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神が行う絶対婚約者になる方法

よろしくお願いします


 今日は朝から忙しい。

 使用人はあっちこっちに走り回る。

 公爵家の夫人達はお風呂に、マッサージに、ドレスの着付け、3人も夫人がいるから大変みたいだ。


 逆に、男性陣は早々に着替えてサロンで寛いでいる。

 3人の礼服は、赤を基調に黒の挿し色でかっこいい。

 ゆっくりとしながらも、パーティの段取りを確認し、パーティが終わった後盟友達になんの話をどう話して、どう理解してもらうか話し合っている。

 流石に盟友達との話し合いに俺は参加出来ないから、俺に話を振ってくる事もなく暇だな〜。


 ボーッとしていると、女性陣が入って来た。

 全員、白を基調に赤の挿し色がはいっているドレス姿だ。

 装飾品も派手過ぎず下品にならない様に、公爵家に相応しい物を付けている。


 俺の礼服は赤を基調に白の挿し色だ。

 公爵家の赤、夫人達の白でまとめられている。

 全員が揃うと、サロンが綺羅びやかになった。


 曾祖父母の髪の色は、黒と金。祖父母の髪の色は『白銀』。

 両親の髪の色は、青と赤だ。


 初代公爵の髪の色は金で、これは初代の父親である時の王と同じ色だ。

 初代の奥さんの髪の色は、黒だったらしい。


 二代目の公爵の髪の色は金だ。

 奥さんの髪の色は青。

 曾祖父様は初代の奥さんの色だ。

 父上は二代目の奥さんの色。

 普通こんなに色鮮やかにならない気がするが、世界が違えば遺伝の仕方も違うのかな?

 愛し子は無条件で『白銀』になるし『白銀』は遺伝しない。


 なのに、何故か男も女も瞳の色は、冬の空の様な薄く澄んだ青色なのだ。

 いや、男は解るよ。

 血が繋がっているんだし。

 でもなんで血が繋がってない筈のお祖母様と母上は同じ色をしてるんだ?


 後で知ったが、瞳の青色は初代国王のものらしい。

 初代国王は子だくさんで、高位貴族は大抵血が繋がっているらしい。

 隣国とも政略結婚で血が繋がっているからお祖母様の瞳が同じらしい。

 初代国王の血は濃いな!

 公爵家と結婚するには瞳の色が青く無いと出来ないと噂されているらしい。


 時間になり、公爵家のダンスホールに移動する。

 公爵家の屋敷は、他の公爵家と比べて小さい。

 それでも、ダンスホールだけはかなり広く豪華だ。

 これは、初代公爵の為に当時の盟友達が、ぜひ作らせて欲しい。

 と、金、資材、人をだし合って作ってくれた物だ。


 当時を知っている曾祖父様は、「これは、公爵家の誇りだ!」といつも言っている。


 今日の主役は俺だから、曾祖父母、祖父母は先にダンスホールに入っていった。

 皆、頑張れ、と応援してくれた。


 礼儀作法のスキルがあるとはいえ、前世では多くの人の前で注目されながら話をした事なんてない。

 流石に緊張するな。

 お披露目だから、ちょっと失敗してもいいとは言われているけど、今後の事を考えると失敗は出来ない。

 それに、あの扉の先には彼女がいる。

 怖いな、あの扉を開けるのが。


 「大丈夫だよシルバー、この中にいるのは全員君の味方だ。決して敵じゃない。だから、そんなに手を握り締めてはいけないよ。傷が出来てしまうよ。」


 「そうよ、それに私達が付いてるわ。私達が何かあっても、貴方を守るわ。私達が信用出来ないかしら?」


 両親にそっと、背中を撫でられる。

 あぁ、俺には心強い家族がいる。

 前世では手に入らなかった親からの無償の愛がある。俺は大丈夫だ。

 行ける!さぁ、彼女を救う人生の本当の始まりだ!


