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切り札は最初から……。

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 ありがとうございます。


 よろしくお願いします



 クラインの判断は、あながち間違っていない。

 だが、ここは普通の領地ではないドラクル公爵領なんだよ。

 普通の領地ではやる気の無い奴を後方に下げるのは、あっているがドラクル公爵領では後方に下げても魔物の強さや狡猾さによっては、後方の方が危ない。

 だから、やる気の無い奴を後方に下げるならやる気のある者や小心者で周りを警戒してくれる者を一緒に配属しないと逆に被害が増えてしまうだよ。


 騎士団長のロールも、その辺り事をクラインにはしつこく教えていたがやっぱりクラインも慣れで少し緩んで来ているな?

 副団長として騎士団長のロールがいない任務もそこそこ熟して来ている自信が、慎重なクラインをも緩ますか。


 本当は、今はまだ緩んでいてもいいのかもしれないがそろそろ魔の森の活性化が起こる年になる。

 影響力が近頃は起きていないから、なんらかの影響を起こして来るかもしれない。

 影響力だけは、どれだけ備えても万全と言う事は言えないからな〜。

 悪い事で俺達を止めてくる。

 または、いい事でも俺達を止めてくる。

 いい事の止め方も、多大な金や時間を使うものになる。

 いい事なのに、それによって金や時間を使わされて結果本当にやりたかった事が出来なくなってしまう。


 かと言って、いい事なのだからそれも無視出来ない。

 いい事なのだから!

 実は、曾祖母様とシルヴィアが魔導師になった模擬戦は2度程延期している。

 魔導師の存在を知らなかったあの時は、そうは思わなかったが今思うと延期の原因は影響力な気がする。

 最初の時は、シルヴィアの実家にリタが急襲してきて


 「シルヴィア・ドラゴナイツ侯爵令嬢の侍女にしてください!お願いします!」


 と、乗り込んで来たからだ。

 シルヴィアはそれはそれは喜んだ。

 何度生き返っても、リタだけは最後まで自分の味方だったからだ。

 何度かリタも実は敵なんじゃないかと疑って、調べた事もあるそうだが一度たりとも敵であった事は無いそうだ。


 完全に影響力がシルヴィアを殺して来る中で、家族以外の絶対的味方はリタだけだったそうだ。

 実は、これは凄い事なんだと俺は思う。

 シルヴィアに対する想いだけで、影響力から逃れていたんだからな。

 他の令嬢の仲間達は、家族が病気になったり、家の存続が掛かったりするとシルヴィアを裏切った事もあるそうだ。

 シルヴィアは一切責めてはいなかったが、だからこそどんな時でも敵に成らないリタは最高にして最強の仲間にして侍女なんだろう。


 二度目の時は、お祖母様の祖国から大使が来たときシルヴィアの弟君が現国王の姉を母に持つ公爵令嬢に惚れられて婚約したからだ。

 ドラゴナイツ侯爵家は、お祖母様の血が入っている俺達ドラクル公爵家とも仲がよく隣の領だし、お祖母様の祖国の血であろうと血縁関係の強化が図れて誰も損のしない婚約だった。

 弟君は戸惑っていたから俺が


 「自分の嫌いな事、好きな事、相手の嫌いな事、好きな事、をしっかり伝えて、しっかり聞いて、嫌いな事は出来るだけしないようにして、好きな事は受け入れて上げる事だよ。」


 と、アドバイスをしておいた。

 しばらくして、弟君から手紙が来て


 『お義兄様の言う通りにしたら、凄く仲良くなれました!ありがとうございます!』


 と、書いてあった。

 好きな事と嫌いな事が、正反対じゃ無くて良かったよマジで!

