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私は生きたい

よろしくお願いします


 ある日夢を見た。

 夢の中の私は、今と同じ王太子殿下の婚約者だった。

 ただ、学園の三年生だった。学園の制服は通う歳で制服が変わる。


 来年通う筈の学園、まだ外から見た事しかない。

 中に入るには学園生とその親、城で働く文官の視察以外では入れない。


 夢の中の私は学園の門を馬車で潜り中に入る。

 馬車で出ると、多くの人達が私に挨拶をしてくれる。

 『私』はその挨拶に丁寧に返していく。


 『私』が少し遠くを見ると、王太子殿下とその側近の人達が集まっていた。

 騎士団長長の息子である令息、魔法師団長の息子である令息、そして私が知らない制服が平民の子だ。


 その全員が周りを囲む様にしている貴族令嬢。

 誰かは解らない。

 『私』は特に気にしないで、校舎に入っていく。私も友人の、リタ・クリステル子爵令嬢が


 「またあの方、殿下や側近の方達と一緒にいますわ。殿下の婚約者はシルヴィア様。側近の方達も、商会の方以外は婚約者様がいらっしゃるのに!」


 と、憤っている。

 リタ様は、将来は私の専属侍女になる、としっかり者で有名なお母様から侍女修行?をしている親友と言ってもいい仲だ。

 そんな彼女に『私』は


 「気にしてませんわ。私達は政略結婚ですもの。歩み寄ろうとしましたけど、殿下はドラクル公爵家と仲のいいドラゴナイツ侯爵家に最初から不満なのですわ。」


 「ですが!入学してからずっとですわ。もう三年になりますわ!卒業したら、すぐに殿下とシルヴィア様は結婚なさいます。もう卒業間近!先代陛下の様に王家との政略結婚が御破算になったら、幾らドラクル公爵家でも貴族達を止められません。」


 「そもそもこの政略結婚は、我が家には利益が全くありません。ドラクル公爵家憎しの陛下が、わざわざドラクル公爵家と仲良くしようとしていた息子の王太子殿下から孫の殿下を王太子にしてまで、ドラクル公爵家とドラゴナイツ侯爵家を引き離す為の婚約です。その時点で貴族達は我慢の限界に近いのです。殿下も理解していますわ。」


 私の婚約は7歳の時に成立した。

 この国の婚約は平均十二歳だ。

 その位の年齢になれば性格が解り、性格も変わり辛くなるから選んだ婚約者選びに失敗し辛いからだ。

 学園に入る前の3年間で婚約者にお互いが歩み寄る努力をする。

 政略結婚でも幸せになるために。


 それなのに、陛下は産まれた時からお父様に私と殿下の婚約を打診した。

 当然お父様はあまりに常識的ではないと断った。

 7年間婚約を断り続けたが、陛下に、国家反逆罪で処刑するぞ。

 と言われ内戦になるのを止める為私に、すまない、と何度も謝って婚約を受け入れた。


 ドラクル公爵家は、あまりにヒドイと王になる事も辞さない、と言ってくれたらしいが、丁度その時魔の森が活性化した。

 いつもは活性化してすぐに魔の森の中で戦闘をして活性化を鎮めるが、周期では魔の森の活性化に気が付くのが遅れ活性化スタンビートが起こった。


 騎士団の4割、冒険者は6割、戦死者が出た。

 その状態で内戦は出来ない。

 内戦をしながも魔の森から領地を守らなければならない。

 騎士団と冒険者がそれだけ死に生き残った者も怪我が酷くて引退する者も少なくなかった。

 ドラクル公爵家は戦力を大幅に減らした為、立て直しが急務だった。


 婚約してから、私は実家に帰れなくなった。

 王城で生活し王太子妃教育と王妃教育を受けた。

 何年も起きて勉強して寝て、起きて勉強して寝ての毎日だった。

 自由なんて一秒もなかった。

 お父様とお母様、産まれて4回しか会った事のない弟の為必死だった。


 唯一、お茶会だけが心を休められる時間だった。

 ドラクル公爵家の盟友達、通称『第二の王家の家臣』達の令嬢の皆が私の心を救ってくれた。

 他の貴族の子供達からは「私の取り巻き」と言われているが正確には『第二の王家の家臣』の仲間達だ。


 ドラクル公爵家も7年間で騎士団の立て直しを大分出来た。

 今、貴族達が爆発したら止める理由がない。

 私の婚約の時、王になっても言いと宣言しているからだ。

 五世代に渡る王家の愚行に爆発寸前なのだ。


 「学園ではジークフリート様は王太子に一切近付きませんしね。もしお父上のアルフレッド様の様に王太子にジークフリート様が付き纏われたら、大変な事になる所でしたね。」


 「そうね、ジークフリート様は学園に入る時既に魔術師でしたから、入学して初めて殿下に会われた瞬間魔圧を叩き付けていらっしゃってたわね。あれでまだ近付けたら凄いですわ。」


