けといて。場所は文芸同好会の部室」
そう言われ、私は席に戻り、授業が始まってしまった。
「今日は最初に、ミニテストやりまーす。この集合のとこを理解出来ているかのテストな。はい、プリント回して」
プリントを受け取り、後ろの人に回す。
問題は表面だけのようで、全部で十問。
「全員手元に行ったな。制限時間は十五分。その後丸つけやるぞ。はい。始め!」
名前を書いて、一問目。先ずは一から五十までの整数の中で、素数はいくつあるか。
素数は、えーと。二、三、五、七、十一……。
五十までなんて、意外と時間掛かる。
小牧先生とKiRa の関係も気になるのに。どうしよう。集中出来ない。
先に他の問題を解こう。気分転換は大事だからね。
二問目、三問目とあとは簡単に解くことが出来た。残すは十問目。最後になぜか連立方程式が出てきた。
これは中学でも苦戦したけれど、受験勉強で克服出来たから、大丈夫だと思いたい。
「はい。終わり。ほら、佐々木、終わりだって。悪あがきしても、意味ないからな。って、野口もか」
先生の声でシャーペンを置き、三色ボールペンをペンケースから取り出す。
自信はあるけど、見直し出来てないから、少し不安。