冒険者潰しと我が子の成長
よろしくお願いします
ドラクル公爵家は本当にいい家族だ。
5歳の俺の言葉を真剣に考えてくれている。今までの常識を否定されたら、普通は笑い飛ばすか、激怒するか、失笑する。
でも俺の家族は俺の言葉を噛み砕き、考え、飲み込んでくれる。
多分、冒険者に全員友人がいる。
俺なら魔の森が近く危険な土地で共に戦って来たであろう戦友の冒険者を「邪魔で恥」と言い切られたら普通にキレる。
でも、全員が手を握り絞めてキレるの耐えてくれている。
仕事柄一番冷静な祖父が様々な感情を吐き出すように長い、長い、ため息を付いてから
「ふぅぅぅ〜〜〜〜。確かに、シルバーの言う通りじゃな。冒険者は領地経営の邪魔でしかないわい。それに、シルバーはまだ冒険者を嫌う理由がありそうじゃな。」
祖父の話を聞いて家族全員が俺を見る。
そう、俺が冒険者を嫌う理由はまだある。
でも、それはゲームの知識だ。それを話さないで冒険者を嫌う理由を話すのは難しいな。
ゲームのクエストに冒険者無差別連続殺人事件がある。
ヒロイン、騎士団長の息子、冒険者のホープ、商会の息子で事件を追い犯人を見つけた倒す。
というクエストだ。
犯人の動機は雇った冒険者が魔物に襲われている最中に逃げる、というものだ。
家族を魔物に喰われた彼は、冒険者達に復讐した。
冒険者達が逃げた理由が、彼の家族が邪魔な相手に、彼の家族が出した依頼料より多額の依頼料を払われた為だった。
復讐を終えた彼は殺した冒険者達の様に依頼料によって間接的に人殺しをしている冒険者達を殺していた。
その数、百を超える。
つまり、冒険者は金によって敵にも味方にもなる信用と信頼が皆無の者達だ。
この事件が起きても冒険者ギルドは騎士団長の息子に、「なら、国から出て行ってもいいですよ!」と言っていた。
冒険者のホープエンドはヒロインと一緒に、冒険者ギルドを変えて行こう!エンドだ。
十八歳の小僧が総ての国、都市、街、村に支部がある冒険者ギルドを変えるのは不可能だ。
成功したとしても最低でも、三世代は必要だ。一人五十年でも百五十年かかる。
アホか!その間に何人死ぬ、いや、殺されると思ってる!
我らが公爵領でも同じ事が、起こっているに違いない。
それを、我らなら迅速に公爵領内だけでも止められる。
なら、やるしかないだろ!
それに、冒険者のホープも同じ事をして彼女を殺す。
ゲームをやっている時に年記を作りながら、フザケンナ!と激怒したのは忘れていない。
一番嫌いな偽善者の皮を被ったクズ冒険者だ。
絶対に冒険者ギルドは潰す!出来れば公爵家の盟友達の領地からも!
「冒険者達は確かに、故郷を守ろうとするでしょう。でも、歴史を調べると、故郷の国より相手の国の方が金払いがいいから相手側に付く冒険者も少なくないですし、騎士団と違いこちらの指示に従わないで負ける事も、犠牲が増える事も数多くあった筈です。その賠償に冒険者ギルドは応じない。そうでしょう?父上達の方が詳しい筈です。」
「その通りだな。俺の時代はかなりの数あった。怒りもしたが、しかないと、諦めて付き合い方を学んだ。なぜ俺は諦めたんだ?聞けば聞くほど冒険者ギルドは邪魔だ!邪魔なのになぜ?魔の森がすぐそこにあるのになぜ俺は魔物討伐専門の騎士団を作らなかった?なぜだ?」
曾祖父が頭を抱えて悩んでいる。
傍から見て何かが変だ。
代々の公爵家の当主は優秀だ。
それに、祖父母は愛し子だ。
産まれながらの天才。
なのになぜ、誰も冒険者ギルドを不審に思わない?
そうか!影響力だ!