 扉が開いたて最初に目に飛び込んで来たのは、ひざまづいている人達だった。

 ダンスホールにいる、曾祖父母と祖父母以外全員がひざまづいていた。

 第二の王家。それは比喩ではなかったのか。

 両親に手を繋がれ、ゆっくりと曾祖父母達がいる場所まで歩く。


 彼女がいる筈なのに彼女の濃い紫色の髪が見付からない。

 多分顔を見ても解らないだろう。

 俺の知っている彼女は十五歳から十八歳の彼女だ。

 流石に5歳の彼女の顔は解らない。


 小説によくある、子供の時の悪役令嬢に転生、憑依も名前や記憶で判断している事が多い。

 顔は成長過程で以外変わるからだ。

 結局曾祖父母達の所に着くまでに彼女は見付からなった。

 仕方ない、まずは挨拶だ。


 「皆、頭を上げてくれ。この子が、我が子次期公爵家当主で愛し子のシルバーブレッドだ。よろしく頼む。」


 父上の言葉で、ひざまづいていた全員が一斉に立ち上がって俺を凝視する。

 視線には圧力がある、と聞いた事はあるが実際の多数の視線は重たい気がする。

 俺は手を握り締めるのを耐えて、礼儀作法を使いながら挨拶をする。


 「皆、ドラクル公爵家嫡男のシルバーブレッドだ。まだまだ子供で頼りないが、よろしく頼む。」


 ちょっと練習より尊大な挨拶になった。

 礼儀作法のスキルは使う人の立場により礼儀作法の方法が変わる。

 王がペコペコは出来ないし、貴族は相手の爵位によって立場が変わる、平民はあまりペコペコしていると、馬鹿にされたと感じる人もいるし、使えない奴と判断する人もいるからだ。



「「「ハハッ!我ら一同ドラクル公爵家に忠誠を。」」」


 貴族達が一糸乱れず挨拶を返す。

 いやいや、公爵家に忠誠を、とか言って大丈夫なのか?!

 謀反前夜みたいになってるけど!

 間違いなく王家に知られたら討伐隊が組まれるだろ!

 俺が表情に出さない様にアワアワしていると。


 「大丈夫じゃよ。ここには我らが公爵家の盟友しかおらぬ。それにじゃ、この挨拶は初代である曾祖父様からの伝統じゃよ。まぁ、儂も子供の時は驚いたものじゃがの。フォッフォッフォ。」


 と、お祖父様が笑う。

 周りを見ると、曾祖父様も父上も笑いながら頷いていた。

 マジか!公爵家が出来てからずっとこんな挨拶してんのか!人望なさ過ぎだろ王家ぇ!

 多分この挨拶、王家も知ってるんだろうな。

 それでもどうにも出来ない程、公爵家の人望と公爵家の盟友達が優秀で、内戦は出来ないんだろう。

 そりゃー嫌われるわな王家に。


 一人で、ウンウン頷いていたら、父上と同じ歳位の優男に見えてしっかりと鍛えているのが解るメガネをかけたイケメンが近づいて来た。


 「おぉ、アスベル!来てくれたか。5年ぶりだね。」


 「あぁ、久しぶりだなアルフレッド。僕にも女の子が産まれたのだ、王家のチョッカイが凄くて娘を守る為になかなか来れなかったのだ。」


 父上とメガネイケメンが握手をする。

 このメガネイケメン言葉遣いが少し固いと言うか荒いと言うか、それなのに一人称が僕なんだな。

 なんかアンバランスだな。

 んん?言葉遣いが荒くてメガネのイケメンってもしかして!


 「シルバー、この方がドラゴナイツ侯爵家当主のアスベル・ドラゴナイツ様ですよ。竜の道の反対側に位置し私達公爵領では手に入らない塩を安く卸してくれているの。私の実家はちょっと遠いからね。」


 やっぱりこの人が彼女の父親、ドラゴナイツ侯爵家当主!

 犯罪者にされた娘を助けようとして、犯罪者ルートではいつも王太子に斬り殺されていたあの!

