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慣れは許さない

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 よろしくお願いします



 「ミラ様はまだ街の外は早いのでは無いですか?シルバー様達の前世の世界は、魔物もいないである意味平和だったのでしょう?私が魔物と騎士の戦いを初めて見た時は、怖くてお母様に抱き着いて離れませんでしたわ。」


 実家から帰って来たシルヴィアに、森の破壊にミラを連れて行くと話すと珍しく俺に反対してきた。

 シルヴィアは基本的に俺の言う事に反対するとしても、なんでそうするのか聞いて納得出来ない時にしかしないのに、今回は理由も聞かないで反対してきた。

 それだけ初めての戦闘と生き物が死ぬのを見たのは怖かったのだろう。


 俺は全然平気だったよ。

 戦闘も生き物が死ぬのも、前世の両親から愛されないでその上妹も守らなきゃいけなかった幼少期から宝くじが当たって金の力で自分達を守れる術を得るまでの人生は地獄に近かった。

 生きるのに必死で感情なんて物は二の次だったさ。

 初めてゲームのしたのだって二十歳を越えてからだ。


 それまでの反動か、普通にプレイしないでゲーム内の歴史にハマったけどな。

 人とは違う遊び方でも、ゲームや小説、漫画、アニメは俺の心の何かを埋めてくれた。

 だから、この世界に来るまで俺と同じ人生を送っていたミラも多分何も感じないで「そうゆう物」として軽く受け止めるだろう。


 シルヴィアにその事を話すと、何も言わずに俺を抱き締めた。

 いきなりの事で戸惑っていると、シルヴィアは部屋から出ていったので着いて行くとミラの部屋に何も言わずに勝手に入って行った。

 これは物凄く珍しいな。

 シルヴィアは何時だって淑女としての体裁を崩した事が無かった。


 シルヴィアは平民として生きた事も数えられない程あるのだから、その気になれば平民の様に話す事も行動する事もできるだろうし、ガラの悪い不良や半グレ、ヤクザ、マフィアの様なアウトサイダーの様な事も出来る筈だ。

 それでも、シルヴィアは淑女の体裁を崩さなかった。

 この人生には、それらが必要無く逆に淑女然としている事こそが必要になり、それが自分を守る事にも俺を守る事にも繋がるからだ。


 そのシルヴィアが、ミラの部屋に勝手にノックも声掛けも無しに突入して行ってミラの事を何も言わずに抱き締めていた。

 ミラも突然の事で目を白黒させながら、俺に説明して!と目で訴えて来たが、いや知らねぇよ!

 俺もさっきやられたけど、シルヴィアは何がしたいんだ?

 取り敢えずミラに、直前になんの話をしていたか話しておくか。

 シルヴィアは気が済んだらやめるだろ。


 「俺もさっきいきなり抱き締められたよ。前世の事を少し詳しく話していただけなんだけどな?」


 「前世の事?詳しく話して無かったの?」


 「ある程度はしっかり話してあるに決まってだろ?ただ、あのクズ共の事はどうでもよかったから話して無かったんだけどそれに少し触れたらこうなった。」


 「ああ、あのクズ共の事を話したのね……。でもなんで話そうと思ったの?クズ共の事なんてどうでもいいじゃない、この世界には存在しないんだから。」


 「ヴィーが、ミラを街の外に連れて行くのを反対したから、戦闘も生き物が死ぬのも前世に比べたら大した事ないって教えただけなんだけどな?」


 「う〜ん?それでなんでこうなるの?」


 「だから、俺に聞かれても分からないって言ってるだろ?知りたきゃヴィーに聞いてよ。」


 「お二人は何故その様に平気なのですか?!私は何度も何度も何度も何度も死んで人生をやり直しておりますわ。でも、その全ての人生で家族だけは私の絶対の味方でしたわ。なのに、お二人は家族から蔑ろにされて守られなくてどれだけ、どれだけ傷付いた事か私には解りません。なのにお二人は………。」


 あぁ、シルヴィアは俺達の為に、少しでも俺達の傷が癒える様に抱き締めてくれていたのか。


 「ヴィー、俺の家族は俺の絶対の味方だったよ?」


 「お義姉様、私の家族も私の絶対の味方だったよ?」


 「俺の家族は妹だけだよ。ゴミを家族と呼ぶ趣味は無いよ?」


 「私の家族は兄だけだよ。ゴミを家族と呼ぶ趣味は無いよ?」


 同時に俺とミラは家族はお互いだけだと、胸を張って言った。

 俺達は、俺達だけが家族だった。


 「ヴィー、血の繋がりが家族なんじゃ無い。想い出が家族を家族足らしめるんだよ。そもそも、父上と母上も結婚したから夫婦で家族だけど、元は血の繋がりが無い赤の他人だよ。でも今は誰がどう見ても家族だよ。俺の前世の家族は妹だけだよ。それ以外にはいないし要らないんだよ。だから俺達は大丈夫だよ?でも俺達の為に心を砕いてくれてありがとう。」


 俺はシルヴィアに近付いて、額に優しくキスをした。

 これには、シルヴィアもミラも驚いて固まってしまった。

 よしよし、上手くいったぞ。

 これで、キスの事で頭が一杯になって前世の事はこれ以上蒸しかえる事はないだろう。

 我ながらいいアイディアだったな。

 かなり、かなり恥かしいけどな!な!!


