第一話
「おはようございます、お嬢様」
「えぇ」
お嬢様と呼ばれた少女は何やら気難しそうな顔をして考え込んでいた
「どうかされました?」
「なんでもないわ。」
愁いを払う世に爽やかで愛らしい笑顔を一つ振りまき一言
「ただ、大切なことを忘れているような気がして。」
「そうですか、お嬢様が忘れ事だなんて珍しい。思い出せるといいですね。」
「レナ、さっきからあなたしかいないけどユーラは?」
先ほどから少女に話しかけていたメイド服でこの世界では大して珍しくはない金髪を結い上げた美しい女性はレナといった。レナはその黒い瞳を惑わせた。
「ユーらは熱で…」
「わかったわ。私の支度を済ませてちょうだい」
「はい、お嬢様」
鏡の前に少女は座った。
鏡の中には天の川のような銀髪で夜空のように深く魅了されそうな藍色の眼を幼い顔に備えた超絶美
少女がいた。それは、砂上の楼閣のようにつついたら壊れてしまいそうなはかなさを持ち、絶妙ンアバランスで構成されていた。『美の神の最高傑作』…彼女を表す一言はこれだろう。
はぁ、つかれる。
「執事。」
「は、お嬢様。」
いつも通り、騎士のようでどことなく筋が違うそんな雰囲気をまとってて…何を考えてるのかしら
「ユーラは?」
「死亡しています。」
「は?」
間抜けな声を出してしまった…それよりも、ユーラが何、だって?
「ユーラが?嘘でしょう?あんなに、元気だったのに」
「転落事故で」
「そんなぁっ」
少女の母、父はともに死亡してしまっていた。ユーラはそんな少女の親代わりのようなものだった。
幸い、少女の父とここに今いる執事、キリハが有能なおかげでこの公爵亭は今も変わらず存続することができているのだ。
うそ、うそ、うそだっ………
「そして、…お嬢様?お嬢様っ」
頭が…い、た、い?
「バタン」
その音が少女の耳に届くことはなかった
「わたしは?」
頭がくらくらして思考がまとまらないし重い。
私は、フィーナ。フィーナ・#$%&・ルージュ?ここは、私の昔の部屋?なんか、さっきも、っ!?うぅ…痛い。うそ、でしょう?だって、私は聖女になったから公爵令嬢の位を放棄しなくちゃならなくなって、だから、ここにはもう、来れないはずなのに。
「ユーラ、いる?」
レナが入ってきた
なんで?
「お嬢様っ、大丈夫、ですか?」
「レナ…」
目から涙があふれていた。少女、フィーナはなんで泣いてるのか分からなかった
「ユーラはっ…」
「大、丈夫?」
「ユーラはッアあぁぁぁっ」
「落ち着いて、レナ、」
「ユーラは、転落事故で…あぁぁぁっユーラぁぁ!!」
転落、事故?
「ユーラ、死なないでよ…なんで、なんでっ?」
「ユーラが?嘘でしょう?あんなに、元気だったのに」
デジャヴ?
あっ!ああぁぁぁっ…頭がぁぁぁ
「い、た、い?」
「バタン」
その音がフィーナの耳に届くことはなかった
「っ!?」
ハッと飛び上がるように目を覚ます。
わた、私は、フィーナ・#$%&・ルージュ
「つらい、いたい?さっきのは、何?予知夢かなんか?」
何が、起きていたの?
「あは、アハハハハハっ!」
ユーラが死んだ?そう、なのね?
「アハハハハっ」
そう。そうなのね。へいみん?あぁ、平民ごときが私に?
「アハハハハハハハハハハハハッ」
フフ…アハハっ。ふぅふぅ、葉はっ…優しかったのね、フィーナ。本物の聖女よ、あなたは。
でもね、私はそんなに優しくも甘くもない。
「お嬢様、どうか…ひっ」
フィーナを不気味そうに見つめるレナ。しかし、すぐに表情は変わった。
「あぁ…お嬢様。知って、いたのですね?」
憐れむような視線と痛む視線がフィーナに突き刺さる。
すると
パキン
そう、音が鳴ったと思った。なぜなら…
「レ、ナ…?」
レナはガラスのように砕け散っていたから。否、ガラスだった。彼女の体はもう、人間の構造をして
いなかった。色がついていて、ジグソーようにあてはめたらきっと人間になるだろう。それが容易に
想像できてしまうほど、ガラスの破片はあまり細かくなっていなかった。
それの口らしき絵が描かれている部分が一斉に動く。
「う、お嬢様」
目もきょろきょろと動き始めた
「ユーラも、レオン様もお亡くなりになられてしまったですからね…」
え…レオン?レオンまで。
「…?知っておられたのではないのですか?」
「ユーラ、レオン…ユーラぁっレオンっ」
「そういえば、なぜ私はお嬢様に見下ろされ」
そこで言葉は途切れた。フィーナがその美しい足で破片を踏んで粉々に砕いていたから。
頭が痛い?関係ない。
悲しい?関係ない。
寂しい?それも等しく関係ない。
「私は、フィーナ・#$%&・ルージュ。平民ごときにはッ」
あぁ、違うわね・・
「私の公爵令嬢らしかぬちっぽけな器をあなたに差し上げましょう。」
代償は
「あなたの希望と幸せを」
にぃと口の端が上がる
「もらおう、かしら?」
「バタン」
その音がフィーナの耳に届くことはなかった
ハハッ、さて、何をしようかしら?
「グレン」
「何ですか、お嬢」
一人のフィーナと同じ年頃の少年が入ってきた
「死亡確認」
「ふぅん」
「主を品定めするつもり?解雇と」
「えっとですね、ユーラ、レナ、レオン様です。」
早口でまくし立てるように言った
やっぱり、死んじゃったのね…
「私が公爵になる予定?」
「はい。成人を迎えたら、もしくは僕の父キリハが死亡したとき、となっています。」
「なんで敬語なわけ?」
「・・・はぁ。普通はこんなもんだよ、フィ」
「知らないわ。公務を少しでも覚えておきたいから書類を持ってきて。」
「はーい」
本当にグレンは極端すぎない?まぁ、今回は聖女にならないことを目指して頑張りましょう。
アハッ。かわいそうね、この世代は。聖女が名乗りを上げないんだもの。
「もってきたよー」
「他の人は?」
「え、ほぼ全員、死んでるよ?」
「っえ?」
「知らなかったの?お嬢?お嬢っ」
書類を放り出してフィーナに駆け寄るグレン
「そんなぁ…」
「俺は死なない、から」
グレンの目から涙があふれる
「お嬢、だから、死なないで。」
「えぇ」
バタン
音はならなかった。フィーナの背中にはぬくもりがあった。
泣かないようにこらえようとしてこらえきれない涙をぼろぼろと流しながら、それでも必死にフィーナを抱きかかえる一人の従者がいたから。
Good bye おやすみなさい。また、会いましょう
読んでくれてありがとうございました。連載していく予定なので心待ちにしてくれると嬉しいです。高評価、感想、誤字脱字などたくさん送ってくれると嬉しいです。
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