冒険者のホープが攻略対象にいるせいで、今だけじゃ無く過去にも影響力が働いている!
厄介何てものじゃない!
どれ程の範囲に影響力が働いている?!
幸い俺が冒険者ギルドの話をしたから、俺の持つ影響力で打ち消せたみたいだ。
なら、畳み掛けるしかない。
ここで冒険者ギルド潰しの十年計画を話さないと!
「曾祖父さま、お祖父様、父上、冒険者ギルドを公爵領だけでも潰す、十年計画があります。聞いて下さいますか?」
よく小説では、「冒険者ギルドを潰そう。よし潰した!」みたいな事があるが、現実では無理だ。
潰した後、守られていた人は守られなくなり殆ど死ぬだろうし、人を育てるのに一年、二年じゃ無理だ。
出来なくはないが百人中生き残るのは十数人だろう。
とても魔の森を有する公爵領では出来ない。十年でも心許ない。
「シルバー、お父様は十年じゃ心許ないと思うよ。それに冒険者ギルドは貧民の受け皿だ。弱体化は難しいと思うよ。」
父上が諭す様に俺に話しかけてきた。
そう、貧民の受け皿。
これは、冒険者ギルドの最大の利点、何もしなくても人が集まる。
でも、同時に弱点でもある。
何もしていないからこそ潰す事が出来る!
「父上逆です。冒険者ギルドは何もしないでも人が集まるから、何もしていない。なら、貧民をなくせばいい。孤児院の子供達に学校の様に教育を施せばいいのです。騎士としての作法、戦い方、魔術の使い方、故郷への愛、それらを教え、公爵家で新しく作る『殲魔騎士団』に入れれば貧民がいなくなり、冒険者ギルドは新人が入って来ません。新人が十年も入って来なければ弱体化します。殱魔騎士団が整えば冒険者ギルドは必要ありません。更に、冒険者は雑用依頼もあります。その、雑用依頼は新しく作る役所の『何でもする遣る課』に無料で依頼して貰います。孤児院の子供達も皆が皆、戦えません。戦えない子供達にはこちらに行って貰います。どちらも公爵家の公務員です。子供達も自己責任の冒険者よりこちらを選ぶ筈です。」
全員がポカンといている。
それはそうだろう。
5歳の子供が考える事じゃない。
俺が親で、こんな子供が自分の子供なら愛せる自信があまりない。
それを笑い飛ばしたのは、俺と同じ愛し子の祖母だった。
「アハハハハハ!私の親である国王陛下もこんな気持ちだったのかしらね!それは国王に徹して話すわね!有能で優秀で自分じゃ絶対に勝てないのだから!」
「フォッフォッフォ!どうなのです父上?儂はここまで優秀じゃなかったが、優秀は優秀じゃった筈じゃ!どうなのです!」
「ハッハッハ!お前も似たような事をしておったわ!いつも何を仕出かすかハラハラしてたわ!」
「うふふ!そうね、貴方は少し教えたら応用までして、それを悪戯に利用するから大変だったわよ!」
「ハハハ!私達の宝物は父上達に負けてないみたいだよエリー!」
「ええ!そうね!尊敬している、お義母様達に負けてないのは凄く嬉しいわ!フフフ!」
今度は俺がポカンとした。
家族全員が笑いながら俺を褒めてくれる。
後ろでシールも手を叩いて称賛してくれる。
俺は、本当にいい家族に恵まれた。
俺の様なズルではなく俺の様な子供が出来ても全力で愛せる気がした。
「ゴホン!だがシルバー、それでもまだ足りないぞ!俺の時代程ではないが魔の森は未だに強敵だ。どうする?まだ策はあるか?」
曾祖父は俺を試す様に策はあるかと聞いてくる。
当然ある足りないのは解っていた。
さて、最後の提案をするか!
これで駄目ならプレゼンは失敗だな!
よし!いくぞ!
