第四話 始まり
はい、こちらも連載再開です!
張り切って頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします!!
鐘がなった
扉が開く。
フィーナの後ろに大きな扉が現れた
「お嬢…あな、、、お嬢ッ!?」
フィーナはゆっくりと扉に吸い込まれていた
「行か、ないでッ」
グレンが必死に手を伸ばす
フィーナは一瞬、ためらった
自分にその手を取る資格があるのかわからなかったから
でも、手をありったけ伸ばした
「グレンっっっ」
ガタン
重厚感のある扉が閉じられる音がした
グレン…
グレンの姿はもう見えなかった
私の意識は暗闇へとすいこまれていった
「よく、ここまで。アトはアナタの独壇場」
そう、言われた気がした。
「グレンっ」
私は思わず起き上がった
そして、グレンは待っても来なかった。
グレンはいなくなった。
もう、独りになってしまった
機械音が響く
『フィーナ・”#$%・ルージュがギフトを入手しました。原初の#$%になりました』
「アハッ…アハハハハッ」
消えた、消えた。み~んな消えた。あーあ
「アッハ、アハハハハハッッ」
…ゴミが
彼女の周り一帯は消失していた。公爵邸があった場所はのどかな野原へと変貌していた。
放心した様子の少女はその中心に座り込んでいた
その背には一瞬、羽があったように視えた気がした
少女は力なく、まるで操り人形のひもが切られたように、パタリと倒れた。
人がわらわらと集まってきた。
多くは甲冑を来た人々だった
少女と同じ年頃の男の子がその間を突っ切って少女に駆け寄ろうとする
しかし、甲冑を纏う人々によって抑えられた
振りほどこうともがく彼は目の前にいる初恋の少女に向かって叫び、呼びかけた
しかし、彼女がこの場で目覚めることはなかった
「ん…?」
少女は目覚めた
自分の部屋と同じくらい豪華な部屋だという感想を抱いた
誰もいなかった
「グレン…」
ひと時の感傷にひたっていた。が、侵入者が来たことにより、それは終わりを告げた
パタン、と扉があけられた音がした
何かしら?
彼女が扉の方を見るとそこには使用人がいた
なんて無礼な使用人かしら。平民の方々の方がよっぽど礼儀がなっているわ。
「お目覚めになられましたか。フィーナ・ルージュ様」
本当に無礼ね。こちらから話しかける前に話しかけてくる上に名前を呼ぶなんて。
王族でもない限り、私にそれをするのは本当に礼儀知らずでしかないわよ。
さも当然のような顔をしている使用人に彼女は少し吐き気がした
「私はフィーナ・ルージュよ。それに、あなたが呼ぶならルージュ公爵と呼ぶべきだわ。」
簡単に、教えて差し上げた。これ以上何か言われると本当にイライラしそうだわ。
「…それは王の許可が」
「必要かしら?そんなもの」
「無礼者ですよ」
…???何言ってるのかしら、こいつ
「あなたの態度こそそうじゃないかしら?王族の品位が疑わしくなるわ。使用人、去りなさい」
「っは、王の厳命に逆らうとでもいうのか」
あら、私の聞き間違いかしら?今この使用人、私に向かってどのような口の利き方をしているのかしら?
「去りなさい」
本当に、なんでこんな使用人が王家に仕えているのかしら…
親の七光り?
「王の命令だぞ」
「私の目の前から消えろ…そういえばいいのかしら?」
「王の命により、それは不可能です」
「命令、命令、五月蝿いわね」
フィーナが立ち上がった。
一瞬、世界がフラッシュバックした
フィーナの周りには限りなく透き通った巨大なつららが5つ展開されていた
その鋭い切っ先はすべて使用人に向かっていた
「さぁ、どうするのかしら?」
使用人は座り込んでガタガタと震え始めた
「フィ、フィーナ侯爵令」
「はぁ」
一つ、大きなため息を吐いた。
そしてその瞬間、光に反射してつららがきらりと光った
まだ、子供だし、使用人しかいないし、ため息の一つや二つ、許されるわよね
「ひぃッ…」
「私はルージュ公爵お。異論は認めないわ」
「すみませんすみませんお許しください」
「早く出て行ってくれな」
「は、はいッ!!!」
ばたん、と乱暴に扉を閉める音がして使用人は去っていった
「…言う必要はなかったみたいでよかったわ」
また寝ようかしら、と思ってベッドに座る
しかし、そいつの登場がそれを許してくれなかった
パタン、と扉を開ける音が聞こえてそれをやめた
扉に向き直り、彼を見据えた
セジア皇子殿下…面倒でしかないのだけれど。
仮にも皇子殿下が立っているのでこちらも立って話す
これが礼儀というものだ。
椅子を軽く進めるが座る様子はなく、すぐに帰ることが伺えた。
「目覚めたようで何よりです。…まだ正式な受理作業が行われていないので、フィーナ公爵令嬢でよろしいですか?」
「はい。もちろんですわ」
少し、取り繕って言った。
セジアの反応が観れればいいんだけれど。
まぁ、この様子だと見れそうにないわね。でも、使用人より丁寧な皇子殿下って何かしら…?
