14、先輩と後輩
さてさて。どうしたものか。
ライトノベル風な物語だと、同年代の人たちから読んでもらえそうだけど。
「そうだ。ツバタさんの小説」
私を文芸同好会へと導いてくれた、私にとって人生を変えてくれたツバタさんの小説。
普段からカバンの中に入れていて、執筆に行き詰まると、何度も読み返している。
「ローファンタジーにしようかな」
独り言を言っていても、先輩は眠ったまま。これじゃまるで、眠り姫みたい。
「ツバタさんに、会ってみたいな」
なんてね。ツバタさんはきっと、卒業してる。それに、文芸同好会には、加木先輩と私だけなんだから。
「そういえば、まだペンネーム決めてなかったな」
どうしよう。好きなアニメのキャラクターから決める?
それとも、ドラマとか小説のキャラクター? マンガにする? どうしよう……。
でも、好きなキャラクターだとしても、この名前を使いたい! って思えるキャラクターはいなかった。
ただ、ひとりを除いて。
「レイ・サマーウッド」
ツバタさんの小説に登場するキャラクターのひとりで、イギリス人の私立高校の英語の先生だけど、本来の姿は、最年少の魔術師。
迫り来る敵と主人公が戦うことになり、魔法を教える。
《魔法は、いつでも貴方の側にある。だから、貴方が魔法を拒絶すれば、魔法は使えない。魔法を信じるなら、魔法は貴方に応えてくれます》
《生きとし生けるものに、魔力は宿るのです。だから、植物にも動物にも、もちろん、ワタシたち人間にも。神は戦う力を与えてくれたのです》
《ワタシが戦う理由ですか? それは、大切な人たちを守る為です。それに、地球はワタシたちのモノで、彼らのモノではありませんから》
芯の強い女性だと思った。最年少で魔術師となり、守りたいと思って、地球を迫り来る敵から守っているんだから。
「サマーウッド。夏木? レイはそのままにして、夏木レイ? それとも木を樹木の樹にして夏樹レイ?」
「何、独り言言ってんの?」
「へ、あっ! 先輩、起きてたんですね」
話し掛けられるまで、加木先輩が起きていたことに気づかなかった。
「うん。レイなんとかって言ってたのは聞いた。何に悩んでんの?」
「ペンネームを決めてなかったので。先輩は、どんなペンネームなんですか?」
「俺のは、教えない。文化祭当日までの秘密」
「えー。教えてくださいよ」
「ヤダ」
「もう、チキン南蛮サンド、買って来ませんよ?」
「それもヤダ」
「それなら、教えてください」
「絶対、ヤダ」
これ以上何か言っても、「ヤダ」と言われてしまう。
それなら。
「じゃあ、夏木レイと夏樹レイだったら、どっちが良いですか?」
「え、そんなの、夏木レイでしょ。画数少なく済む」
「そんな決め方なんですか?」
「まぁ、俺の場合なんて、先生と先輩たちからの圧力で決まったけど。何があったのかは、ご想像にお任せします」
「そうですか……」
ペンネームは決まった。一応、仮のペンネームってことにして。
ローファンタジーの物語を書こう。




