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殱魔騎士団の落ちこぼれ達

よろしくお願いします


 最初に殱魔騎士団を作る時、曾祖父様は孤児達や農民達の選別から始めた。

 当然、選別から外れる人達が出たが、それでも殱魔騎士団に入って魔物と戦いたい人達が多くいた。

 魔物に家族を殺された人達だ。


 そんな彼等、彼女等は諦める事無く、どれだけ周りと差が付こうと決して鍛練を辞めなかった。

 曾祖父様が父上達とそんな話をしているのを聞いた俺は、チャンスだと思った。


 スキルをオフにするなんて事は、この世界では非常識過ぎた。

 シルヴィアに聞いても、


 「スキルをオフにするなんて、考えた事もありませんわ。それに、ユナ様から頂いた力を自分から手放すのは不敬な気がしますわ。」


 シルヴィアでさえ、スキルをオフにすることに躊躇してしまった。

 スキルがあるから強くなるなら、スキルが無くても強ければスキルを使った時、更に強くなれると思ったんだけど、その実験に付き合ってくれる人がいない。


 俺だけでは、俺だから強い、と思われてしまう。

 シルヴィアも同じだ。

 俺達は愛し子、最初から強くなれる事が決まっているのだからな。


 だから、才能が無いのに腐る事なく強くなる事に貪欲な、落ちこぼれ達は実験に最適だった。

 6歳の時に殱魔騎士団の鍛練場に突撃して、落ちこぼれ達五十人を密かに拉致してきた。


 「君達は曾祖父様に強くなれないと、言われても決して諦める事なく鍛練場に毎日行っている。どれだけ周りと差を付けられても諦めない。そんな君達に頼みがある。」


 「俺達に、何を頼むのですか?若様は俺達じゃ無くても、命令すれば誰でも助けてくれるでしょう?」


 後に、副騎士団長になるクラインが俺に少し不満げにそう言ってきたんだよ。

 この時、こいつを殱魔騎士団の騎士団長にしようと思ったよ。

 子供とはいえ、俺は次期公爵家当主だ。

 普通なら、畏縮して話かけられてすぐに答えられる奴はいない。

 しかも、こいつは不満げに言い返してきた。

 実にいいね!こいつなら俺が間違った時は絶対に止めてくれる!最高だな!


 「君の名前は?」


 「俺、いや私は、クラインと言います若様。」


 「クライン、それに他の皆も、曾祖父様が強くなれないと言ったなら、普通の方法では強くなれないと言うことだ。」


 俺が、そう言い切ると全員が歯を食いしばる。

 やっぱりいいなこいつら。

 自分が強くなれないと言われても諦めようとしないこいつなら、スキルをオフにするなんて非常識も強くなる為なら進んでスキルをオフにするだろうよ!


 「クライン、君は強くなる為なら何でもする覚悟はあるか?他の皆は?」


 俺の言葉にクライン達は強く頷きながら

『あります!』

 と返してきた。


 「なら、俺が君達を非常識な方法で強くしてやる!ただ、言った通りこれは非常識な方法だ!だから、俺を疑わずに付いてきて欲しい!いいか?!」


 「強くなれるなら、なんだってやります!俺達に家族の復讐を、街の人達に俺達と同じ想いをしなくてもいい力を下さい!お願いします!」


 『お願いします!』


 「分かった!じゃあまず、確認だ!武術系のスキルは全員持ってるな!」


 『持ってます!』


 「よし!ならまずは、全員素振り百回しろ!俺とシルヴィアも一緒に素振りをする!いくぞ、いち!」


 クライン達も声に合わせて素振りをするが、そうじゃない!

 復唱してくれないと、肺活量が鍛えられないだろ!


 「数は、復唱しろ。肺活量が鍛えられるし、気合がしっかり入る。いいか?最初からいくぞ!いち!」


 「いち!」


 よしよし、ちゃんと復唱してるな?

 百まで数えながらしっかりと、素振りをしたあとすぐに。


 「次は、武術系のスキルをオフにしろ。」


 「武術系のスキルをオフにするんですか?!まともに素振り出来ませんよ?!」


 「分かってる。でも俺は、非常識な方法だと言った筈だ。スキルをオフにするのが嫌なら、曾祖父様の所に帰れ!」


 ここで、躓く訳にはいかないんだよ!