 立ち絵もないし、スチルは後ろ姿しかないから顔を知らなかった。


 ヒロインが襲われるイベントで彼女が疑われて


 「その日は父の為にメガネをプレゼントしてようと思いまして、出かけていましたわ。それくらい調べれば解る事ですのに。」


 と、失笑しながら騎士団長の息子に言うシーンがあるから、メガネをかけているのは知っている。

 ちなみに、ヒロインを襲った犯人は騎士団長の息子の婚約者だ。

 それを理由に婚約破棄をしてヒロインと結婚出来るようになる。


 「初めまして、シルバーブレッドです。よろしくお願いします。」


 多くの人が挨拶に来る事が解っていた両親達から、紹介したら簡潔に挨拶をする事、と言われている。

 流石に子供の俺では体力が持たないとの事だった。


 「初めまして、シルバーブレッド様。僕がドラゴナイツ侯爵家当主のアスベルだ。よろしく頼むぞ。」

 

 先に入った曾祖父母達が説明してくれていたから、俺の言葉が少ない事をドラゴナイツ侯爵は気にしていなった。

 ふと、侯爵の斜め後ろを見ると『白銀』の長い髪が見えた。

 は?『白銀』?

 侯爵の奥さんは今は丁度彼女の弟を妊娠中の筈だ。

 5歳下に弟がいると、設定資料に書いてあった筈だ。

 魔の森が近い公爵領には、妊婦の貴族は入れない。これは曾祖父が領地替えの直後に決めた事だ。

 なら、あの『白銀』の髪は!


 「あぁ、気が付いたか?僕の娘だ。ほら、前に出て挨拶をしろ。」


 侯爵の後ろから出てきたのは、『白銀』の髪に薄く澄んだ青色の瞳の女の子だった。

 間違いない彼女だ。

 でも、なんで『白銀』の髪に青色の瞳なんだ?

 ゲームの彼女は濃い紫の髪に紅い瞳だった筈だ!

 彼女を助けようと愛し子にするのは解る。

 でも、瞳の色を変えた理由はなんだ?これが婚約者に方法なのか?


 「初めまして、ドラゴナイツ侯爵家長子シルヴィア・ドラゴナイツと申します。お逢いできて光栄です。」


 あぁ、やっぱりこの子が悪役令嬢にされた『彼女』シルヴィアなのか。

 俺と同じで明らかに子供じゃない。

 瞳にはしっかりとした知性があり、言葉も子供らしい発音が一切ない。

 俺が殺し続けたから、そして人生をやり直し続けたから、こうなってしまった。

 それでも瞳には絶望がなかった。シルヴィアは生きる事を諦めていない。


 「初めまして、シルバーブレッド・ドラクルだ。よろしく頼む。」


 緊張で声が裏返らないように、ゆっくりと答えた。

 侯爵とシルヴィアは頭を下げて離れていった。

 シルヴィアの事を考えようとする時間もなくすぐに、別の貴族が挨拶に来る。

 母上の両親であり、俺のもう一つの祖父母は船の事故がありその対応を伯父としなけばならなくなり来れなかった。


 挨拶も一段落して、家族は社交の為に散り散り散って行った。

 俺は、お腹がすいたし喉も乾いたし少し一人になってシルヴィアの事を考えたくて料理が置いてあるスペースに向かった。


 料理を食べてる人には話しかけてはいけないのがマナーだ。

 集まって来ようとする貴族も子供も俺が料理のスペースに行くのを見て止まった。

 マナーが解らない子供は俺に話し掛けて来ようとしたが、子供の両親が止めていた。


 子供も結構来ていたから、もっとうるさくなるかと思ったが結構静かだ。

 当然、人が多くいて話をしているのだからザワザワはしているけど、子供が走り回ったり、大声ではしゃいだりしていないからだろう。


 今日必ず俺とシルヴィアは婚約者になると、いや、するとユナ様は言っていたが、いつになったら婚約するんだ?

 まさか急に俺が、シルヴィアの手をとって「この子と婚約する」って叫ぶとか?