 ドラクル公爵家の嫡男ジークフリート・ドラクル様は王太子殿下を魔圧で黙らせたのですね。

 十二歳で魔の森で戦って来られたジークフリート様が相手では、王城から出た事のない殿下では歯が立たなかった事でしょ。


 愛し子に最も近い人間、それがジークフリート様の二つ名だ。

 昔あった時、仲良くしたいと思った。

 お父様同士の様にお互いを助け合える様な関係になりたかった。

 すべては王家せいで、夢に消えた。


 午前の授業が終わり『私』は食堂に向かう。

 食堂と向かう途中で中庭に殿下達がいた。

 シートを敷いて地面に座っている。

 王城では決して許されない。

 将来の王が、シートを敷いたとしても地面に座るなど叱責ものだ。


 「あの子と出会ってから殿下は愚かになりすぎです。殿下はご自分の居場所の危うさを知らないのかしらね。」


 友人の一人が呟いている。

 『私』は何も言わずに食堂に向かう。

 ジークフリート様が廊下の先にいる。

 『私』はゆっくり深く頭を下げた。

 ジークフリート様とは話す事さえ許されない。

 火種になってしまうからだ。


 ジークフリートも軽く頭を下げ、歩いていった。

 食堂に着いてお昼御飯を皆で食べる。

 『私』はとてもリラックスしていた。

 私は『私』が羨ましい。

 私は王城で一人でご飯を食べる。

 誰かとご飯を食べるなんて、もう7年していない。


 『私』にとっては何でもない日常が過ぎていく。

 殿下は『私』とは王城でも一言も話さないが、例の彼女とは仲良くしていた。

 そして、卒業パーティの日になった。


 お父様とお母様、大きくなった弟、と会えて『私』も私も嬉しかった。弟とは殆ど会っていなかったけど、姉上と笑顔を見せてくれた。


 卒業パーティが始まってすぐ、殿下が声を張り上げた。

 それは、内戦の始まりを告げる鐘になった。


 「シルヴィア・ドラゴナイツ侯爵令嬢!貴様との婚約を破棄する!」


 意味がわからなった。

 婚約破棄等出来る訳がない!

 そもそも理由が無いし、理由があってもこのような場所ではなく私も住んでいる王城ですればいい。


 『第二の王家の臣下』達の子供達もこの場にはいる。

 卒業パーティには親である貴族家当主達も来ている。『私』は周りを見渡し驚愕する!

 私のお父様以外『第二の王家の臣下』達の親が誰もいないのだ!

 ドラクル公爵家すらいない!

