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薬草も恐かった

よろしくお願いします


 種が撃ち出される音が、全然やまないな。

 魔の森の奥の方に向かって音がなり続けているんだけど、今回の活性化はハーブの種が皆殺しにしてるんじゃないか?

 あの種、ゴブリン位なら皮膚と筋肉を貫通するだよな〜。


 音がなり止まないって事は、ゴブリン達をミイラにしまくってるんだろうな。

 もしかしたら、ゴブリンより強い魔物にも目から入ってミイラにしてるんじゃないか?


 もしそうなら、活性化はこれで終わりな気がする。


 「父上、ハーブが活性化した魔物を皆殺しにしてる気がしますが、このあとどうしますか?」


 「そうだね、私もそんな気がしてきたよ。このあとは、この陣を作ってる木材を運び出した後に大魔法で魔の森を吹き飛ばしてから、薬草の種を蒔いて帰るよ。」


 「明日は薬草を取りに来て、薬草を取り終わったら砦を作ってそこを守る様にするのですよ。」


 「コレが大変なのじゃよ。広範囲に種を蒔くから、薬草を取り終わるのに時間がかかるのじゃ。」


 「それに薬草は低い場所に生えているから、屈み続けるて取るのよ。毎回腰が痛くなるのよ。嫁いで来て他の事で苦労しても、あまり気にならない位幸せだけどね?コレだけは毎回大変なのよ。」


 「薬草は根から取らないといけないから、俺も嫌いだ。根から取らないとまた、薬草が育つのだがな?効能が落ちた使えない薬草が大量に出て、逆に人が取り逃すと効能が無いただの草の草原になるんだよ。」


 「魔物が来たときに、足元にあると危ないから必ず根から取るのよ?」


 前世の知識では、取りすぎない様に気を付けるものだけどこの世界では、逆に取りきらないといけないんだな。


 「じゃあ、効能がある薬草はどうやって手に入れるんですか?」


 「自然に生えているものを見つけるしかないんだよ。なんで効能が無くなるか分かってないんだ。薬草はポーションになるから、人工栽培出来たら凄い事なんだよ。」


 「儂も昔、色々調べたのぅ。魔力が影響していると考えて、水魔法で育ててみたりもしたのぅ。鉢植えに魔石を土に埋めたりもしたがだめだったのじゃよ。」


 「皆疲れて、やめていってしまうのよ。」


 ふ〜ん。

 野生の森で育つ効能がある薬草は、何を栄養にして育っているんだろうな?

 それが分かれば、人工的に育てられそうだよな?


 そんな話をしていたら、漸く魔の森の種を撃ち出す音が止んだ。

 木材を運び出すんだよな?

 かなり太いし長いけど、どうやって運び出すんだ?


 「そろそろいいかな?魔の森の木を運び出すよ。」


 「アルフレッド様、どうやって運ぶのですか?」


 「人力よ?」


 「人力なんですか?!この太くて長い木を人力で運ぶんですか?!」


 いやいや、人力は無理だろ!

 かなり重いし、砦まで距離もあるぞ?


 「ふふふっ、魔の森の木は特殊魔法を使った後魔力が回復するまで、とても軽くなるのよ。」


 「あんなに長いのに、3人で運べるのよ。前に一人、真ん中、後ろに一人で運べるのよ。」


 「だから、騎士団全員で一気に運ぶだよ。」


 「クライン、お前達殱魔騎士団は魔の森の中に入って、どこまで魔物が死んでるか確認して来い。最後の魔物の死体がある場所の近くの木に登って、この旗を出来るだけ高い場所で結んで来い。」


 「そこまで、大魔法を使って吹き飛ばすわ。」


 「魔物の死体から、魔石だけは取ってきてくれ。魔石を魔物が食べると、進化して厄介になるから出来るだけ拾って来てくれ。」


 「分かりました。今すぐいって来ます。」


 こっちの護衛というか、魔の森の監視は誰がするんだ?

 魔の森から今、魔物が来たらかなり油断している俺達へ危なくないか?


