GOLDEN DAWNに恋して
イケメンバーテン目当てに通っているバー。
いつものようにイケメンに癒される為にバーに来たが、今回はオマケ(会社の同僚)がついて来てしまった。
これじゃ目当てのバーテンと話せない…と思っていると、どうやら逆で、同僚のおかげでバーテンと距離が縮まって…。
(甘/大人な雰囲気)
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興味を持って下さってありがとうございます。少しでも読んで下さった方の心に残れば嬉しいです。
仕事帰り、私は同僚の河田と馴染みのバーへ来ていた。
つい一年前までは、ほとんど知らなかった店だけど、新しく来たバーテンが、すごい私好みなのだ。
いつもは一人で来て、バーテンと話をするんだけど、今回は退勤時間が一緒だったせいで、余計なおまけがついてきた。
カウンターごしにバーテンを見るが、一人じゃないからあまり近寄って来ない。
他の一人客と話し込んでいる。
「…はぁ、これじゃ何しにきたんだか…」
私は別にお酒を楽しみに来た訳じゃない。
あの、名前も知らないバーテンに会いに来たのだ。
ちらりと隣に座る河田を見る。
ホンッと邪魔。
さっきから、安いお酒をガブガブ飲んでるのも気に入らない。
居酒屋じゃないっつうの。
私はカウンター内に、綺麗に並べられたお酒のビンを見ながら頬杖をついた。
「オールドボトルがこれだけあるんだし、…たまには奮発して飲んじゃおうかな。河田ぁー、あんた次は何にする?私と同じの?」
「アホか、俺はお前みてぇに、たった一口に5万も出せるほどリッチじゃねーよ」
「じゃあ何?」
「焼鳥」
「ないっつーの」
何かオススメのお酒を見繕ってやるか…と思っていると、バーテンが近づいてきた。
「焼鳥、お作りしましょうか」
「え?」
「タレはありませんが…簡単な材料でよろしければ、似たような物をお作りしますよ」
「そんな…悪いですから、お気になさらず…」
優しい人だなと、ますます惹かれる。
だけど、まさかそこまで甘える訳にいかずに断ろうとすると、河田が口を挟んできた。
「お、頼む!」
「ちょっと河田……」
思わず小声で諌めると、バーテンが小さくお辞儀した。
「かしこまりました」
そう言って、裏に姿を消したバーテンを見送りながら、河田は嬉しそうに手を叩く。
「お前と違って、話の分かるバーテンじゃねーか」
「…はぁ…恥ずかしい」
「あ?何がだよ」
「別に」
言っても無駄だとそっぽを向くと、本当に簡単な材料で作った焼鳥もどきを手に、バーテンが戻って来た。
その焼鳥を頬張る河田を見ながら、やっぱり連れて来るんじゃなかったと、私は溜め息を吐いた。
パフェを食べ終えると、河田は直ぐに帰って行った。
しかも、途中から飽きたのか、焼鳥の半分近くを私に押し付けて、だ。
わざわざ作ってくれた物を残す訳にもいかず、私は仕方なく焼鳥の残りをつつく。
すると、バーテンが新しいお酒を手に話し掛けて来た。
「無理に食べなくても、残してもらって構いませんよ」
「…いえ、そんな訳には…」
そう言いながらも、肉が苦手な私は、迷って箸を止める。
「あんなガキにゃ、酒の味なんざ分かりゃしねぇよ」
「…はい?」
今何か聞こえた様な。
バーテンを見ると、普通の顔してる。
…気のせいか。
そんな事を思ってると、バーテンはさっさと焼鳥を片付けた。
「口直しにカクテルはいかがです?」
「あ…そうですね、お願いします」
「ベースは何に?」
「じゃあウォッカで。さっぱり系で、ミントとフルーツが入ってると嬉しいです」
「かしこまりました」
優雅に頭を下げると、バーテンは迷いもせずにカクテルを作り始める。
「お客様」
「はい?」
「先ほどの男性は、お客様の恋人ですか?」
「ま…まさか!会社の同僚です!!」
いきなり何を言い出すのか。
慌てて否定すると、バーテンは安心した様に目を細めた。
「…だろうな。酒のイロハも知らねぇガキは、アンタにゃ似合わねぇ」
「…はい?」
また下品な言葉が聞こえた、今度は聞き間違いじゃない。
驚いて目を丸くしてしまう。
「あの…?」
おずおずと顔を覗き込むと、バーテンは店内を見回した。
私もつられて辺りを見回す。
どうやら客は私だけの様だ。
その事に気づいたのか、バーテンは「ふぅ…」と息を吐き、指先でネクタイを緩めた。
「猫かぶんのも楽じゃねぇな」
「…?」
店内に私以外誰もいなくなったとたんに、印象が変わった。
何が起きてるのかと思ってると、バーテンは出来上がったカクテルを差し出しながら、ずい。と身を乗り出した。
「今夜は店じまいだ。このあと、場所を変えて二人きりで飲まないか?」
「…え!?」
私さっきから、ほとんど「え」しか言ってない気がする。
だけど、まさかお誘いなんて…。
…いや、うん。願ったり叶ったりだ。
断る理由なんか、いくら探しても見付かりっこない。
気が変わらないうちにと頷くと、バーテンは胸元のポケットから名刺を出した。
私は名刺を受け取って、名前を確認する。
十和田さん…っていうのか。
何の肩書きもない名刺だと、何気なく裏返すと、そこにはホテルの名前と数字が書かれていた。
「これ…ホテルのルームナンバー?」
まさか?と思ってしまう。
だっていきなりホテル?
さすがにそこまで、心の準備が出来てない。
しかも、書かれているホテルは、都内で有数の高級ホテルだ。
さらに驚くのは、スイートルームだって事。
よく雑誌で見るけど、確か一泊40万だった。
あまりの急展開に目眩がする。
部屋番号が書かれているって事は、既に予約済みなんだろう。
からかわれているのかと迷っていると、バーテン…いや十和田さんは、さっさと閉店の準備を始めてしまう。
どうやら本気らしい。
私は名刺裏のルームナンバーを見ながら、今日の下着の心配をしてしまうのだった。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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