 正反対だと、絶対に何処かで破綻してしまうからな。


 いい事だけど、シルヴィアと曾祖母様の模擬戦は数ヶ月に渡って延期となった。

 もしかしたら、この数ヶ月の延期があったから曾祖母様はあんな危険な事をしたのかも知れないな。

 シルヴィアとの模擬戦を凄く楽しみにしていたからな。

 曾祖母様は最初は、俺を魔術師としての後継者にしようとしていたが、今ではシルヴィアを後継者に選んだみたいだ。

 シルヴィアも曾祖母様も、嫁いで来てドラクル公爵家の一員になるから似ているしな。



 シルヴィアに説明されているミラは、「そんなに怒る事なの?」と思っていそうだけど怒る事なんだよ。

 そろそろ、俺の切り札が我慢の限界に達する頃だろうから嫌でも解らされるさ。

 さぁ、殱魔騎士団と魔術師団にお仕置きの時だな!

 クライン、お仕置きが嫌なら頑張って統率することだ!

 どうなる事かな?ハッハッハッハッ!


 「ミラ、ヴィー、母上、どうやらあまりに騎士団が不甲斐ないからそろそろ魔物をけしかけて来るみたいだよ。気を付けてね。」


 「えっ!!けしかけるって誰が?!」


 「私達はどうしますか?ワザと守られますか?戦いますか?」


 「守られる方がいいでしょう。騎士団に取っては私達は最優先で守る対象なのだから、そもそも他の貴族家の者は魔物が出たら戦わないものでしょう?」


 「お義姉様もお母様も何でそんなに落ち着いてるの?!魔物をワザとけしかけるなんて普通じゃ無いよ!」


 「ミラ、ここはドラクル公爵領だぞ?最初から普通の領地じゃ無い。だから、街の外に早く慣れた方がいいって言ったんだよ。」


 この国で一番魔物の出現が多く、更に出てくる魔物は他の領地の魔物と見た目は同じでも強さが違い過ぎる。

 見た目が同じだからと、外から来た冒険者はかなりの数がゴブリンに怪我をさせられたり、引退しないといけない事になったり、死んだりしている。

 商人も、竜の道の外で雇った冒険者をそのまま連れてくるから、低ランクの冒険者のせいで商売をする前に帰る事になったり、死んだりしている。


 そんな領地だからこそ、公爵領の騎士団は強さだけではなく索敵や撤退の時の経路など、他の領地の騎士団よりも色々な事を要求される。

 だからこそ、街の外に出るなら自分達がいくら強くなっても気を緩めてはいけないんだよな。

 さてはて、今回の試験はどうなる事かな?


 「シルバー様はどうなると思いますか?クラインも少し気を緩めているように見えましたが、他の者達よりはマシの様に見えましたが?」


 「今回の事で言うと、駄目だろうね。俺達だけなら許容範囲だろうけど、今回はミラが一緒だからね。」


 「私が一緒だと、何か変わるの?」


 「ミラはまだ、魔の森の魔物を知らないでしょう?今回はそれも目的の一つでしょう?それに、ミラの事を溺愛しているのも公爵家に仕えている者は皆知っているわ。そのミラが一緒いるのに、気を緩めているなんて首になっても文句は言えない失態なのよ。」