 「アルフレッド、例年通りに冒険者を監視に回すのは危険じゃないか?」


 「そうじゃな。戦いの前に暴走しておったし、殱魔騎士団の強さを目の当たりにしたのじゃ。尚更暴走するかもしれんのぅ。」


 「そうですわね。私達ですら殱魔騎士団の強さには驚きましたわ。更には、シルバーとシルヴィアだけでドラゴンを討伐しているのですから、冒険者達は今頃情緒不安定になっていると思いますわ。」


 「分かっていますよ。だからこそです。ここで冒険者達が暴走してくれたほうが、後々冒険者潰しが楽になると思います。」


 「今回の暴走を、冒険者は信用も信頼も出来ない、と潰す理由にするのですね?なら、俺とシルヴィアはワザと魔の森に近い場所で休んで囮になりますね。」


 「うむ、なら影を護衛に付けておくかのぅ。それなら安心であろうよ。」


 方針が決まったから、皆が自分の仕事に取り掛かる。

 うわぁ!マジかよ!

 マジで人力じゃないか!

 3人で軽々魔の森の木を運んでるんだけど!

 しかも、脇に抱えて走って運んでるんだけど!


 「なんか凄い光景だね。アレで砦まで行くんだよね?」


 「そうですわね。知らない人が見たら、公爵家の騎士団は凄まじい怪力騎士団に見えますわよきっと。」


 でも効率悪いよな?

 バケツリレー、いや人間コンベアの方が速くて楽なんじゃないか?

 ちょっと父上に言ってみるか。


 「父上、3人で運ぶより砦まで交互に騎士を配置して、押し込んだ方が速くないですか?」


 「交互に騎士を配置?ちょっと想像出来ないんだけど?」


 う〜ん、説明するより見せた方が早いな。

 騎士達を等間隔に交互に配置して、真ん中に木を通して横に木をスライドさせていく。

 3人で運ぶより圧倒的に早く、次々木が流れる様に運ばれていく。


 「おお!これは凄いな!シルバーよく思い付いたな!もっと前に思い付いていたらよかったのに残念だ!昔は木材を諦めて逃げる事もあったからな!」


 「昔は今よりも、魔の森が近くて広かったから魔物の討伐が完全ではなくて、木材の運び出しの途中に魔物の襲撃を受ける事もあったのよ。その時は、木材を諦めて逃げる時に油をまいて火を付けて逃げたものよ。」


 「儂が当主の頃にもあったのぅ。コレなら明るい内に運び出しが終わるじゃろう。ホレ、アルフレッド騎士達に命令せんかい。」


 騎士達の頑張りで明るい内に運び出しが終わり、俺達は別邸に帰る前に薬草の種を少し蒔いてから帰る事にした。

 俺とシルヴィアに薬草の育つ早さを見せてくれるそうだ。

 明日薬草の成長を見たら大魔法で魔の森を吹き飛ばして、薬草の種を大々的に蒔くそうだ。


 翌日、戦闘があった場所はかなりの範囲薬草畑になっていた。

 凄いな、種を蒔いてまだ半日経って無いのにもう完璧に薬草畑になってるよ。

 この世界の一部の植物は成長速度が異常だな。

 ホワイトアップルみたいに木は育つのに、実が出来ないなんて事も異常だよな前世の事を考えると。


 うん?なんか変だな?

 薬草畑に違和感があるな?