 そもそもジークフリート様がいない!お父様が


 「嵌められたな。全員注意しろ。僕から離れるな。シルヴィア、僕は王太子と直接話せない。任せて平気か?」


 「大丈夫です、お父様。全力で挑みます!」


 『私』は胸を張って前に出る。

 凛としていて『私』も私なのに憧れた。私もこうな風になりたい。

 辛い時程凛としていたい。


 「王太子殿下、婚約破棄とはどうゆう事ですか。私には皆目理由がわかりません。」


 『私』は声を張らずともパーティ会場全体に凛とした声を響かせた。


 「理由がわからないだと!よくもそんな事が言えたな!いいだろう、教えてやる!貴様は王城に住んでいる事をいい事に我が国の機密情報を他国に流していただろう!」


 意味がわからない。

 王城に住んではいるが、王城を自由に闊歩出来る訳ではない。

 機密情報等は大臣達が管理している。

 王太子殿下の婚約者だからと言って見せて貰える訳がない。


 「それは、不可能です。機密情報の閲覧部屋には大臣が持つ鍵が最低3本必要です。それに、7歳から王城から出られない私に他国に伝手がありません。」


 「黙れ!証拠は既に揃っている!近衛兵!連れていけ!」


 殿下は有無を言わさずに『私』を捕え地下牢にいれた。

 お父様が庇おうとした時、近衛兵はお母様と弟に剣を向けた。

 お父様が「耐えろ」と口を動かすのが見えた。


 地下牢に入った『私』は落ち着こうと、呼吸を整えている。

 只々、静かに落ち着きはらう『私』は王座の隣に座る理想な王妃のようだった。

 どのような時でも、冷静に取り乱さずに対応する事、王妃教育の中でも重要な位置にある事柄だ。


 地下牢に入れられ数日がたったある日。王太子殿下が地下牢に来た。


 「いい様だなシルヴィア。」


 「婚約破棄をしたのですか、もう他人です。気安く名前を呼ばないで下さい。王太子殿下。」


 殿下の言葉に、すかさず『私』が反論する。殿下は顔を赤くして怒鳴った。


 「臣下の名前をどう呼ぼうが俺の自由だ!本当に可愛げのない女だな!」


 「自由ではありません。名前は大切な物、それを自由には出来ません。だから、名前も愛称も家族、婚約者、許可を出した友人、にしか呼ばせないのです。国によってはそれで戦争をおこした国も歴史にはあります。」


 どんな時でも、王妃たれ。

 『私』は3年で「王妃」になったんだ。

 私も「王妃」に成れるのだろうか『私』の様に。


 「ふん!そんな事はどうでもいい!今日は、お前に知らせをやろうと思って来たんだ!お前の父親、ドラゴナイツ侯爵家当主アスベル・ドラゴナイツは国家反逆罪の罪人を執拗に庇った為に処罰された!処罰内容は死罪だ!その場で処された!」


 なっ!なんで……お父様が……死んだ?

 『私』が家族を庇っただけで死罪?

 裁判もなしに死罪になんてこの国では王でも出来ない……のに……。


 「そうですか、お父様は最後まで私を庇って下さったのですね。国家反逆罪の罪に問われた娘を……こんなに幸せな事はありません。」


 『私』は涙一つ見せなかった。

 それどころか微笑んでいた。

 その微笑みは何より美しかった。


 「父親が殺されて、幸せだとぉ!それに何を……何を!笑っている!頭がおかしいのか!貴様!」


 殿下、いやこの男は『私』の事が何一つ解らないのか、震える声で喚き散らした。

 その間『私』はこの男を黙って見つめていた。

 まるで、この男の様にはならないと瞳が言っている様だった。


 「まあいい!貴様も準備が出来次第、公開処刑だ!震えてその時を待っているがいい!」


 捨て台詞の様に叫んであの男は地下牢からでて行った。

 漸く『私』は静かに涙を流した。

 決して相手に弱みを見せるな、これも王妃教育にある。

 私は『私』を尊敬する。

 私ならお父様が殺されたと聞いたら、取り乱し泣き叫ぶだろう。

 「なぜ!なぜお父様を殺したのか!」、と。


 それから数日後『私』は地下牢から出され引きずられる様に処刑台に乗せられた。

 王も、王妃も、あの男も、嗤っていた。

 私もだが『私』も国王夫婦とあの男に嫌われていた。

 優秀という理由で。

 ドラクル公爵家に近いドラゴナイツ侯爵家の娘として。


 「この女は他国に我が国の機密情報を売っていた売国奴だ。これより国家反逆罪で公開処刑にする!」


 あの男が声を張り上げる。

 普通公開処刑になれば民達は日頃の鬱憤を晴らすように、罵声を浴びせ石を投げる。

 しかし、『私』には一切そのような事がされなかった。

 民達も、『私』がそのようなは事をしないと、思ってくれているのだ。


 「最後の言葉を聞いてやろう!何か言いたい事はあるか?」


 『私』は処刑台から辺りを見渡す。

 貴族達も来ているようだが、『第二の王家の家臣』達が誰も来ていない。

 来ているのは『無能な貴族』と呼ばれている者達だけだ。

 『第二の王家の家臣』ではないが優秀な貴族は誰も来ていない。

 そのことを確認して『私』は声を出す。


 「王都に住む民達よ!親愛なる民達よ!今すぐ!王都から逃げなさい!間違いなく!戦争になります!今すぐ!ドラクル公爵家方面に!逃げなさい!これが!私から出来る最後の慈悲です!第二の王家!ドラクル公爵家に忠誠を!第二の王家!ドラクル公爵家に祝福を!!ジークフリート様!この国をお願いします!!!」


 『私』は力の限り声を上げた。

 少しでも、民達が苦しまない様に、声を張り上げた。


 「くそっ!何を言っている!もういい!殺せ!!」


 処刑人がギロチンのロープを斬る。

 じゃぁぁぁっという音と共に刃が『私』の首に落ちる。

 『私』が最後に見たのは、処刑場の後方の民達が走って逃げていく光景だった。


 飛び起きて、首を触る。

 良かったわ。首は繋がっている。

 周りを見渡すと、王城の私の部屋だった。

 鏡で自分の姿を見ると、『私』ではなく十四歳の私だった。凄く現実感のある夢だった。


 気持ちを落ち着かせて、今日もいつも通りの日常を送る。

 あの夢は何だったんだろう?