「策は後二つあります。領地経営が上手くいってない領地の孤児院の子供達、王都の孤児院の子供達を公爵領に連れてきます。名目は魔の森の開拓が進んだ為に人を増やすけれど、慈善事業の一環で孤児院の子供達を受け入れるというのが一つ目。二つ目は落ちこぼれを拾う、というものです。落ちこぼれとは、魔法属性が少ない人達です。国の風潮で魔法属性が少ない人は、落ちこぼれと今はされていますが、魔術師の頂点である曾祖母様は考えが違います。隣国は魔法大国と言われてますが、世界一の魔術師は曾祖母様です。他の領地と取り合いにならない人達がいるのです。大々的に魔法属性の少ない人募集と、公爵家の名前と曾祖母様の名前で出せば落ちこぼれが大量に来ますよ。」
俺が言い終わると、家族は拍手をしてくれた。
一番喜んだのは曾祖母だった。
「私も孤児院の子供達を引き取るのは考えたわ。実際、アルフレッドとアナスタシアの婚約の時に王都の孤児院の子供達を公爵領に引き取った事があるもの。でも、落ちこぼれを拾うのは思い付かなかったわ。魔法属性が少なくても私は気にしないし、私が教えた子達が優秀だとなれば、魔法属性が多い方が魔術師に相応しいなんて馬鹿げた事も無くせるわ!流石ねシルバー!」
「ふむ、確かに学園を卒業した魔法属性が少ない者が仕事に付けずに、冒険者や犯罪ギルド、盗賊や海賊、魔法に関係ない商会の下働きや王都のスラムに流れておると、影達からの報告にあった筈じゃ。商会の下働きはまだしも、犯罪ギルド、盗賊、海賊、スラムは問題だと思っておった。シルバーの話で、冒険者はまだいいと思っておったが、それもよろしくない。」
「そうですね。冒険者ギルドを弱体化させたいのに、学園を卒業したしっかりと魔法の基礎を学んだ者が冒険者になるのは困りますね。王都の方は私とエドでは、目立ち過ぎますから、あまり落ちこぼれと呼ばれる方に手を差し伸べられないので、その後を把握していませんでした。」
「私達が王都に近づけないのは、王家のせいだから仕方ないよ。前の王太子はクズだったし、今の王太子も私達公爵家との溝を無くしたいと言うわりに、今までの謝罪もないし公爵領に公務の視察も来ない。私達夫婦が、王家を許さないと王都の事に手は出しづらい。」
「それに、今の王は私という婚約者が居たのに浮気をしたくせに、私が美しい愛し子だと解ると狂った様に結婚式で口説いてきて、私が応じないと旦那様を憎悪したのよ。あの王が王であるうちは絶対溝など無くせる筈もないわ。その事が解らないなら今の王太子も他の者達は大差ないわよ。」
「なら、俺が王都に行こう。これでも『英雄公爵』と呼ばれている俺だ。妻の名声もある。俺が直接行って募集をかければすぐ集まるだろう。丁度、魔の森の活性化の後だ。魔の森の心配はいらない。」
「なら、王都の孤児院の子供達の事もお願いします曾祖父様。領地経営が上手くいってない領地の孤児院は、お祖母様にお願いします。お祖母様は元王女で信用がありますし、慈善事業はお得意でしょう?」
曾祖父様とお祖母様は頷き、出発の為の準備をする為に図書館を出て行った。
出て行く時、魔圧ではなく覇気を纏って出て行った。子供達と魔法使いは耐えられるか?
大丈夫だよな?
「私は、魔法使い達が来た後の訓練内容を考えるわ。これから後に続く子供達の手本になってもらわないといけないし、王都の学園は少し微温いのよ。たとえ王都の学園で首席で卒業しても公爵領では下の方の実力しかないのね。困っちゃうわ。」
曾祖母様は目をギラギラさせて出て行く。
ヤバくないか?止めるか?
いや、あの目は止められないな。
頑張れ!魔法使い!
耐えれば魔術師になれるかも知れない!