 何が変なんだろう。


 「どうかなさいましたか?薬草畑を見て首を捻っていらしたみたいですが?」


 「ヴィー、何か変じゃない?この薬草畑。何かわからないけど違和感が凄いあるんだよ。」


 「シルバーが薬草畑に違和感があるなんて、絶対何かあるね。私達も一緒に考えるから、何が変なのか教えてくれるかい?」


 「何か、なきゃいけない物がこの薬草畑にはない気がするんです。皆は何か感じない?」


 違和感は確かにあるのに、何が違和感の大元なのかわからない。

 父上達もキョロキョロしてるが、やっぱりわからないみたいだな。

 う〜ん、何かが絶対に変なのにわからないな。


 「皆様おはようございます。只今、魔の森の偵察から帰りました。旗も出来るだけ高い場所に結んで参りました。」


 「おお、クライン任務ご苦労だったな。ふむ、あれだけの音がしていたから魔物はほぼ全滅したと思ったが、まだいたのか。」


 「はい、いいえ、偵察範囲に魔物はいませんでしたが、死んでいる魔物の魔石をあさりに来ました。魔石は魔物に与えるなと言われましたので討伐しました。」


 「あら、貴方達も偵察で疲れていたでしょうによくやってくれたわね。」


 クライン達は細かい傷が多いな。

 陣での戦闘では怪我はしてなかったのに、やっぱり魔の森の中で戦うと木の幹が邪魔になるんだな。

 怪我の手当をしてないなこいつら。

 布をあてるだけでも違うのに、それすらしてないな?


 衛生兵なんてものは騎士団には無いのか。

 破傷風や敗血症になって死んでしまうかもしれないから、衛生兵を作るしかないな。

 魔物の運搬専用の運搬兵も作るべきだよな?

 魔物の中で血を流しながら、魔物の死体を運んだらご馳走を飢えた人達に見せびらかす様なものだしな。


 そうすると、運搬兵は最精鋭にするべきかな?

 木の幹で見辛い中、血を振り撒いて死体を運ぶなんて弱い騎士では自殺行為だ。

 うん?血が、血で、何か今違和感が?

 血、血か?血に違和感があるのか?


 「ああ!血か!そうだよ!血が違和感の正体だよ!」


 「総騎士団長どうかされましたか?この程度の傷なら問題ありませんが?」


 「違うよ!クライン達じゃない!父上!薬草畑の違和感がわかりましたよ!」


 「本当かい?血がどうの言っていたけど、違和感は血なのかい?」


 「薬草畑の地面です!昨日ここでは大規模な戦闘があったのですよ?地面がなんでこんなに綺麗なんですか?地面はもっと、赤黒く無いと変ですよ!」


 「言われてみればその通りですわ。地面の色が茶色なのは変ですわね。」


 「ああ!そうゆう事か!確かにもっと地面が赤黒く無いと変だし、血の匂いが充満してないとおかしいのか。」


 「魔の森での戦闘はいつもこうだから、違和感に気付かなかったぞ!そうか、血か。」


 「もしかしたら、薬草は魔物、動物、人間、の血に含まれる魔力を栄養に成長しているのじゃ無いですか?」


 だから、ただの土では成長はしても効能が無いただの草になるんじゃないか?

 人工的に育てると、血を与えるなんて事は普通しないだろうしな。

 自然の薬草は近くで魔物、動物、人間が死んだり怪我をしたりして血が出るから、それを栄養に成長しているんじゃないか?


 そう考えると、ハーブもある意味ヤバいが薬草も大概だな。

 試してみるか。


 「父上、薬草の種を一つ下さい。鉢植に入れてクライン達が狩って来た魔物の血を与えてみます。」


 「それで効能がある薬草が育てば、薬草はただの魔力水ではなく、血に含まれた魔力じゃなければ育たないという事になるかのぅ。」


 「大発見じゃないか!今度こそ、大々的に発表してもいいよね!」


 「駄目に決まっているでしょう!アルフレッド、少し考えてからものを言いなさい!」


 「人間でもいいとなったら、どうするのですか!エド、欲深い者は人を殺して薬草を育てればいいと、孤児達を集めて殺してかねませんわよ!」


 父上ぇ〜。いつもは冷静なのになんで大発見をした時だけ、こうもポンコツになるんだよ。

 また曾祖母様達に拉致されて説教されても知らないぞ。

 いや、もう遅いか。

 曾祖母様かなり怒ってるもんな。

 魔圧が凄い事になってるぞ。

☆の評価が貰えるとやる気に繋がります


もしよかったら評価して下さい


読んで下さりありがとうございました

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