 自分のが将来死ぬ夢なんて、なぜ見たんだろう?

 夜、一人でそんな事を考えながら眠りに付いた。


 また夢を見た。

 私は、『私』になっていた。

 前の夢と同じ様に『私』は日常を送る。

 このままでは、またあの男に殺されてしまう。

 でも私は何も出来ない。


 一日、一日、卒業パーティが近付いて来る。

 卒業パーティが近付くと前回とは違い、騎士団長の息子である子爵令息が『私』をよく睨みつけてきた。

 彼とは、『私』も私もあまり交流した事が無い。


 そもそも、子爵家が騎士団長をしている事がおかしい。

 子爵家当主が国内でも有名な騎士ならまだしも、子爵はそれ程功績を立てていない。


 大会等で優勝した事がある貴族達は、王都の騎士団には入らない。

 貴族領の騎士団に入るからだ。

 王は王都の騎士団を優遇する事で騎士団を維持している。


 高位貴族の次男や三男は優秀な騎士になるが、王都の騎士団が無能な事を知っているから全力で逃げる。

 逃げられそうになかったら、危険だがドラクル公爵家の騎士団に入る。


 王都近辺は、人が多い為魔物被害が少ない。

 でも、無能の下で戦う事の危険に比べたらドラクル騎士団の方が何倍もいいと思っているからだ。


 子爵は大会でベスト8に王都騎士団で唯一入っている。

 リタが言うには


 「ベスト8には入っていますが、脳筋で力押しに魔物を討伐するので、討伐がある度かなりの怪我人がでますわ。王都騎士団ではなく、他の騎士団に所属していれば間違いなく、指揮官にはなりませんわ。」


 と、話していた。

 個人の強さも指揮官としての能力もそれ程高くないのに騎士団長になれたのは、他の候補者が逃げたからだ。

 王家を死しても守る気にはなれないと。

 王都は魔物被害が少ないから、戦争にならない限り王都の民は安全だと。


 それに、私が王太子妃になれば『第二の王家の家臣』の仲間達が自分の領の騎士団から優秀な騎士を送ってくれる事になっている。

 私が王太子妃になれば、騎士団長は変わるのだ。

 側近からも外され、私と会うことがなくなる子爵令息と交流する必要がない。


 いつもは、『私』を遠くから睨む子爵令息が『私』に近付き近くで睨みつけて来た。

 これには『私』も不審に思った。


 「流石に、殿下の側近候補とはいえ子爵令息が次期王太子妃の私に、そのように睨むのは不愉快ですわよ。」


 「ふん、待っていろ!今に後悔されてやる!」


 それだけ言うと、子爵令息は離れていった。

 『私』も仲間達も啞然とした。

 子爵令息がする態度ではない。

 私の身分は「次期王太子妃」と「侯爵令嬢」だ。

 殿下の側近候補とはいえ、子爵令息がとっていい態度ではない。


 「あれが、殿下の側近候補ですか。身分も理解していないとは、大丈夫ですか?シルヴィア様。予定を早め我が家の騎士を王都騎士団に派遣しますか?」


 私と同じ侯爵令嬢の仲間が気を使ってくれた。

 彼女はいつも私に選択肢をくれ、守ろうとしてくれる。


 「いいえ、今は卒業パーティが近いですわ。この時期に騎士を送ってもらうと、陛下に要らぬ疑いをかけられてしまうわ。出来ないわね、仲間であり友人の貴女達の家にも火の粉が飛んでしまうもの。」