 冗談じゃない!やりたくないぞ俺は!


 シルヴィアがどこにいるか探そうとしたら斜め後ろにいた。

 隠してはいるがなんとなく俺を見ている気がする。

 もしかしてシルヴィアもユナ様に話を聞いてるのか?

 やっぱり俺が何かしたほうがいいのか?

 料理を食べながらそんな事を考えていると、タンスホールで悲鳴があがった。


 きゃあ!と聞こえた方を見ると子爵家の夫人が倒れる所だった。

 子供の誰がドレスを踏んだ為に、バランスを崩したようだった。

 それで終わりじゃなく、今度は夫人の後ろ側の方から男性の悲鳴が聞こえた。


 うぉ!冷たい!ガシャン!と連続で聞こえた。

 転んだ夫人が持っていたグラスを倒れる時に後ろに投げてしまったようだ。

 グラスが割れた事に驚いた子供達が男性の近くから逃げるように走り出した。


 子供の一人がこちらに向かって走って来た。

 シルヴィアの後ろから子供が来ていたから俺はシルヴィアの手を取って自分の方に引っ張った。

 きゃ!とシルヴィアは声をあげながら俺の方によろける。よし、これで大丈夫!


 そう思ったら、子供が急に進路を俺に変えた!

 おいおいなんでたよ!前に人がいなくなったんだから真っ直ぐ走れよ!こっち来んなあっちいけ!

 流石にシルヴィアを支えながら避けられないぞ!これはぶつかる!

 とシルヴィアを抱き締め衝撃に備えたら、誰が子供と俺達の間に割って入った。


 子供を受け止めてくれたのは、ドラゴナイツ侯爵だった。

 丁度シルヴィアを探してしたんだろう。

 良かった良かった。

 シルヴィアも無事だし、俺も無事だ。

 そっとシルヴィアを離したら彼女は2歩後ろに下がった。


 「いきなりごめんね、シルヴィア嬢。怪我とかしなかった?足を捻ったり。」


 シルヴィアは顔を少し赤くしながら、体を少し動かして確認している。

 その後ろでは恐怖でパニックなっている子供を、ドラゴナイツ侯爵があやしている。


 「シルバーブレッド様、助けて頂いてありがとうございます。どこも怪我などはしていないようです。シルバーブレッド様は大丈夫でしたか?」


 体に特に違和感がなかったのだろうシルヴィアが俺に礼を言ってくれた。


 「いや、咄嗟とはいえ急に令嬢を抱き締めたのだから、お礼を言われる事じゃないよ。俺は大丈夫だよ。シルヴィア嬢みたいに、いきなり引っ張られたりはしてないから。それにしても、びっくりしたな。」


 「はい、驚きました。あの子も急に進路変えてこちらに来ましたからね。」


 俺とシルヴィアは笑いながらお互いが無事で良かったと、喜びあった。

 周りを見ると、俺の家族も貴族達もこちらを見ていた。

 ん?そんなに見られる事はしてないぞ?なにかあるのか?


 その時、子供の泣き声が聞こえた。

 そちらを見ると、ドラゴナイツ侯爵が子供を慰めようとして失敗して大泣きさせていた。

 あぁ、侯爵を見てたのか。シルヴィアも後ろの泣き声が気になったのか振り向こうとした時に、侯爵も娘に助けて貰おうとしたのか振り返った。


 でも、侯爵とシルヴィアは背中合わせで距離も近かった為に、侯爵がシルヴィアを振り向きざまに突き飛ばしてしまった。

 突き飛ばされたシルヴィアの前には当然俺がいるわけで、避けようとすれば避けられるが、避けたらシルヴィアが怪我をしそうだから受け止めた。


 なんとか受け止めたその時、侯爵が抱いていた子供が暴れてシルヴィアの背中を蹴った。

 流石に受け止められない!