 俺の目的はスキルを使わないで強くなり、スキルを使ってもっと強くなる騎士団だ。

 スキルは後押しだと証明出来れば、スキルを後押しだと思って無い敵との差を広げられるからな。


 強くなれるなら、常識なんて邪魔なだけだ。

 ここで、必要なのは常識ではなく覚悟だけだ。

 強くなり、魔物を倒すという事だけに意識を向けて常識なんてクソ喰らえだと言える奴だけが必要なんだ。


 「どうする?スキルをオフにするっていう、非常識を受け入れて強くなるか、常識の中にいて人よりもゆっくり強くなるか、選べ!」


 全員が悩んでいるな。

 クラインですら、スキルをオフにする事に抵抗があるのか。

 シルヴィアがこちらを心配そうに見ているが、大丈夫さ。

 こいつらは、強くなるか為なら人と違う道を歩き出す事が出来るさ。


 「本当に、本当に強くなれるのですか?ヴァンクロード様にお前は無理だ諦めろ、と言われた俺達でも、強くなれるのですか?」


 やっぱりクラインだよな最初の一人は。

 クラインに何があったかは知らないが、俺に対しても一歩が踏み出せる覚悟は本物なんだからな!


 「なれるさ、いずれ殱魔騎士団全員が君達と同じ鍛練方法になるだろう。そうすれば追い抜かれる事だろう。でも、曾祖父様が認める位に強くなれる!」


 「なら、俺は!俺はユナ様から頂いたスキルをオフにして鍛練します。皆!俺と一緒に強くなろう!俺達の夢の為に!」


 クラインなかなか人を惹きつけるのが上手いな!

 いいぞ!騎士団長はただ強いだけじゃ駄目だからな。

 上手くまとめてくれよ!頼むぞ。

 俺はまだ子供で人望とか無いんだからな。


 「よし、いいか?スキルをオフにして素振りをするぞ!多分、地面を叩いたり、剣がすっぽ抜けたりするだろうけど、最後までどれだけ時間が掛かってもやりきる事だけを考えろ!いくぞ、いち!」


 「いち!」


 うん、分かってたよ。

 周りから悲鳴や間の抜けた声が聴こえてくる。

 俺も集中しないと地面を叩きそうだし、すっぽ抜けそうだよ。

 スキルが無いと、こんなに剣って難しいんだな。


 変な所に力が入っているのか、腕や背中が痛いんだけど。

 スキルを使っての素振りは百回を十分位で終わったのに、スキルなしは一時間以上かかった。

 よし、ここからだ。


 「これから、スキルを使って素振りを十回するぞ。その後スキルを使わないで、素振りを十回する。これを体力が無くなるまで繰り返す。体力が無くなったら座って休んでいい。無理をすると2度と剣が持てなくなるから、絶対に無理をするなよ。」


 それから、全員の体力が無くなるまでスキルあり、スキルなし、の素振り十回を繰り返した。

 スキルありの動きを意識して、スキルなしで素振りをする。

 全員が少しづつではあるけど、スキルをオフにしての素振りが良くなっているな。


 「今日はここまでだな。」


 全員が、俺の言葉に安堵しているが、そんなに俺は優しくないぞ。ハッハッハ!

 次は魔力操作の鍛練だよ!

 体を動かさないから、問題無いだろ。

 失敗しても魔力弾が勝手に出るだけだしな!


 「次は魔力操作をするぞ。当然スキルをオフにしての魔力操作だぞ!」


 「えっ!今から魔力操作の鍛練をするんですか?!絶対に失敗しますよ!」


 「体が疲れてるから魔法が使えません等とは、言わせませんわよ!魔法は疲れていようが、いまいが、使えなければなりませんわ!」


 俺が、激を飛ばそうとしたら、今まで喋らず俺に付き合ってくれていたシルヴィアが急に激怒してるんだけど?!


 「ヴァイオレット様は、

「魔法は体力が無くなっても、最後まで戦える武器をよ!だから、疲れてる時程魔力操作の鍛練になるのよ!」

 と、おっしゃられていましたわ!貴方達は強くなりたいのでしょう?人々を守りたいのでしょう?ならば、今こそが鍛練の時ですわ!」


 ああ、曾祖母様の教えか。

 確かに、体が動かなくても魔力操作さえ出来れば魔法で敵を倒せるもんな。

 でもやっぱりシルヴィア戦闘狂じゃないか?