「孤児院の子供達には誰が教えるかの?騎士団の中からベテランを出すか?かなりの数を教える事になる筈じゃ。教師もそれなりの数、集める必要がじゃ。」
「お祖父様、教師には冒険者と影を使うつもりです。」
「シルバー、冒険者を使うのかい!?本末転倒じゃないかい?子供達に冒険者の心得等教えられたら内部から殱魔騎士団は崩壊するよ!」
「冒険者は冒険者でも、引退した故郷を思う冒険者にします。足が無くても魔法は教えられます。片腕が無くても剣や体捌きは教えられます。足や腕が無くても文字の書き方、読み方、計算は教えられます。心得と礼儀作法は騎士団のベテラン騎士に教えて貰い、影には斥候の技術や考え方を教えて貰います。」
「なるほど、魔物との戦い方は冒険者の方が数を熟しているからか。技術だけを教えて貰い、心得や礼儀作法は騎士団が教え、冒険者ギルドの考え方を排除する訳か。でも、受けてくれる引退した冒険者がいるかな?」
「このまま何もせずボーッと生きるか?それとも故郷の為に生きてみるか?と、生き甲斐を与えれば受けてくれる者もいるでしょう。金で動く者は駄目です。冒険者ギルドが我々のしてる事に気が付き、横槍をいれられた時金で冒険者ギルドに靡かれたら困りますから。」
「なるほどのぅ。使命感を持った冒険者はこの領には多くいる。魔の森があるからの。金だけしか考えない者はすぐに死んで淘汰される。上手くいくかもの。」
「それに、殱魔騎士団の班割は冒険者に習おうと思います。斥候が二人、剣が二人、槍や大剣の重戦士が二人、魔法使いが二人、弓兵が二人、この十人で一つの班にします。冒険者は大体この半数でパーティを組むのが理想だと言われているとか。数を増やさないのは、分前が減るからです。でも、殱魔騎士団は給金が公爵家から出ます。そこまで金、金、言わなくても生活出来ますし、討伐した魔物の半分は班に特別給金として出します。何処の騎士団より金持ちになれますよ。」
お祖父様と父上は何度かうん、うん、言ったあと笑顔で頷いた。
「シルバー、後は私達の仕事だ。任せて置きなさい。今日は良く頑張ったな。偉いぞ。」
お祖父様も両親も頭を撫でて褒めてくれた。
流石に疲れた。部屋に帰ってゆっくりしよう。
図書館を出ようとした時に一つの本が目に止まった。
なんとなくその本を持って帰った。
お祖父様がジジ臭い喋り方をしている理由が本を読んで解った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私達の大切な宝物が、目に付いた一冊の本を持って図書館を出て行く。
シルバーは、一歳になって言葉を少し話せる様になると、私の執務室で領地経営の書類を私の膝の上で魔力操作をしながらよく見ていた。
気付いたらシルバーは、文字が読める様になっていた。
シルバーの部屋には、将来勉強に必要になるだろうと思う本を用意してあった。
ある日、執務室に来ない日が続いたから部屋に様子を見に行ったら、部屋に置いてあった本を凄まじい速度で読んでいた。
後でシールに確認したら、ほぼ全て読み終えていると言う驚愕の事実を告げられた。
私は、シルバーの成長速度を考えてお祖母様にかなりの無理を言って本邸に来て頂いた。
前の魔の森の活性化から時間がたっていたから、そろそろ活性化の周期にも関わらずお祖母様は来てくれた。
「愛し子とはそうゆうものよ。私も、エリゴール時に苦労したわ。大丈夫、任せなさい。少し無理をするかも知れないけど、その無理もシルバーの為よ。」
お祖母様は、シルバーを見るなり魔力操作について語り始めた。
シルバーは目をキラキラさせなが言われた事をすぐに出来る様になっていた。
更に、魔術師になる為の最初の試練である魔圧まで放っていた。