 シルヴィアが怪我をしないように抱き締めながら目をつぶって背中から地面に倒れた。


 ゴンッっといい音がした。

 背中と頭をうって痛みに耐えていると、なぜか息苦しかった。

 目を開けると、青色の瞳が目の前にあった。

 息苦しい理由は俺の口を彼女の口が抑えていたからだった。

 えっ!俺、シルヴィアとキスしてない?!


 きゃぁ〜〜〜!!っと夫人達が黄色い声をあげている。侯爵は、はっ!として子供を下ろしてシルヴィアを抱き起こした。

 俺は走って来た両親し起こしてもらった。


 「シルバー、大丈夫か?!凄い音がしたよ!怪我はないかい?!」


 俺は大丈夫と頷いた。

 母上は俺の後頭部を触って心配そうに確認している。

 血も出てないし、ちょっとたん瘤が出来た程度だと思うけどな。


 「アスベル、シルヴィア嬢も大丈夫か?」


 「ああ、顔は赤いが大丈夫だ。それよりこうなってしまっては解ってるな?アルフレッド。」


 「うん、解ってるよアスベル。それに悪い話じゃお互いないだろう?」


 「まぁ、そうだな。王家よりは百倍いい話だ!」


 父上と侯爵が何か話しているけど、俺はシルヴィアが気になった。

 俺は前世ではそれなりに恋愛もしていたし、キスの先だって経験があるから、キス程度じゃ顔を赤くはしない。

 シルヴィアだって、人生を何度もやり直してるのになぜ事故のキス程度で顔を真っ赤にしてるんだ?


 ああ、そうか!シルヴィアはずっと王太子の婚約者だったんだ。

 結婚するまでそうゆう事はしないか。

 恋愛方面ではシルヴィアは初心なのか。

 だから顔を真っ赤にしてるのか。


 父上達の話し合いが終わり、手を叩いて皆の注目を集める。


 「ふぅ〜。皆も見た通りだ。そこで、公爵家と侯爵家より発表がある。」


 貴族達がハッとしている。うん?発表がある?なんの発表だ?


 「公爵家当主として/侯爵家当主として」


 

 「我が子、シルバーブレッドと/我が子、シルヴィアの」


 「「婚約を発表する。」」


 はぁ〜〜?いきなりなんで、俺とシルヴィアの婚約が決まるんだ?おかしいだろ?

 婚約って両家話し合って、顔合わせをしてするものだろ?

 ドラクル公爵家とドラゴナイツ侯爵家は仲もいいし、今更、政略結婚をしたくても問題ないだろ?


 「シルバー、子供とはいえ事故とはいえ、大勢の貴族達の前で令息と令嬢がキスをしたのよ?お互いに婚約する時の傷になるのよ。だから、婚約者がいない者同士だし家同士も仲のいいのだから婚約しましょう?って事なのよ。」


 これか!これが、ユナ様が言ってた絶対婚約者になる方法か!

 ギャルゲーじゃないか!いや、乙女ゲームだけど!ギャルゲーじゃないか!いいのか?!

 こんな婚約者になる方法で!!大丈夫か!?王家の横槍に耐えられるのか?!

 ウッソだろぉ〜〜〜!!


 落ち着け俺!ていうか、シルヴィアはいいのかこんな婚約で!シルヴィアの方を見ると目を丸くしていた。

 どこか現実じゃないみたいな顔をしてる。


 そうか。彼女はずっと王太子の婚約者で、彼女なりに婚約者から外れようと、婚約をしないように色々してきたはずなのに、出来なかった。

 それなのに、今回は婚約者が王太子以外の俺にすぐ決まった。

 それが信じられないのか。


 シルヴィアにとって、俺である必要はないけど王太子の婚約者から外れる事は自分の死から遠ざかる唯一の方法だ。

 それが、生まれ変わってたった5年で出来た事は奇跡なのか。


 貴族達が、口々に祝福の言葉をくれる。

 俺は腹を決めて、シルヴィアの手を取って祝福を受ける。シルヴィアは戸惑っていたけど、手を離すことはなかった。

読んで下さりありがとうございます

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