 とにかく、これでシルヴィアの説得も終わったし後は母上の準備が終わったら出発出来るな。

 もう一つの目的も何とか達成出来るといいが、無理そうなら少し無理にでも押し通すかな?

 人はいつだって慣れた頃が一番危ない。

 殱魔騎士団も魔物討伐に慣れて来た頃だし、魔術師団が出来てからは少し戦闘に粗さが見え隠れするようになった。

 ここらが引き締め時だろうな。


 「それではまずは、竜の道付近に出発するからミラは街の外がどうなっていて街の中とはどう違うか色々見ておくようにな。」


 ミラは驚くだろうな。

 前世の世界は街の外だろうが、道がしっかりあって家も所々には建っているのが普通だったが、この世界でそんな事をしたらすぐに魔物に襲われて皆殺しになる。

 街道は本当に、街と街とを結ぶ為だけに存在するのがこの世界だ。

 街道の周囲は、草原、林、森しかない。

 閑穏としていて凄く暇だが、少しでも気を抜くとすぐに魔物に襲撃されて死ぬ。

 それがこの世界における街道であり、街を跨いだお出かけの正体なんだよな。


 公爵領は魔の森があるから特に気を付けないといけない。

 他の領では危険箇所以外の場所で気を抜ける場所もあるが、公爵領にそんな場所は存在しない。

 魔の森からいきなり足の速い魔物が突っ込んで来る事もあるからな。

 大抵の駆け出し冒険者は護衛中にこの足の速い魔物達の餌食になる。


 公爵領に長くいる商人は駆け出し冒険者をパーティーであっても単体では雇わない。

 必ず中堅冒険者やベテラン冒険者を金が掛かっても一緒に雇う。

 ある意味、商人が冒険者を自分達の安全の為に金を掛けて育てている様な物だ。

 この領の外から来た商人は、その事に気付かないで冒険者を単体で雇っては気付かないで運任せのギャンブルをする。

 勝てば利益が多くなるが、負ければ大損だ。

 最悪死ぬからな。

 死ななくても、逃げるのに邪魔なのは重い物である商品だから捨てなければ成らない。


 当然護衛をしていた冒険者はほとんど死ぬか、生き残っても一人や二人だろうな。

 商品も無くし、仕入の金だけを失うならまだいいが、今後公爵領では商売がほとんど出来なくなる。

 若手冒険者を自分達の無知で殺してしまっている。

 公爵領に店がある商会は自分達の金で若手冒険者を育てて来ているのだから、許さないだろう。

 結果、商売で最も大切な信用と信頼が公爵領において全て無くなる。

 そんな状態で商売は出来ない。


 少しでも公爵領の事を調べれば、公爵領の商売人達がどのようにしているかなんてすぐにわかる事なのに、自分の価値観だけで周りの事を考えない商会が生き残れる程この世界の商会は優しくない。

 この世界で最も死ぬ人間は、冒険者、騎士、商人の順番なのだから。

 一般人が死んでいると思われてがちだが、一般人はそもそも街から出る事の方が稀なんだよな。

 だから、必然的に商人は戦闘職でも無いのに外に出るから護衛が死んだ瞬間死が待っている。

 この世界の信用と信頼はそういう生死が掛かっている物だから前の世界とは重みが圧倒的に違う。

 それなのに、商売しようとしている街について調べないのだから敬遠されて当然だろう。


 そんな事を考えている間に、母上の準備も無事終わり街の外に出ていく。

 殱魔騎士団はそれ程では無いがやっぱり纏う空気が緩くなっているな。

 今日は騎士団長のロールがいないから、クラインが指揮を取っている。

 ロールに比べたらクラインはやっぱり若いから、年の近い者や上の者はクラインを若干舐めている。

 クラインを舐めると言う事は、副団長に任命した俺達ドラクル公爵家を舐めているのと変わらないのを理解していないのかな?

 帰って来たら教育の見直しが必要だな!


 魔術師団は目も当てられない程空気が緩い。

 最早、空気が緩いのでは無く空気が軽い!

 今日はミラが初めて外に出る日なのに喧嘩を売ってるのかコイツラハ!!

 曾祖母様達にワザと、ちょっと長めの休暇を頼んだ結果がコレか!!

 魔法使いから魔術師に成れたからと言って、最強や無敵になった訳では無いのに何ヲコンナニウカレテイル!!

 ゼッタイニユルサン!!!!


 「お兄様、殺気がを鎮めて下さい!何をそんなに怒ってるの?」


 「ハハハ!アレヲミテゲキドシナイホウガモンダイダ!!」


 「気持ちは痛い程解るけど、落ち着きなさいシルバー。この私、ドラクル公爵家当主夫人であるアナスタシアが許可します。職務を軽い考えている愚か者共を徹底的に教育しなさい!」


 「えっ!お母様まで?!お義姉様、どうしちゃったの二人共!」


 ミラにはシルヴィアが色々教えてくれるだろう。

 俺は彼奴等をどう教育してやるか考えないとな!

 教育の切り札は、本当は用意するつもりは無かったがこの体たらくなら必要だった様だな!

 馬鹿な奴らだ!

 今まで通りにいつ如何なる時も、気を緩めなければこんな事にはならなかった物を。


 ん?!

 流石はクラインだな。

 何か不穏な気配を察知したのか、やる気が少ない者を後方に下げてやる気が高い者達で馬車を固めたな?

 だが甘い!

 その甘さが命取りだ!ハッハッハッハッ!!!

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