 「ミラ、魔物は怖い生き物なんですよ。私達人種は日常的に殺し合いなどしませんが、魔物は日常的に殺し合いをしていますわ。」


 「だからこそ、魔物と対峙するときは一つの油断が命取りになりかねない。なのに最初から油断していたら、命がいくつあっても足りないさ。」


 魔物の生きる意志をまだ見た事の無いミラには分からないかもしれないが、生き物の生きる意志は命をやり取りする戦闘においてはかなり大事だ。

 生きる意志が大きいと、自分よりも強い生き物にも勝てる場合があるからな。


 「総員戦闘準備!!魔物が来るぞ!」


 流石クラインだな。

 索敵範囲が広いな。

 魔物は前方からでは無く、隊列の中央に左前方から斜めに突っ込んで来る様に、「追い立てられて」いる。

 ただ、まだ肉眼では見えないから魔術師団の動きが緩慢だな。

 殱魔騎士団の方は、やる気が無い者は後方に下げているから副団長のクラインの命令に素早く陣形を取っていた。


 「殱魔騎士団の方は素早く動いたわね。魔術師団の方は駄目駄目ね。」


 「お義母様、殱魔騎士団も駄目ですわ。後方にいる騎士達は全く後方を注意していませんわ。」


 「ミラ、本来なら後方にいる騎士は前線で戦わないで周りを見て、前線で戦っている者が前線で全力で戦える様にする事が仕事なんだよ。」


 「じゃあ、魔術師団は何で駄目なの?魔術師なんだから、見えてからでいいんじゃないの?」


 「いいえ。それでは駄目よ。本来なら、魔物が来る方向に土壁やちょっとした落し穴なんかの全速力で魔物がこっちに来れない様にする細工をするのよ。」


 「魔物の突進力は侮れないから、それを削いておくことは魔術師団の大事な仕事なのですわ。それに、今回はクラインがかなり遠くから索敵をしてくれたのですから魔力を練っていつでも魔法が使える様に準備をしておかなければなりませんわ。」


 「お兄様ならどうやって戦うの?」


 「俺なら魔術師団を2つに分けて、土壁をいつでも作れる様に準備させて待機させるよ。殱魔騎士団の騎士達も魔法が使えるから、魔法の準備わさせる。」


 「なるほどね。魔物が近付いた所で土壁で魔物の止めて、魔物が止まったら更に土壁で周りを囲って殱魔騎士団の魔法で殲滅するのね?」


 「それだと殱魔騎士団の残りを全部周辺警戒にあてられますわね。魔物の第二陣や第三陣がいたとしても、十分な備えになりますし、最初に作った土壁が障害物の役割もはたしますから、そちら側から魔物が来なくもなりますわ。」


 「更に、もし撤退することになっても土壁の一部を壊して中に入ってから土壁で入口を閉じて、土壁の中にを通って安全に反対側に行ける。」


 「あっ!分かった!それで反対側の土壁を壊して脱出するのね!」


 「惜しいなミラ。反対側に行ったら、入口をまた壊して魔物を中に入れるんだよ。魔物が入って来て半分位まで来たら、脱出して土壁を閉じてから魔法を放って一網打尽にしてから撤退するんだよ。」


 「それは少し危なく無いかしら?外の魔物が全部入るとも限らないじゃない?」


 「いいえ、お義母様。魔物が一部でも入れば魔物は入口に集まりますわ。反対側の出口には魔物がいないですし、魔物は出口の反対側に集まっているから撤退する私達の後を追うのに土壁にそって遠回りをしなくてはいけなくなるので、時間が稼げますわ。」


 「そんなに徹底しないと、逃げ切れないの?」


 「違う違う。逃げた先には街があるんだから、街の防衛準備の時間を稼いでおく様にしているだけだよ。それにこの方法だと、運がいいと土壁の中に魔物が全部入ってくれて殲滅の可能性があるから、少しでも可能性に掛けておくことも大事なんだよ。街には出来るだけ危険は連れて行きたく無いからな。おっ!ミラ!そろそろ魔物が見えるぞ!」


 かなりの数の魔物が来てるな。

 張り切り過ぎだろう。

 んっ?

 人数が足りないな?

 二手に分かれてるのか?

 なら、後方にも魔物をけしかけてるなコレは。

 後方の奴らは大丈夫か?

 あんなに気を抜いていたら、下手したら死人が出るぞ?

 曾祖父母達も祖父母達もどれだけ我慢の限界だったんだよ!

 それにしても竜の道に近いのに、この辺りは魔物が意外と多いな?

 どの辺りの魔の森から湧いて来ているんだ?

 断崖沿いの場所からだと、この先はかなり気を付けないといけないな。

 ここで殱魔騎士団と魔術師団に気合を入れておけばなんとかなるかな?

 さてはて、皆無事で終わったらいいがな〜。

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読んで下さりありがとうございました

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