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誕生日パーティの準備と第二の潰しアイディア

よろしくお願いします


 冒険者ギルド潰しの為に家族が忙しく働く中、俺は母上に部屋に呼ばれた。


 「シルバー、貴方の5歳の誕生日パーティをするわよ。」


 「誕生日パーティ?誕生日はもう過ぎてますよ?そういえば、毎年してた誕生日パーティが無かったですね?まぁ、それどころじゃなかったですが。」


 この世界は暦が前の世界と同じだ。

 俺の誕生日は4月2日だ、今は十四日だ。

 十二日過ぎている。

 あぁ、これがユナ様が言っていたやつか。


 「貴族は、5歳の誕生日は当日には、しないのよ。神殿に行った日から約半年後に、誕生日パーティをすると決まっているの。これはこの国の初代国王が決めた事なのよ。理由は初代国王の妹が5歳の誕生日の半年後に亡くなったからよ。慰める為と言われているわ。」


 そんな事ゲームには出てこなかったぞ。

 結構大事な事の気がするがなぜだ?

 ヒロインも攻略対象も子供の時の話がないからか?


 「誕生日パーティは、シルバーのお披露目も兼ねているの。本当はシルバーが産まれたらすぐにお披露目をするのだけど、貴方は愛し子だから5歳になるまで王家から隠す事にしたのよ。」


 なるほど、王家絡みか。

 いい加減王家絡みの事が多すぎてうざったいな。


 「私達は公爵家なのに、社交界に出ないのは王家のせいよ。王の誕生日も王妃の誕生日も建国祭も出ないの。だから、5年間貴方が愛し子である事を王家から隠せたわ。」


 そういえば、俺が産まれてから一度も家族全員王都には行ってないな。

 普通は社交シーズンになれば王都の屋敷に行って社交界に出るんだよな?


 「誕生日パーティをして、公爵家の盟友を集めて色々な話もしなきゃいけないしね。冒険者潰しの事は話しておかないと、急に戦力を増やして謀反をしようとしているって、勘違いされてしまうでしょう?」


 謀反?!ヤバイ!そうゆう事も、あるのか。

 冒険者潰しにばかり気がいっていた。

 やっぱり大人達には敵わないな。

 目先ばかり見ていたら失敗して彼女を殺してしまう。

 気を付けよう。


 「準備とは何をするのですか?」


 「まずは、服を作るわ。ちゃんとしたお披露目なのだからいつもの服じゃなくて礼服を着るのよ。他は、挨拶の練習もしなくちゃね?それに、公爵家の盟友の家の名前を覚えなくっちゃね?パーティじたいは、公爵夫人の私が全部取り仕切るから大丈夫よ。」


 なるほど、家の中の事は女主人の役割だから俺には関係ないのか。

 俺が女の子なら母上に習ったのかな?


 「洋服はこれから採寸すれば、十分間に合うから挨拶の練習と公爵家の盟友の家の名前を、しっかりと覚えてね?」


 「名前だけでいいのですか?領地の場所や特産などはいいのですか?」


 年記を作った時に、ゲームで解る範囲の貴族の名前と領地の場所と特産は覚えた。

 まぁ、公爵家が登場しないから覚えた貴族とかは、全員無能で公爵家の盟友じゃないかも知れないが。


 「領地や特産は全員覚える必要はまだないのよ。覚えるべき貴族は、私の実家とお祖母様の実家と竜の道の反対側の侯爵家位ね。」


 それならもう覚えている。

 母上の実家は、ポセドン伯爵家。

 曾祖母様の実家は、ディグル侯爵家。

 竜の道の反対側の貴族はドラゴナイツ侯爵家、彼女の実家だ。


 ポセドン伯爵家は、港があり海産物と貿易と塩作りで有名だ。

 ディグル侯爵家は穀倉地帯で国の飢饉対策で、多くの種類の小麦を育てている。

 小麦の病気対策だ。

 ドラゴナイツ侯爵家は元辺境伯の影響か馬を育てている。

 軍馬、伝令の為の速い馬、荷馬車用の力が強い馬、どれも国での評価が高い。


 「お披露目だから、シルバーの歳と殆ど同じ歳の子供達もくるわ。上は3歳、下は一歳違いの子供達よ。それ以上だと多くなって公爵領に来るのが大変になるから。シルバーの婚約者候補、側近候補になるからいい子がいるといいわね?」