 「俺がいいと言うまで、スキルを使って魔力操作をしろ。そうしたら次はスキルをオフにして魔力操作をする。でも、スキルをオフにしての魔力操作は一つだけだぞ。絶対失敗して魔力弾を撃つからな?二つはやるなよ!」


 砂時計もどきを取り出して時間を測る。

 正確に時間を測れなかったから、なんとなく十分砂時計を作った。

 何度も繰り返して魔力操作をする。

 そろそろ集中力が無くなってきたな。

 ここらで終わりにするか。


 「よし、今日はこれまで最後に二人一組になって柔軟をして終わりだ。柔軟は適当にやるなよ?体が柔らかくなれば、武術も強くなるし、怪我もしづらくなるからな。これも強くなる為に必要な事だよ。」


 「若様、明日も鍛練をしてくれるのですか?」


 「当たり前だろ?来れる時は毎日来るさ。俺とシルヴィアも一緒に強くなる為に鍛練してるんだからな。俺達は仲間だよ。だから、腐るなよ!鍛練がキツくても辞めるなよ!一緒に強くなるぞ!」


 「はい!はい!!俺達は若様ど一緒にづよぐなります!絶対にづよぐなりばず。」


 なんかクライン達が泣いてるんだけど、なんでさ!

 そんなにかっこいい事言ってないよ俺!

 なんとなく、居心地が悪くてシルヴィアと逃げる様に屋敷に帰ったよまったく。


 「なんでクライン達は泣いてたのかな?なんか悪い事したかな?」


 「嬉しかったのではないですか?ヴァンクロード様に騎士は無理だと、言われる事は彼等にとっては死刑判決と同じだったのですわ。でも、シルバー様が強くしてやるって本気で彼等を導いた事が嬉しかったのですわ。」


 「俺は、スキルのあり、なし、の持論の証明がしたいだけなんだけどな?」


 「ふふっ、照れ隠しですかシルバー様?証明したいだけなら仲間なんて言わないのでないですか?ふふふっ」


 うう〜ん、見抜かれてるな。

 まぁなにはともあれ、これからだよな。

 どこまで強くなれるかは、俺だって解らない。

 もしかしたら、全部無駄かもしてない。

 それでも、クライン達と殱魔騎士団を創っていきたいな俺は。


 それから、3年たった。

 俺は9歳だ。

 クライン達はスキルをオフにしての素振りも完璧に出来るようになったどころか、曾祖父様の鍛えている殱魔騎士団より早く、正確に、力強く、出来る様になったよ。


 今では、九人で一人を囲んで乱取りも出来る様になっているよ。

 スキルをオフにしてやると、たまに怪我人は出るがスキルを使っての乱取りは、まるで達人達が打ち合わせ通りに殺陣をしているようだ。


 「ここまで強くなるなんて、流石に思ってなかったよ。」


 「そうてすね。スキルをオフにしての鍛練がここまで人を強くするなんて思いませんでしたわ。私達はユナ様の慈悲に甘えていたのですわね。」


 「仕方ないさ。常識を疑うのは難しいよ。でも、もう一緒に鍛練は無理かな?」


 「なぜですの?このまま鍛錬していけばもっと強くなれると思いませわ?」


 「ここまで強くなったら、曾祖父様に報告しないと駄目だからね。クライン達が正式に最初の騎士団員になるためにね。」


 「ああ、そうですわね。でも、少し寂しいですわね?」


 「あれ?俺が一緒にいるのに寂しいの?それはちょっと妬けるね。」


 「まぁ、からかわないで下さいませ!シルバー様と一緒にいて寂しい事などありませんわ!」


 「お二人共、鍛錬中にイチャイチャするのはやめて下さい。独身者しかいないのですから!」


 「ハハハ!悪い、悪い。話は聞いていたな皆。曾祖父様には話は通してある。これから曾祖父様が君達を鍛える事になる。

 でも、スキルの使用は許可しない!これから曾祖父様の前ではスキルをオフにして鍛練するように!」


 「なぜですか?スキルを使用した時をお見せした方が、騎士団員に選ばれると思うのですが?」


 「だからさ。スキルをオフにして騎士団員になってから、いざという時にスキルをオンにして本当の力をみせれば、殱魔騎士団の鍛練方法は確実に変わる。

 そうすれば、魔物の被害は劇的に減る事になる。君達がその最初の一歩を踏んで来てくれ!」


 「分かりました、総騎士団長!殱魔騎士団にクラインありと、ヴァンクロード様に言わせて見せます!」


 「そんな事言ってないだろ!まぁいいか。それと、何年もスキルをオンにしないで鍛練したら、使った時にどれだけ強くなるかも見たいしね。」


 その後、曾祖父様はとても驚いていたが、クライン達は無事最初の殱魔騎士団に選ばれた。

 まさか、あそこまで強くなってるとは思わなかったけどな。

 というか、俺もシルヴィアも同じ位、いや、もっと強くなってるのか?

 早い内に自分の力を確かめないと駄目だな。

 かと言って、今やったら絶対怒られるよな?

 やっちゃっおっかな? 

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