「これで、暫くは魔力操作に掛かり切りになるわ。それにしても、私の魔圧が突破されたのは何時ぶりかしら?私も老いたのか、鈍ったのか、そろそろ活性化の時期なのに、帰って鍛え直すわ。じゃあまたねアルフレッド、アナスタシア。」
お祖母様は颯爽と帰って行った。
3歳になるまでシルバーは魔力操作と魔圧の工夫に夢中になった。
でも3歳になってからは、父上のいる図書館に入り浸る様になった。
父上は影の統括をしているから、図書館に影が出入りしている。たまに、図書館から魔圧が飛んでくる。
その魔圧の度合いで、シルバーの成長を感じられて嬉しくなる。
仕事にも気合いが入る。
気合いを入れて仕事をしていると、別邸から早馬が来た。
魔の森の活性化だ。
放って置くとスタンビートになる。
突発的のスタンビートは危険だが、スタンビートの原因を取り除けばすぐ終わる。
たが、活性化のスタンビートは活性化が収まるまで続く。
だから活性化したら、スタンビートが起る前にこちらから魔の森に攻め入り森ごと吹っ飛ばして活性化を止める。
シルバーを屋敷に置いて公爵領のほぼ全戦力を投入して、活性化を止める。
活性化が終わり領地が広がった。
吹っ飛ばした森の跡地に薬草の種をばら撒く。
こうする事で魔の森の濃い魔力が失われ魔の森を切り取れる。
最初にあった村が魔の森に呑まれなった理由だ。
お祖父様の代からこうやって公爵領を広げて来た。
よし、帰ってシルバーに土産話をしてやるぞ。
5歳になったシルバーを、神殿に連れて行く。
神殿には心底行きたくないが、シルバーの為だ。豚大司祭にも耐えてみせる。
豚が金、金とブヒブヒ言っているが耐える。
耐えるんだ。
この豚を殺したら流石に王家に公爵家を潰される。
お祈りも終わり、シルバーがステータスを見れる様になったのを確認して神殿を出る。
神殿を出た瞬間、シルバーが魔力弾を冒険者に撃ちまくった。
5年前の事を思い出して思わず内間になった。
股間に5発もの魔力弾を受けた冒険者は、もう子供が作れないだろう哀れな。
冒険者を恐喝の罪で牢にいれる。
騎士に命じて馬車に戻ると、シルバーがエリーに口答えをしていた。
吃驚した、シルバーは滅多に口答えしない。知識があり、知恵があり、武力がある、シルバーはなぜ駄目なのか言えば理解してくれるのだ。
そのシルバーが激怒して口答えまでしている。
冒険者に賠償請求など出来ない。
しかし、シルバーは納得してくれない。私には、冒険者の親友がいる。
彼がまだ駆け出しで私も子供だった頃からの付合いだ。
何度も魔の森で共に戦い、お互いの命を助け合った仲だ。
シルバーに、冒険者は恥だと言われて思わず手が出そうになった。
母上達がいてくれてよかった。
その日の夜父上が酒瓶を持って部屋に来た。
「今日の出来事は聞いたのじゃ。儂も親友が冒険者ギルドのギルド長をしておる。父上も冒険者に知り合いが多くいる。じゃが、シルバーは其事に気付いていながら儂等を納得させるから、影を貸して欲しいと言ってきたのじゃ。儂は影を貸した。調べ物は十日後には解るじゃろう。父上と母上も呼ぶ事にした。シルバーのすることじゃ、覚悟は決めて置きなさい。」
父上に忠告をされて、覚悟を決めた。
その覚悟が余りに甘かった事が今日解った。
私は余りに馬鹿だったのだな。
冒険者ギルドは国の恥か。
親友の彼は今や高位冒険者の一人だ。
冒険者の裏の顔も知っているだろう。
それを親友で公爵の私に黙っていた。それだけで立派な裏切りだろう。
彼が罪を犯していたら私が断罪しなければならない。
私はドラクル公爵家当主アルフレッド・ドラクル公爵なのだから!
殱魔騎士団を作る。
言葉にするのは簡単だが、これから仕事が山の様になるだろう。
だが、公爵家として冒険者ギルドを放っては置けない。
5歳のシルバーが必死に考え私達を説得したのだ。
父親としてかっこ悪い所は見せられない。
さぁ!冒険者ギルド潰しの十年計画の始まりだ!
読んで下さりありがとうございます