「別に、そんな硬い口調じゃなくてよいですよ。あなたはルージュ公爵令嬢なんですから。」
「なら、遠慮なくそうさせてもらうわ」
やっぱり子供の頃はいい子なのね
「やけに慌てて使用人が出て行っていきましたが何か粗相でも?」
「えぇ、そうね。」
その答えにセジアは異常なくらいに落ち着いていた
まさか、皇子殿下知っていたのかしら?…悪趣味ね。
でも、それが本当かわからない。彼の本心だけは読もうとしても読み取れた例がない。
「そうですか。使用人は何人必要ですかね」
「零」
「…私の聞き間違いなら申し訳ないのですが、零って言いましたよね?」
「えぇ」
「え、あ、零でいいのですか?」
彼の驚いた顔を前世も含めて初めて見た気がする
貴方もそんな顔、するのね。きっと、まだ幼いからかしら?
私とセジアが初めて会ったのは10歳のころだったはずね
かなり遅いのは、私が領地にこもっていたせい。社交会にはかなり出席していたけれど、そこにセジアが現れることはなかったからというのもあるわね。
そう、確か。花爛学園への入学を控えた北雪の時、正式に婚約者となってしまった私たちは王城で会うこととなった。
皇子の庭で彼に言われた一言目が「君のことはキライじゃないが好きでもない」だった
セジアに全く興味を持っていないのにコチラが期待しているとでもいうような言い方はやめてほしい。
考えてすらほしくないというものだった
「はぁ…さっさと帰っ、あ。王との取次ぎをお願いしていただけますか」
「要件は?」
「今後の公爵家と私の扱いについて」
「わかりました。じゃあ、ゆっくりしてください。欲しいものがあったら、そこにベルがあるので鳴らしてください」
そう言ってセジアは机の上に置いてある高価そうなベルを指さした
そして、そのまま部屋から出て行った
やっと一息つけるようになったわね。さて、寝ようかしら
そう思ってフィーナはベットに座り、布団に足を入れる
ふぅ。これで寝れ
「こんにっちわ~☆」
は?
令嬢らしかぬ疑問を心の中で上げてしまった
そのことを反省しつつも、これは仕方ないのでは、という自身への擁護が出てくる
まぁ、確かに仕方なくはあるのよね
「あ、あれ?聞こえてないのかな☆」
言葉の最後に女神の周りに星のパーティクルがキラキラと光る
こんな演出付きの御方は…
「女神セリフィア…」
「おっと、自己紹介は必要ないみたいだねぇ☆」
「女神ですよね?本物ですよね?嘘だと言ってくださいませんか?」
「えっ、え~なんで!?私が主神、女神のセリフィア。本物だよ☆」
女神さまに無礼すぎる言い方だとは思うのだけれど、こんなものが私達が昔から崇め讃えている最高神様だなんて…
王様と教皇様はご存じだったのよね…?
「フッフ~ン。私のことを崇めたた」
貫け
先ほどから消さずに隠していたつららを召喚し、女神セリフィアに向かって放った
「お、結構純度高いね!」
パリン
明るく軽い音が響いたかと思うと、つららは光の粒子となっていた
星が舞った、そう錯覚した。
セリフィアがつららを人にらみするだけでそうなってしまった
「ッ…やはり女神セリフィア様なのね…」
天使はこの氷を防ぐだけにも高位のシールドが必要だった。
なのにこの方はそれをいともたやすく視線だけで…
「信じてもらえたようで何より。僕は君の支援者」だと思ってくれればいいよ☆」
一個人に肩入れしすぎな気がするわ…大丈夫なのかしら?
「大丈夫だよ。何て言ったって君は聖女じゃないか。僕たちの加護を一身に受けるもの。その立場からすると何ら不思議なことじゃないよ」
「心読めるのね…」
「まぁ、だてに主神やってないからね☆」
流石、というべき御力。
流石だけじゃ失礼かもしれないわね…
とにかく、これで私は前に進める。
あの平民に復讐を果たすために