トキメキをもう一度
彼氏と別れた直後、傷心中の私に連絡をしてきたのは、仲の良い友達。今日は飲みに行く気分じゃないと思っていたら、予想外なことを言い出して…。
(青春/現代/甘/ハッピーエンド)
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興味を持って下さってありがとうございます。少しでも読んで下さった方の心に残れば嬉しいです。
悲しくて涙が止まらない。
ずっと付き合ってきたカレに別れを告げられてから、私は部屋に閉じ籠っていた。
ずっと好きだよ、死ぬまで一緒にいようって言ってくれたのに…。
何で心変わりしちゃったのかな。
ベッドに横になって、枕に顔を埋めて泣いてると、枕元のスマホが振動した。
画面には、大学で知り合ってからずっと、飲み友として付き合い続けているリクの名前。
「…もしもし?」
「優美、お前フられたんだって?」
第一声が心を抉る。
返事をせずに通話を切ろうとすると。
「泣いてたんじゃねーだろな」
「リクには関係ないじゃん、ほっといてよ」
「…いや、ほっとけねーだろ」
「何で?」
「おま…ッ、…わかんねーの?このタイミングでこんな事言うんだから、さすがに分かるだろ?!」
驚く意味が分からない。
とにかく、今はリクの勝手な話に付き合う気力はない。
「…とにかく。話ならまた今度にして、切るよ」
「ま…ッ待て待て!!」
…本当にうるさい。
あまりの声の大きさに、スマホを耳から離すと、声が小さくなる。
だけど、一言だけ微かに声が耳に届いた。
「好きなんだよ」
「…?いま…なんて?」
再びスマホを耳に押し当てて問い掛けると、リクは不機嫌そうに怒鳴る。
「好きだっつってんだよ!!」
「…私を?」
「他に誰がいんだよ」
「リクが?」
「くどいっーの」
「えー、いつから?信じらんない」
慰めようと下手な嘘でも吐いてるんだろうか。
半信半疑で言うと、スマホの向こうで溜め息が聞こえる。
「いつからって…、んー…多分最初から?」
「女の子らしい子が好きなあんたが?女らしくない私を?」
自分で言うのもなんだが、私は男勝りで女らしさなど皆無である。
「あぁ…ま、女らしくねぇのは否定しねーけど」
「さよなら」
「自分で言ったんだろが!!」
「…女は嘘でも褒めて欲しい生き物なの」
「えーと、…立派な体型だな」
「褒めてるつもりか。やっぱりさよなら」
「ちょっと待て!!俺にどーして欲しいんだよお前は!!」
「こっちの台詞、告白なんかして、どういうつもり?」
「どういうつもりも何も…フられたんだろ?俺と付き合って欲しいってつもり」
「ヤダ、あんた顔が濃いから」
私は醤油顔の方が好みだ。
「濃いって、てめえ!!悪口だろソレ!!」
「いいえ、褒めてます。…多分」
何だろう。
落ち込んでたはずなのに、いつの間にか普段の私に戻ってる。
認めたくはないが、リクのおかげだろうか。
そういえば、リクと話してる時は、いつも素の私かも知れない。
別れたカレと一緒にいる時より、楽で無理がない。
「…なァ優美」
「何」
「もっかい言うぜ?俺はお前が好きだ。これは、冗談でも慰めでもねーからな」
「…ありがと」
リクとなら、無理なく自然体で一緒にいられる。
悔しいけど、リクと新しい恋を始めてみようか。
「えっと…ちょっと考えてみる」
「おぅ、前向きにな」
そう返事をしたリクの声は自信満々で、既に私がなんて答えるか分かっているかのようだった。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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