仏の顔は何度まで?
いつも、どんな酷いことを言ってもやっても、許してくれる友人の虎空。
自分を甘やかしてくるそんな虎空に、無理難題を押し付けつつ、どこまで許して貰えるのかを探るマヤ。
(日常/ラブコメ/甘々/溺愛/ほのぼの/ギャグ?)
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興味を持って下さってありがとうございます。少しでも読んで下さった方の心に残れば嬉しいです。
ゼンマイ仕掛けで動くからくり人形を壊してしまったマヤは、壊れて動かなくなった人形を手、機械技師である虎空の元を訪れた。
この虎空という男は、昔からマヤに甘い。
歳が離れている事もあるが、どんなに理不尽な事を言っても、馬鹿にしても、絶対に怒らないのだ。
子供扱いされているようで気に入らなくはあるが、どんなワガママも聞いてくれるのは有り難い。
「…ん?マヤか、どうした?アンタの方から会いに来るなんて珍しいな」
「まぁ、会いたくて来た訳じゃないけどね。これ…」
そう言ってからくり人形を虎空に差し出すと、虎空はまじまじと人形を眺める。
「へぇー、ゼンマイ仕掛けの人形。面白いモン持ってんじゃねぇか」
手渡された人形をまじまじと見ていた虎空は、小さく声を上げた。
「ん…?これ壊れてんのか?」
「うん、直して貰おうと思って来たの」
「…ネジが一本足りねぇみたいだな」
ガリガリと頭を掻きながら呟くと、マヤは目を逸らしながらポツリと口を開く。
「まるで虎空の頭みたいね」
「…修理を頼みに来た奴のセリフとは思えねぇな」
「これを直せるのは元親以外にいないと思って持って来たの」
「…棒読みにも程があんだろ」
嫌々ながらおだてた。という感じが出ていたマヤの言葉に、そう短く答えると、虎空は再び人形をいじり始める。
「…ッち、何だこりゃ。全く仕掛けが分からねぇ」
「クソの役にも立たないわね」
「…お前、実は俺が嫌いだろ」
さんざん分解した後、人形を元に戻した虎空は、結局直せないままマヤに人形を手渡した。
「駄目だな、足りねぇネジがウチにはねぇ。直すにはコイツに使えるネジを手に入れるしかねぇ」
虎空はそう言って、申し訳なさそうに頭を掻く。
マヤは意気消沈を隠さずに、溜息を吐きながら人形を受け取った。
「ありがとう虎空。直して貰えなかったけど、一応お礼を言うわね。口だけの無能っぷりに、心無い酷い事を言う人が沢山いると思うけど、挫けずに頑張ってね」
満面の笑みとは裏腹に棘たっぷりにそう言うと、マヤはこれ見よがしに、再び深い溜め息を吐く。
「…あぁ、今のお前の心無い酷い一言が、俺を傷つけたよ」
「それじゃ私は帰るね、あ…」
「…?、今度は何だよ?」
何かを思い出した様に足を止めたマヤは、くるりと虎空を振り返った。
「ネジ、手に入れておいてよね」
それだけ言うと、マヤは虎空の返事を聞かずに部屋を後にした。
返事など聞く必要がないのだ。
何故なら、虎空がマヤの頼みや我儘を、今まで聞いてくれなかった試しなどない。
(虎空には悪いけど…ね)
自分の我儘を何処まで聞いてくれるのか。
自分の文句を何処まで怒らずに聞いてくれるのか。
いつか怒るまで、やってみたいと思うマヤだった。
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