 『私』は一抹の不安を押し殺し、仲間の皆を守る事にしたようだ。

 私はきっと頼ってしまうわ。

 人の上に立つ気概が『私』にはしっかりあるのね。

 見習わないと私も『私』なのだから。


 月日が経ち卒業パーティの日になった。

 卒業パーティに移動する途中、王都騎士団に囲まれた。

 『私』は首を傾げる。

 このように護衛されるとは、聞かされていない。

 そこに、子爵令息が来て


 「罪人!シルヴィア・ドラゴナイツを拘束する!罪状は王太子殿下殺人未遂!連れて行け!」


 「なにを馬鹿な「黙れ!!罪人が口をきくな!」……」


 なにがなんだかわからない。

 あの男を殺すなら他人に頼るより自分でやったほうが楽だ。

 同じ場所に住み、婚約者として会おうと思えば会えるのだ。

 人に頼む必要がない。


 当然『私』は殺人未遂等していない。

 家族の為、国の為に、なりたくないあの男の婚約者になっているのだ。

 『私』は抵抗しないで拘束されろ途中、仲間達にアイコンタクトして彼女達が頷くと歩きだした。


 『私』は前と同じだった。

 地下牢で静かに暮らしている。

 そこに、あの男ではなく子爵令息が来た。


 「ようやく、化けの皮が剥がれたな。シルヴィア・ドラゴナイツ。貴様が騎士団を乗っ取ろうとしている事はわかっている。そのような事俺がさせると思ったか!」


 「なんの事かわかりかねます。私は、そのような事は致しておりません。」


 騎士団の乗っ取り。

 確かに、私が王太子妃になったら王都騎士団に仲間達の騎士達を入れるつもりだった。

 無能な騎士達では私の護衛は心許ないと、皆の優しさだった。


 「ふん!白を切っても無駄だ。王太子殿下の護衛騎士にドラゴナイツ侯爵領出身の者を付け王太子を殺そうとしたのはわかっている。」


 「なんの事だか、わかりません。ドラゴナイツ侯爵領出身の者が王太子殿下の護衛騎士になったら、殺人未遂なのですか?理解しがたいのですが?」


 「黙れ!既に護衛騎士は殺した。貴様の父親である侯爵もだ。これで王太子殿下の安全は確保された。後は、貴様の処刑だけだ。」


 あぁ……お父様は……また殺されて……しまうの……ですね……。

 なぜこの男達は『私』とお父様を殺すのでしょうか?

 『私』とお父様が何をしたと言うのでしょうか。

 『私』は毅然とこの脳筋に話しかけます。


 「気になっていた事があるのですが、なぜ私の捕縛を貴方がしたのでしょう?」


 脳筋は『私』が冷静に話しかけた事に動揺しながら胸を張って答えた。


 「当然、俺が殿下の側近で騎士団長の息子だからだ!そんな事もわからない奴が次期王太子妃だったなんて国の恥だな!」


 「殿下の側近にそのようなの権限はありません。更に、貴方が騎士団長の息子とはいえ騎士団に所属していないのですから、騎士達に命令する権限も誰かを捕縛する権限もありません。そのような事もわからないのですか?騎士団を私物化しているのは貴方です。」


 「何を言う!王太子殿下のご命令を遂行したのだから権限はあるに決まっているだろうが!」


 顔を赤くして『私』に食って掛かる脳筋。

 それでも『私』は静かに言葉を口にする。


 「ありません。そもそも王太子殿下に貴族を捕らえる権限がありません。貴族の捕縛、罪の確定、処罰、は陛下しかできません。王太子殿下が勝手に騎士団を動かす事もしてはいけません。謀反を起こし放題になりますからね。」


 脳筋は顔を青くした後、頭を振って『私』を睨み付ける。


 「騙されないぞ!それに、陛下は王太子殿下を褒めていらした。権限がないなら叱責されているだろう!そうだ!俺達は間違っていない!あの護衛騎士を殺したのも、侯爵を殺したのも、貴様を殺すのも何一つ、間違ってはいない!」


 「ふぅ。無能の息子は無能ですか。我が国の恥ですわね。」


 『私』が思わずこぼした。

 その時、シャンっと音が聞こえ『私』のお腹に何かが貫いた。


 「黙れ!俺がしている事は国の為だ。貴様を殺し国を平和にして『彼女』と幸せになるんだ!黙れ!黙れ!黙れ!」


 脳筋は狂った様に、黙れ、と叫び『私』から剣を引き抜いた。

 血が流れていく、体が冷たくなっていく、『私』は最後に


 「ジーク……フリート……様、この国……を……お願いし……ます……!」


 そう言って最後の時を迎えた。

シルヴィアの側のゲームの視点は長くなるので分ける事にしました

☆の評価を貰えるとやる気に繋がります

もしよかったら評価して下さい

読んで下さりありがとうございます

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