 公爵領は辺境だからな、人が増えたら大変だろう。

 婚約者は彼女がなる筈だから、側近候補は慎重に選ばないとな。

 父上の側近達は役場に詰めていて殆ど屋敷に来ることはないけど、優秀らしい。


 俺の側近は曾祖父様の様に魔の森の近くに住んで騎士団を纏めてもらう者とお祖父様の様に影を統括してもらう者と役場に詰めてもらう者が必要だろう。

 なかなか大変だな。


 「奥様、マダムが到着しました。応接室にお通しました。」


 リリーが洋服を作る商会の到着を報せに来た。

 母上は頷きながら立ち上がる。

 俺もそれに続いて立ち上がった。


 「マダムはお義母様のドレスを作っていた元王宮針師よ。任せておいて大丈夫よ。」


 応接室に行くと、女性が3人いた。

 一人は本を、一人は生地を、一人は裁縫箱を持っていた。

 裁縫箱を置いた女性がゆっくりと美しいカーテシーをした。この人がマダムかな?


 「お久しぶりです若奥様。この度はお声掛け頂きありがとうございます。そちらの若様がシルバーブレッド様ですね?ワタクシはマダムと申します。以後お見知りおきを。」


 マダムって通称じゃなくて本当の名前なのか!

 よく小説とかに出てくる通称マダムだと思ってたよ。

 マダム・なんちゃらみたいな。

 後の二人は名乗らないから助手なんだろう。

 マダムより若いから弟子かな?


 「ええ、久しぶりねマダム。マダムにはパーティ用のドレスしか作って貰ってないからあまり会えないくてごめんなさいね?他の二人も元気そうで良かったわ。」


 「とんでもございません。奥様、大奥様、若奥様、それにお三方の旦那様方のドレス、礼服はワタクシにしかお声が掛かりません。こんなにも光栄な事は御座いません。」


 恐縮して頭を下げるマダムに続いて他の二人もも頭を下げる。

 というか凄いなマダム!

 六着も一人で作ってるのか!

 俺のは小さいけど七着目だぞ!

 電動ミシンや足踏みミシンがないのに手縫いで七着を半年で縫うのか?!


 商会の息子ルートでは、ヒロインが様々な魔道具を作り出して平民でも使える様に安く売って利益と名声を得て国内最大の商会になるエンドだ。


 魔道具は今もあるにはあるが、魔物が多く存在するこの世界では攻撃や防御の魔道具が一般的で日常生活を豊かにする魔道具はまだない。


 それなのに、七着を半年で縫うってマジか!

 服を作るにはデザインを決めて、生地を決めて、型を作り、型の通りに歪ませずに切り、生地を傷付けずに解けない様に歪まない様にしっかりと縫い合わせる。


 しかも、女性のシンプルなドレスでも生地の長さは1メートル30センチを超える。身長によってはもっとだ。

 肩から足首まで一枚の生地で作る為だ。男性の礼服は厚手で固い生地だ。

 胸や肩に重い勲章や階級証を付ける為だ。一針、一針にかなりの力が必要だろう。

 王宮針師ってそんなに凄いのか!


 「では、若様はこちらに。若奥様はあちらにお願いします。」


 俺は服を脱いで採寸されている間に、マダムを褒め称えた。


 「マダムは凄いな。七着を半年で一人で縫うのか。」


 「いいえ若様。全部一人で縫うわけではありません。デザインと型作りは若奥様を採寸している彼女が、生地のカットと仮縫いは待機している彼女が行います。」


 「それでも、本縫いはマダムが一人でするのだろう?充分凄いと思うがな?ふむ、いずれマダムが泣いて喜ぶ物をプレゼントしよう。」


 俺の言葉にマダムは恐縮していたが、俺はマダムにいずれ魔道ミシンを作って送ろうと決めた。

 彼女は何度も人生を繰り返しているから、ヒロインが作る魔道具も詳しいだろうから、これで商会の息子ルートを潰そう。


 俺も嬉しい、彼女も嬉しい、マダムも嬉しい、領民も嬉しい、公爵家も利益でウハウハ、商会の息子の将来以外、皆ハッピーだ。

 こんな所で商会の息子潰しを思い付くなんてラッキーだな。


 採寸も終わり、母上とマダムがドレスについて話している。

 俺は礼服だから色を決めるだけだからすぐに終わった。

 礼服の色は公爵家の色である赤だ。

 初代公爵が倒したドラゴンが赤かったから、公爵家と言えば赤となった。

 公爵家の代々の夫人もドレスには必ず赤が入っているらしい。


 公爵家の屋敷の門と玄関の扉が赤いのは、そうゆう理由だったのか。

 初めて知ったよ。

 ごめんなさい初代様、ただの派手好きだと思ってたよ。

 玄関の壁が真っ白で、真っ赤の扉は兎に角目立つんだもん。


 マダムも帰り、母上もパーティの準備で忙しくなった。

 俺は図書館にいるお祖父様に習って挨拶の練習と、盟友の貴族達の名前を覚えた。


 盟友の貴族達の名前を記憶していたら『記憶』のスキルを手に入れた。

 ゲームでは、やたらと長い意味をなさない文字の羅列を覚えて答える、という面倒くさいクエストをクリアしないと手に入らない。

 しかも、手に入れても使う箇所が一回しかないクソスキルだ


 ゲームでは、クソスキルだったが現実では超優秀なスキルだった。

 思い出そうとしたらすぐに思い出せるのだ。テストとか楽勝過ぎる。


 更に、挨拶の練習でも『礼儀作法』のスキルを手に入れた。

 このスキルは知っている礼儀作法なら完璧に体が動く、という物だ。

 他国の人間に会う時に重宝しそうだ。

 礼儀作法を間違えると戦争になる様な国も、前の世界の歴史にはあった。


 スキルを手に入れた事をお祖父様に伝えると、「愛し子にしても規格外じゃな!」と頭を撫でて褒めてくれた。


 3ヶ月たったある日、曾祖父様とお祖母様が王都領地経営が上手くいってない領地から帰って来た。

 俺は二百人位だと思っていたが、連れて帰って来た人の数は六百人を超えていた!


 流石に全員暮らすのは無理だろ!

 と思ったが領都にはワザと開けてある孤児院が結構あるらしい。

 様々な理由で暮らしていた場所を追われた難民が来ても受け入れられる様にしておけ!

 と、二代目が曾祖父に常々言っていたらしい。

 曾祖父はその言葉を守っていたみたいだ。


 魔法使い達は曾祖母が魔の森の近くにある街に連れていった。

 活性化の時に騎士団や冒険者を泊める施設を使うそうだ。

 曾祖父母は人で埋まったなら、また新しく作ればいい!と笑っていた。


 魔の森の魔物のお蔭で公爵家は金持ちだ。

 これで冒険者がいなくなれば、更に金が増える。

 魔道具も作ればもっと増える。

 人も、金も、地位も、騎士団の強さも、力だ!

 権力を殴れるのはこれだけなのだから!

 いずれ彼女を守る為に絶対に必要になるだろう力を溜める。

 最後の相手は王家なのだから。


 礼服も出来上がり、母上のパーティの準備も無事に終わり、パーティの出席者も滞りなく集まり明日が運命のパーティの日だ。

今回は繋なので少し短いです

読んで下さりありがとうございます

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